2015年02月20日

【「会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから」】会社が消えても、人生は終わらない


「会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから」
大西康之:著
日経BP社


どういう経緯だったのか分からないのだけど、
私が小学生の頃、我が家の家電製品はその殆どが三洋製品で
よく近所の三洋ショップのおじさんが我が家にやって来たりもしていた。

しかし、ご存知のように既にSANYOというブランド商品は存在しない・・・
この本は大きくは三洋電機が無くなるまでの物語と、
三洋電機が消滅したその後の元・社員たちの物語の二部構成になっている。

実はこの本、昨年の夏くらいに買ったのだけど、
なかなか読むことが出来なかったのだ。

というのも、

私自身も数年前に「会社が消えてなくなる」という三洋電機と
同じような体験をしてきているので、
この本を読んでいると、その当時のあまり思い出したくないようなことまで
いちいち思い出してしまうから。。

でも、読後感としては「暗い気持ち」になるどころか、
よしっ!俺も頑張らねば!と
前向きな気持ちにさせられるものだった。

三洋電機という”会社”は確かに競争社会の中で消滅してしまったが、
そこで働いていた元・社員たちは「敗れざる者たち」であったことが
この本の後半部分で描かれているのだけど、
それが私に勇気を与えてくれたのだと思う。

Amazonの内容紹介

たとえ今の職場がなくなっても、人生が終わるわけではない。
では、どこに向かって次の一歩を踏み出すか。
かつて三洋電機に在籍した人々のその後の歩みは、貴重な示唆に
富んでいる。重苦しいテーマを扱いながら、本書が「希望の物語」
となっているのは、そこに会社を失ったビジネスパーソンの明るく
たくましい生き様が垣間見えるからだ。

■それでも会社を、仕事を、愛す

トップの突拍子もない思い付きを、現場が脂汗を流して
何とか形にすると、それがトップの武勇伝になる。会社の
「成功物語」というのは、えてしてこんな風に作られる。
(P199)

多くの「元三洋電機社員」に取材してみてわかったことがある。
彼らはよく、敏のことを「あほな親父」「しょうもない親父」と
罵るが、その時、たいていの人は楽しそうに笑っている。
「うちの親父は、ほんまにあほで。困ったもんですわ」という時の
息子の顔である。あほな親父を愛しているからだ。
(中略)
「井植敏は有能な経営者だったか」と問われれば答えは「否」である。
だが、社員に愛され、社員の馬力を引き出したという意味では
「立派な経営者」である。敏は極めて日本的な「担がれるタイプ」の
トップだったのだ。(P241)

※井植敏(いうえ さとし)三洋電機株式会社の元社長、会長で
 創業者、井植歳男の長男

この本の特に後半部分を読んでいると、
三洋電機という会社を、そして井植敏という元経営者のことを
本当に愛していたんだなぁ、と感じられる元社員が何人も登場する。

トップの経営判断のミスで会社は切り売りされ、
自分たちは愛していた会社から放りだされた・・・にもかかわらずだ。

親父(社長)に恥をかかせたらいかん!
そう言って孝行息子たち(社員)が一致団結して会社を支える。

まぁ今は少なくなってしまったのかも知れないけれど、
これがよくある日本企業の姿だったのではないかと思う。

それだけ自分たちの親分(経営者、社長)に魅力があったということだと
思うし、いわば家族にも似たような繋がりが社内にはあったということだ
とも思う。

詳細は省くけれど、三洋電機の経営が傾き、金融会社に切り売りされ、
パナソニックという大企業に飲み込まれていくというストーリーを
読んでいると、「(あほな)親父と孝行息子たち」という日本型経営が
グローバリズムだとか新自由主義だとかの新しい経営に敗れ去っていく・・・
そんな姿が目に見えるような印象を受けた。

そう、三洋電機という会社が特別なわけではなく、
これと同じようなストーリーを辿り、憂き目を見た日本企業は
あっちこっちにある筈だと思うし、今もそのストーリーは日本の何処かで
展開されているのかも知れない。

社会環境が変わってしまった今、そういう新しい経営を
受け入れざるを得ないのかも知れない・・・

しかし、「だけど・・・」とも思う。

三洋電機だけではない。あらゆる電機メーカーが、投資家に背中を
押されて採算の悪い事業を切り捨てた。主力製品の生産拠点は続々と
海外に移り、国内の雇用はどんどん減っていく。残った仕事もコスト
削減のため、正社員ではなく派遣や請負の社員に任せていった。利益の
多くは海外現法が稼ぐようになり、日本ではろくに税金も納めていない。
経営者の顔は投資家の方ばかりを向き、雇用や納税といった企業の義務を
忘れているように見えた。
「わしらは投資家に魂を売っとるんと違うか」(P231)

この言葉を負け犬の遠吠えととるか?
それとも、会社とは本来どんなものであるべきなのか?と問い直すか?

そして・・・

新しい社会環境の中で自分はそれでも会社を、仕事を愛せるか?

そんな問いをぶつけられたような気がする。

■逆境、苦悩、対立、修羅場

昨日まで仲間だと思っていた人々が敵に変わっていた。
誰もが「パナソニックの傘下」という新しい環境で生き残るために
必死で、ぎすぎすしていた。(P254)

会社がなくなる
会社が買収されてしまう

買収先の会社に(運良く?)転籍できるとしても、
「あぁ、そうですか」とカンタンに割り切れるわけもなく、
いったい自分はどうなってしまうのか?そんな不安に苛まれ、
昨日までの仲間が敵になってしまう・・・
それまでの人間関係があっという間に壊れていく・・・

会社が売却される時、その内部ではある意味ドロドロの人間模様が
繰り広げられているわけですよ(私も経験しました)。

この本の中でセクハラ疑惑をかけられ、会社を辞めさせられた
元営業幹部のことが書かれているのだけど、
本当に無念だったろうと思う。。

映画「タイタニック」をご覧になられた方は思い出して欲しいのだけど、
沈没シーンでは我先にと救助船に乗り込もうとする人々の姿が
描かれていましたよね。まさしく修羅場でしたね。

会社がなくなる(売られてしまう)時もあれと同じだと思うんですよ。

誰もが自分の次の居場所を確保するために必死にならざるを得ない。。
だから、昨日までの仲間が敵になってしまうようなことも起こってしまう。

でも、だからと言ってそれを責めたり、嗤うことは誰にも出来ないと
思うんですよね。。

もちろん!

最後まで演奏をやめなかった楽団員のような人もいると思うけど。

人事部長を務めた5年間は岡本にとって悪夢の時間だった。仕事の9割が
リストラ、平たく言えば「首切り」だったからである。
(中略)
もちろん経営陣の指示でやったことだ。サラリーマンの岡本に逆らう術は
なかった。それでも、当時の記憶は岡本の心の中で深い傷になっている。
ネットの掲示板には実名で誹謗中傷を書かれた。
自宅には家族に見せられない
ような手紙が来た。駅のホームでは背後が
気になり、最前列に立てなくなった。
(P258)

リストラでクビを切られる方も必死だけど、
クビを切る方も必死なのだ。

実は私も数年前には、クビを切る側で仕事をしていた。
もちろん、三洋電機と比べれば全然規模は違うのだけど、
それでも、人の職を奪ったことに変わりはない。

だから、この元人事部長の気持ちは痛いほど分かった(ように思う)

気持ちが分かるというのは、クビを切る痛みのことだけではない。。
例えば、こんなことも・・・

本社の人事部長をしている時、岡本はリストラの絵を描く傍ら、
中途採用に力を注いでいた。
「現実逃避ですよ。何か少しでも前向きなことをやっていないと、
心のバランスが崩れてしまう。人事の人間はみんなそうでした」
(P263)

そう、私も自分の会社というか事業部の売却が決まる寸前まで
採用活動をしていたのだ。

当時、一緒に役員をしていた先輩からは
片一方で人を切りながら、もう片一方で採用するって
どう考えても矛盾してるじゃないか!と何度も指摘された。

今から思えば、その時に私が採用したせいで人生計画が狂ってしまったり、
思わぬ買収劇に付き合わされてしまった人がたちが
何人かでもいることに心が痛むのだけど、
その当時の私はやはり元人事部長と同じ。

何か前向きなことを考えたりやったりしないことには
自分自身が圧し潰されてしまいそうだったのだ。

■会社が消えても人生は終わらない

三洋電機という船から放りだされた約9万人の人々も、どこかで
働いている。会社は消えても、人生は終わらない。そこから始まる
新しい人生があるのだ。(P5)

「会社が消える」という絶望的な状況から立ち上がった人々の
物語は、現在進行形で困難な状況と闘っているすべてのビジネスマンに
勇気と希望を与えるだろう。
彼らの「再生」は、かつての強さを取り戻す「復活」ではない。
しかし、厳しい現実と折り合いをつけながら、彼らは「新しい人生」を
つかみ取った。(P6)

最初にも書いたように、この本の後半部分では三洋電機という大型船から
放りだされてしまった人たちがその後、どのような人生を送っているのかが
描かれている。

読んで頂ければ分かる通り、それぞれがそれぞれに希望を持ちながら
新たな一歩を踏み出している姿が描かれていて、
それが読んでいて、自分も頑張ろう!と勇気を与えてくれている。

さて。

ここからは私の個人的な話を少し書いてみたいと思う。

少し前のこと。
数年前まで一緒に働いていた後輩から連絡が来た。
今度、昔の仲間が集まって一杯やることになったので、
良かったら来ませんか?と。

正直、最初は「どのツラさげて会いに行けばいいのか?!」と思った。
・・・というのも、その集まりというのは
数年前に会社の事業売却によってバラバラになってしまった仲間たちの集まり
であり、私はその当時の彼らの上司であり、リストラを進めた張本人だったからだ。

今さら、合わせる顔なんてない

そう思った。

そう思ったけど・・・
今会っておかないともう二度と会うことはないのかも知れない。。
今さら「すまなかった」もないのだろうけど、
あれから数年たった彼らの姿をひと目見ておくのも
かつての上司の役割なのかも知れない。。

そんな勝手な理屈をこしらえて、教えられた会場へと足を運んだ。

当日は十数名がやって来た。
あの頃の笑い話や、今だから言える当時のオフレコ話しなどで
大いに盛り上がった。

それぞれが、それぞれの新しい人生を歩んでいた。
多少、見た目がオジさん化している人もいたけど、
みんな元気にやっているようだった。

そんな姿を見て、私はほんの少しだけど
この数年間、ずっと心の片隅に会ったわだかまりみたいなものが
軽くなったような気がした。

もちろん、

バラバラになった後、人には言えないような苦しい思いをした人も
いたはずだし、その苦しみが今も現在進行形で続いていて
会場に来られなかった人もいるのだろうと思う。

だけど

会社は消えても、人生は終わらない。

それならば、やはり何処かで過去を断ち切って
前を向いて進まなければならない。

前を向いて進めば、いつか笑い合える日もやって来る。

そんなコトを思ったその日の集まりでした。

おしまい。

※相変わらず読んでくれる人のことを全く考えない長文エントリーで
 失礼しました。最後まで読んでくれて、ありがとう。

▽単行本       ▽Kindle版

  

posted by penguin-oyaji at 23:17 | Comment(0) | 読書(経営者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月09日

宅急便で日本を変えた男の物語【「経営学」小倉昌男】

小倉昌男 経営学 

「経営学」

小倉昌男:著

日経BP

 

今更ながら・・・名著「経営学」を読みました。

あまりに有名な本ですから既にご存知の方も多いと思いますが、

クロネコヤマトの宅急便を創り上げたヤマト運輸の元社長・小倉昌男氏が

その立ち上げから成功までの苦闘を赤裸々に語った一冊です。

 

Mac、iPod、iPhoneによって世界中の人々の生活を変えたのが

スティーブ・ジョブズであるなら、

宅急便によって日本人の生活を変えたのが著者、小倉昌男氏だと思うんですね。

 

今、当たり前のようにある宅急便という生活インフラ、

それがどのように築かれてきたのか、その考え方、決断、行動力、周囲の反応、

そういう経営の根幹の部分にまで言及されていて

まるで上質のドキュメンタリー番組を見ているかのように

わくわく、ドキドキしながら読むことが出来ました。

 

Amazonの内容紹介 

「儲からない」といわれた個人宅配の市場を切り開き、「宅急便」

によって人々の生活の常識を変えた男、小倉昌男。

本書は、ヤマト運輸の元社長である小倉が書き下ろした、

経営のケーススタディーである。

 

   全体を通して読み取れるのは、「学習する経営者」小倉の謙虚さ

と、そこからは想像もできないほど強い決断力である。成功した人物に

ありがちな自慢話ではない。何から発想のヒントを得たか、

誰からもらったアイデアか、などがこと細かに記されている。講演会や

セミナー、書籍、マンハッタンで見た光景、海外の業者に聞いた話、

クロネコマークの由来

豊富なエピソードから伝わってくるのは、まさに学習し続ける男の

偉大さである。

 

■経営とは論理の積み重ねである 

経営とは自分の頭で考えるもの、その考えるという姿勢が大切である

ということだった。 

経営とは論理の積み重ねである。

(中略)

なぜ他社が成功したのか、自社の経営に生かすにはどこを変えるか、

論理的に考える必要がある。考える力がなければ経営者とはいえない。

当時、運輸業会の誰もが「儲からない」と思い込んでいた個人宅配市場に着眼し、

どのようにしたら儲けが出て事業として成り立つのか?

この命題に対して、論理を積み重ねて「解」を導き出す様子を読んでいて、

私は思わず「なるほどなぁ〜」と感嘆してしまいました。

 

『論理的思考(ロジカルシンキング)』という言葉は知っていましたが、

なるほど!ビジネスの現場でこうやって使うものなんだ!と

目からウロコがボロボロと剥がれ落ちたような思いです。

(知っているコトと、使いこなせるというコトは違うんですよね)

 

それから・・・

 

全国ネットワークを構築するにあたり、どれだけの物流拠点(センター)を

作れば良いのか?その答えを導くにあたり全国の郵便局や公立中学校、

警察署の数を調べて検討するシーンが書かれているのですが、

これなんて仮説思考とかフェルミ推定のケーススタディだと思うんですよね。

 

『経営とは自分の頭で考えるもの』

儲からないと思われていた宅急便が成功したのを見ると、同業他社が

それこそ雨後の筍のように個人宅配市場に参入してきたそうだが、

所詮、猿真似はサルマネである。

 

自分自身も、ともすると成功事例を丸パクリすることがなきにしもあらずだが、

自分の頭で考えるコトの大切さと、考えるとはどう云うコトなのかということを

この本で改めて教えられた思いがしました。

 

もっとも・・・

 

最初にこの宅急便の事業化を役員会に諮った時には全員から反対されたそうだが、

その反対を押し切って納得させるだけの胆力や行動力がなければ、

いくら良いことを考えても、絵餅になってしまうと思うだが。

 

■社長の仕事

「サービスが先、利益は後」という言葉を、社長が言わずに課長が

言うと、そこの社長に、「お前は利益はなくても構わないと言うのか」

とこっぴどく叱られるおそれがある。「サービスが先、利益は後」

というのは、社長だから言える言葉である。だからこそ、逆に社長が

言わなければならない言葉なのである。

 今は昔。

私が当時、勤めていた会社が経営危機に陥り役員でもあった私もご多分に漏れず

いくつもの新規事業を検討したりしていたことがあります。

 

でも・・・そう簡単にウハウハ儲かるビジネスなんてそうは無いですよね。。

初期投資を回収して利益が出るようになるまでは、数年は掛かるものばかり。

 

そんな時に、「最初は利益が出ませんが、こういうサービスを提供すれば

必ず利益が出るようになる筈です!」なんて、そう簡単には言えないし、

「それじゃ、利益が出るまでどれくらい掛かるんだ?」と聞かれて

「はい。。恐らく3から5年くらい・・・」などと言おうものなら

「何を暢気なコトを!」と一蹴されておしまいです。

 

小倉氏が宅急便の事業化を役員会に諮った当時、ヤマト運輸も

商業貨物の市場で他社に破れ、経営的にジリ貧に陥っていたそうです。

 

そんな危機的な状態の時に「利益は後」と言えるのはやはり社長だけだと

思うんですよね。。

 

経営者・・・と言うよりは、社長だからこそ言える、

社長だからこそ決断できる

そういう仕事があると思うんですよ。

 

よく経営者、社長は孤独だ、と言われることがありますよね。

「サービスが先、利益は後」

この言葉、一介の社員が言うのと、社長が言うのとでは

やはり重みが違うんですよ。

 

この本を読みながら、社長だからこそ出来る、しなければならない仕事が

あることを再認識するとともに、稀代の名経営者、小倉昌男氏と言えども

一人の人間としてやはり孤独と闘っていたのだろうか・・・?

そんなことを思ったりもしました。

 

■「ありがとう」のプレゼント 

当初は文句を言っていたヤマト運輸の古株社員ドライバーたちも、

宅急便の配達に行って、お客様からありがとうとお礼を言われるように

なってから、様子が変わった。商業貨物を運んでいた彼らは、

それまで貨物を配達に行ってお礼など言われた経験がなかった。

そのため、びっくりするとともに感激してしまった。そして段々やる気が

起ってきたのである。

 宅急便サービスを始めるにあたり、ヤマト運輸ではそれまでトラックの

運転手をしていた社員たちに、これからは「サービスドライバー(SD)」として

運転だけではなく集金や伝票書き、コンピューターへの入力、問い合せへの対応

など一人で何役もやって欲しいと行ったところ、

「俺たちは運転手だ。そんなこと出来ない!」と拒否されたそうです。

 

でも、そんなドライバーたちもお客さまから言われる「ありがとう」の言葉に

心が動き、積極的にセールスドライバーとしての仕事をするようになったのだとか。

 

このお客さまからの「ありがとう」の話しは本書の中でも何度か繰り返し

書かれているのですが、それを読む度に私、不覚にも(?)ジーンと熱いものを

感じてしまいました。

 

よく「何のために働くの?」ということが言われますが、

仕事って基本的には自分以外の誰かのお役に立つためのものだ、というのが

私の考えです。

 

でも、日常の仕事の中で誰かの役に立っているというコトを

感じにくい仕事があるのも事実。

でも、そのような仕事であっても「ありがとう」というたった一言が

自分の仕事の意味を教えてくれたりするんですよね。

 

「ありがとうで返事をしよう」と言ったのは我が師匠、和田裕美さんですが、

その「ありがとう」のプレゼントの意味を改めて本書を読みながら

再確認できたように思います。

 

■最後に■

この本の冒頭。宅急便を始める前からヤマト運輸が永年、取引をしていた

三越百貨店との取引から撤退(契約解消)するシーンが書かれています。

 

なぜ永年取引をしていた三越百貨店との取引を停止したのか・・・?!

 

えっ、そんなことまで書いちゃっていいの?と思うくらいに

赤裸々な事実が書かれていて、小倉昌男氏の生々しい感情と

悔しさみたいなものが滲み出ているのには、驚きました。

 

ビジネス書でありながら、理論や経営問題だけでなく

生身の人間としての感情までもが綴られているところにも

この本の面白さがあると思います。

 

「名作とは再読に耐えうるものだ」と言った人がいますが、

この本は読み返してみたら、きっとまた新たな発見があるんだろうな、と

思うくらいに宅急便という一つのビジネス、引いては小倉昌男氏という

一人の人としての生き様を描いた名作だと思うのです。

 

なぜ、もっと早くにこの本を手にしなかったのか?!

個人的には、そんな後悔の念も感じながら読了しました。

 

もしも・・・!まだ読んでないという人は直ぐに本屋さんへGO!なのだ。

posted by penguin-oyaji at 16:05 | Comment(0) | 読書(経営者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月05日

自分が信じた道を歩くための道しるべ「裸でも生きる」

裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ)

「裸でも生きる」

25歳女性起業家の号泣戦記

山口絵理子:著

講談社

 

この本はもう随分と前に買っておきながら、

ずっと積ん読の山に埋もれさせていた訳ですが、

先日(偶然?)参加したマザーハウスさんのセミナーを機に、

 

遅ればせながら・・・と言うか、

今さら・・・と言うか、

山の中から発掘して、手にとって読んでみました。

 

で・・・

 

泣きました。

 

ボロボロと涙を流して・・・

 

Amazonの内容紹介から

一歩踏み出す勇気がここにある!

イジメ、非行……居場所がなかった青春。

強くなりたいと入部したのは「男子柔道部」。

そして偏差値40から3ヵ月で一流大学合格。

大学を卒業し、本当の現場を見たいと渡った

アジア最貧国バングラデシュ。

 

腐敗にまみれた国で見つけた眠る素材、出会う人々。

やがてバッグ造りで起業を決意。

数々の失敗、挫折、裏切りに遭いながらも歩みを続け、

途上国発ブランド マザーハウスを軌道に乗せて

各マスコミで最注目の女性の、

明日へ向かう力に溢れたノンフィクション!

 

■私以上に努力してきた人間はいない

小学校時代には陰湿ないじめに遇い、

中学時代には、その反動で不良少女となるが、

偶然、出会った柔道にのめり込み、

高校では「男子」柔道部に入部!!

 

雑巾みたいに、投げられても、「来い!」って言って

私は巨漢に立ち向かっていったはず。

次の日、朝練に向かった。

また地獄のような練習がはじまった。

(中略)

練習ではいじめられた。壁にわざとたたきつけられ、

引きずり回され、また締め落とされ、私は吐いた。

耳はつぶれてしまったが、それでも頭にぐるぐるテーピングを

巻きつけ練習を続けた。(P30)

 

こんな感じで著者、山口さんの高校時代の柔道の練習は

半端ないものだったよう・・・

 

そして全国大会へのチケットが懸かった試合の前日、

彼女は思います。

 

「私以上に努力してきた人間はいない」(P32)

 

そして彼女は見事に県大会を勝ち抜き、

全国大会への出場を果たします。

 

運動部などで激しい練習を積んできたという話しは

時々、耳にしたりしますが、山口さんほどに「努力」を

つづけてきた人は滅多にいないのではないか、と思います。

 

私、一応コレでも中学、高校とバレー部に在籍していましたが、

山口さんに比べたら、その練習量なんて足下にも及びません!

 

読みながら思いました・・・

私は今まで「努力」という言葉の意味を

間違えていたのではないかと・・・

 

その後、彼女はバングラデシュに赴き、

数々の試練を乗り越えて、起業する訳ですが、

その過程での粘り強く努力する姿勢は既に学生時代に

発揮されていたんですね。

 

■みんなと同じテーブルで作業する

バングラデシュという異国の地で、バッグ造りで起業した彼女。

そこで彼女は現地の工場で実際に自分も一緒になって

バッグ造りの作業をします。

 

よく海外のバイヤーの方たちは高圧的に、「早くやれ!違うだろ!」という

指示の仕方をするが、(大半は生産の現場をまったく見ようともしないが)

私はみんなの気持ちになって、みんなと一緒に、同じ目線で同じテーブルで

作業をし続けた。

それが私に合ったやり方だと思ったから。(P148)

 

バイヤー(Buyer)って仕事は文字通り、小売店などの商品の買い付けを

仕事としている人のことです。

 

私も一応、十年ちょっとくらい小さなホームセンター企業で

バイヤーという仕事をしていた経験があります。

 

だから、このバングラディシュでの山口さんの「みんなと同じテーブルで

作業する」という仕事ぶりには、驚かされました。

 

ちょっと専門的な話しになりますが・・・

 

買い付けといっても、やり方は色々あって

 

この素材を使って、色はこの色で、デザインはこんなふうにして・・・と、

商品の仕様を決めてメーカーに発注する(仕様書発注なんて言われます)

やり方が一つ。

ちょうどオーダーメーイドの服を買うような感じですね。

 

それに対して、メーカーが企画して作った商品を吟味して、

必要数を買い付けるやり方もあります。

いわゆる「吊るしの服」を買うようなイメージです。

 

山口さんのやり方は完全に前者の仕様書発注方式ですね。

(ちなみに私は後者のやり方でした)

 

それに私の場合は常に3000品目くらいの商品を扱っていたのに対し、

山口さんは(多分)数点から十数点くらいの商品の扱いだと思うので、

仕事のやり方も違って当然だとは思うのです。。

 

が・・・!

 

山口さんの文章から伝わってくる商品に対する思い入れや愛情の深さ。

商品の品質に対するこだわり、厳しさ。

それに生産の現場(それもバングラディシュ!)に飛び込む仕事への姿勢。

もう何もかもが私とは違いすぎることに、ショックを受けました。

 

バイヤー時代、私はいったい何をしていたんだろう・・・

(そもそも、お前なんかと比べるな!という感じですかね・・・ショボン)

 

同じ日本人、同じ20代での仕事なのに、こんなにも違うのか!

目の前の仕事に全力を尽くす、とはよく言われる言葉ですが、

やる人は、ココまでやっているんですね。

 

■学校中響く怒鳴り声

バングラディシュでバッグ造りを始めた山口さん。

最初の製造分が完成して日本に帰国した後、もっとバッグのことを

知りたい!と専門学校に通いバッグの修行を始めます。

 

そこで出会った先生がまた怖くて厳しい人だったようで・・・

 

「なんでそんなことできないの!」

「何回言ったらわかるの!」

「やり直し!」

と、バッグ学校の中で怒鳴り声が響く。(P197)

 

怖いですね〜

でも、そんな厳しさの裏には先生なりの愛情が隠されていたんです。

 

「あんたがどんな覚悟でやっているのかなんて、十分わかっているから。

でも、あたしが言いたかったことは、あんたみたいなきれいな心を持った

人間が、この業界では、食い物にされちゃうんだよ。みんないい人ばかり

じゃないんだから。餌になんてされていいわけないでしょ」

「・・・・はい」

また、涙がボロボロ出てきた。(P198)

 

山口さんの奮闘ぶりを知りつつ、彼女の将来を案じて

敢えて厳しい態度で接していたんですね。

 

この本の中には山口さんの関係者、協力者が何人も登場しますが、

私は個人的にこの先生が一番印象に残りました。

 

優しくも厳しい大人って、自分の周りに

少なくなったような気がしませんか・・・?

 

私も社会人になって最初の上司が社内で一番怖いと評判だった人で、

そりゃもう、毎日コテンパンにやられまくってました。

情けない話しがですが、怒鳴られた悔しさと自分の情けなさに

社内で隠れて涙したこともあります。

 

そして挙げ句の果てに「見てろよ、絶対にいつか見返してやる!」と

逆恨みまでしたりして・・・

 

でも振り返ってみると、その上司のおかげで自分は成長できたと

思うし、何とか一人前の社会人になれたんだと今では感謝しています。

 

「甘さ」というコインがあるとすると、その裏側は「冷酷」。

甘いことばかりやっていると、皆を不幸にする。

冷酷では、人はついてこない。

「優しさ」というコインがあれば、その裏は「厳しさ」。

厳しいことをいうには勇気がいる。その勇気は信念から出てくる。

小宮一慶:著「人生の原理」より抜粋

 

私を含めてですが・・・変にモノわかりのいい優しいと言うよりは

甘い大人ばかりが増えてきているような気がするのです。

でも、それってやっぱり本当の「優しさ」ではないんですよね。

 

【まとめ】

バングラデシュで見てきた現実の中で自分の人生に最も影響を

与えたものは、明日に向かって必死に生きる人たちの姿だった。

 

ただただ生きるために、生きていた。

 

そんな姿を毎日見ていたら、バングラデシュの人が自分に問いかけて

いるような気がした。

「君はなんでそんなに幸せな環境にいるのに、やりたいことを

やらないんだ?」って。

 

他人にどう言われようが、他人にどう見られ評価されようが、

たとえ裸になってでも自分が信じた道を歩く。

それが、バングラデシュのみんなが教えてくれたことに対する

私なりの答えだ。(P257)

 

この本を読んで感動した人は大勢いると思う。

でも、皆んながみんな山口さんのように生きられる訳でもないと

思うのだが、別にそれでも良いと思う。

 

ただ、「自分が信じた道を歩く」言葉にすると軽々しく

聞こえてしまうかも知れない。

でも、この本を読めばその言葉の意味と重さは

充分に感じられるはず。

 

「努力という言葉の意味を間違えていたかも・・・」と

最初に書いたが、自分の人生で困難な壁にぶつかった時に

山口さんの凄まじい奮闘ぶりを思い出せば、

きっと自分も乗り越えられる!と勇気が湧いてくるはず。

 

おしまい。

最後まで読んでくれて、ありがとうございました。

よろしければ下の方にある「f いいね!」をポチしてくれると

私も勇気が湧いてくるのでよろしくお願いします!

 

山口さんの会社、マザーハウスのホームページ

レザー、ジュートバッグのマザーハウス公式サイト/財布、ショルダー、ハンド、トートバッグ、ネパールの服など 山口さんの会社、マザーハウスの公式サイト

私が参加したマザーハウスさんのセミナーの様子はこちらから・・・

 

ペンギンオヤジのB読書!: Warm Heart, Cool Head

 

 

タグ:山口絵理子
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2009年07月09日

個別解を導き出せ!・・・再び「グローバル・マインド」


「グローバル・マインド 超一流の思考原理」
日本人はなぜ正解のない問題に弱いのか

藤井 清孝 著
ダイヤモンド社

しつこく(・・・?)、藤井さんの「グローバル・マインド」を
読み返しています。

読むたびに、新しい発見というか、
琴線に触れるところが変わっていきます。。

■個別解を導き出す!
この本のキーワードの一つに「個別解」というものがあります。

人生は常に「個別解」であり、「自分が何者かを知り、
自分がこの世に生を受けてきた理由を死ぬまで追い続ける」
態度こそが骨太な人生を生み、真の幸せへと通じると
私は信じている
」(「はじめに」より抜粋)

この世に生まれてきた理由は、人によって全部違う「個別解」だ
(P224)

私を含め、横並び意識が強いといわれる日本人ですが、
一人ひとりが、それぞれの人生を歩んでいて
同じ人生は二つとないわけですよね。

で、あれば、
みんなと同じで・・・」というのは、むしろ不自然で
一人ひとりが違った考え方や生き方を持っているほうが
「あるべき姿」だと言えると思うのです。

「グローバル・マインド」を読んでいて思ったのですが、
藤井さんがこの「個別解」という考え方を持つに至るには
徹底して自己分析(=因数分解)をしたことが
一つ、大きな要因になっていると思うのです。

まず、自分がどういう人間になりたいかを、それまでの人生を
正直に振り返って、時間をかけて自問自答した。言ってみれば、
自分を「因数分解」したわけだ
」(P13)

就活の学生には、エラソーに「まず自己分析をしなさい!」と
お決まりの事を言っておりましたが、
自分が転職のために、いざ、自分の分析をしようと思うと、
これがまた、なかなか・・・(汗!!)

けっこう、ツライ作業というか、
やっていると苦しくなってきます。。

そういえば、以前「ストレングス・ファインダー」で
自分の強み分析などもやってみましたが・・・

《参考図書》

《関連エントリー》
ペンギンオヤジの5つの強み・・・「さあ、才能に目覚めよう」

まぁ、私の話しは横に置いておいて・・・
藤井さんの場合、ご自身を因数分解した結果、導き出されたのが

その結果、自分には、「国際的に活躍できる職業」であることと
「プロの仕事」がしたいという軸があることを発見した
」(P13)

これが藤井さんが社会人になる時の職業観。
そして今では、それが更に進化して・・・

自分の使命は「日本にいまだに根づいていなくて、日本のためになる
仕組みを、外国から持ってくる」ことと、「日本の優秀さを、世界に広げる」
ことだということである
」(P214)

自分の人生の使命、よく言われる「ミッション・ステートメント」、を
きちんと確立されているんですね。

自分の人生の目的が明確になっていて、
その思いが強ければ強いほど、人はパワーを発揮すると思うので、
藤井さんの強さの秘密は、そこにあるのかなと感じます。

そして・・・

「個別解」を求めて、試行錯誤の中で自分のあらゆる可能性を探り、
そのプロセスを楽しむことを覚えた人間は強く、人に頼らず、
自分で幸せを 呼び込める能力を持っているのだ
」(P224)

「個別解」というのは、いわば正解が無い世界でもあると思うので、
当然、試行錯誤の連続になるわけですよね。
考える」・「実行する」・「検証する」という、いわばPDCAサイクルを
自分で回し続けるわけですから、そりゃ思考も深まるというものです。

そして更に・・・

明らかな正解が存在せず、問題の定義から入らなくてはならない
場合は、 自分のロジックを骨太に説明するコミュニケーション能力が
必要不可欠だ。 これは先述の「構想力」にもつながってくる
」(P222)

俺は俺の道を行くぜ!

の一言で済めば苦労は無いのでしょうが、仕事となれば
まして藤井さんのように企業のトップであれば、
当然、周りに対する説明責任も必要なわけで、
コミュニケーション能力も高まるというわけです。

前のエントリーで、藤井さんの話は分かりやすい!というような事を
書きましたが、こうしたプロセスをたどって考えてみると
(ありきたりでない)自分独自の考えを、否応なく周囲に対して説明を
しなければならない立場にいたことも、藤井さんが分かりやすい話し方を
習得された一つの要因なのかもしれませんね。

まとめると、だいたい以下のような感じ。


◎自分自身を「因数分解」して、自分自身を深く知る
◎自分自身の「個別解」を導き出す
◎自分自身の人生の使命(ミッション・ステートメント)を確立する
※試行錯誤のプロセスを通じて、思考力・実行力・精神力が鍛えられる
※周囲の人に自分の思いを伝えるためにコミュニケーション能力もアップする


こうしてみると、原点は「己を知る」ということですね。


自分がやりたいことは何なのか?


不惑の年にも限らず、迷ってばかりの私にとって
先ずは、やはり再度、自分自身を見つめ直すことが必要なようです。


お知らせ(その1):和田裕美さん講演会情報

8月26日(水)の夜、東京の御茶ノ水で和田裕美さんの講演会が
あります!主催は週末起業で有名な藤井孝一さんのところです。
詳しくは以下のページにて、ご確認下さい。
※私は・・・・もちろん申し込みました!^^

和田裕美先生に学ぶ!仕事も人間関係もうまくいく『陽転思考』


お知らせ(その2):「裏」で紹介していただきました!

昨夜のこと、ネットを渡り歩きながら色々な方のブログなどを
拝見していたのですが・・・その中で、いつも必ず見させて貰っている
「和田裕美のとこのスタッフです」(通称、「裏」ブログ)を見て
一瞬・・・・???
そして次の瞬間、思わず赤面
なんと!このブログ「ペンギンオヤジのB読書!」を
大々的に取り上げて、記事に書いてくださっていました!
(詳しくは下記のリンクから・・・)
おかげさまで、今日はアクセス数がうなぎ上り↑↑↑でした^^
ペリエの住田さん、ありがとうございました。!

和田裕美のところのスタッフです(みなさんのブログ紹介)
では、今日もありがとうございました。
タグ:藤井清孝
posted by penguin-oyaji at 22:14 | Comment(4) | TrackBack(0) | 読書(経営者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月12日

「経営」のレバレッジ思考と実践・・・「レバレッジ・マネジメント」


Book-No.123
「レバレッジ・マネジメント」
少ない労力で大きな成果をあげる経営戦略

本田 直之 著
東洋経済新報社



昨日の「「社長力」養成講座」に続き、
今回も「経営」をテーマとした本です。

まぁ、既にあっちこっちのブログなどで書評や感想文が
アップされていますので、ご存知の方も多いかと・・・
(出遅れ感、たっぷりですわ〜笑)

さて、本田さんといえば『レバレッジ』なわけで、
この本でもサブタイトルにあるように
「少ない労力で大きな成果をあげる」ために、
どういう施策を打てばよいかという事が
数多く書かれています。

しかも・・・
単なる理論ではなく、本田さんが経営者として
実践してきた事例から導き出されているので、
読んでいても「納得感たっぷり!」でした。

■経営の仕事

経営者にしかできない、経営者がやるべき仕事とは、
本質的に考え、意志決定することである
」(P017)

正しい方向に航路を定め、大きく舵取りするのは、
経営者にしかできない仕事である。
たとえ優秀な社員でも、会社の方向性を決めてくれと
任せるわけにはいかない
」(P085)

企業経営の中で、一番重要なことは「企業の方向付け」だと
私は思っています。

そして、それこそが経営者としての
最も重要な仕事なのではないかと思うのです。

戦略のミスは、戦術ではカバーできない・・・というような事が
言われたりしますが、
進むべき方向を間違えてしまったら、
どんなに努力をしても、成果は上がらないでしょう。。。

(棚からボタモチ、という事もあるかもしれませんが
そう何個もボタモチは落ちてこないでしょうし・笑)

だ・か・ら

経営者として自分の会社をどのようにしたいのかを
考えて決める、つまり、戦略を策定することが
もっとも大切な事だと思うのです。

■経営者といえども、人の子

経営戦略については、本書の中でも
第2章で「戦略のレバレッジ」としてページが割かれ
詳しく書かれています。

が・・・
それはそれとして。

経営者として、企業の方向付けや企業戦略などの
重要な意思決定をする際に、
一流の経営者はどんな心理状態で臨んでいるのかが
とても気になります・・・です。

だって・・・


時には大きなリスクを取る意思決定だって
あるわけですよね。
自分の判断一つで多くの人を幸せにもするし、
不幸にもしてしまうような決断が求められるのが
経営者ですよね。


これって、恐くないですか?

私の考えですが、
経営者に必要な資質の一つに「胆力」があると思うのです。

人は感情の動物ですから、正しい論理で物事を組み立てて
考え抜いたとしても、いざ、それを実行するボタンを押す時には
やはり、不安に感じたりする事だってあるのではないかと思うのです。

そういった問題について本田さんは・・・
(経営者は)意識してメンタルを強くしないと、何かあったときに
おれてしまうのだ
」(P068)
と書き、メンタルを強くするポイントとして以下の三点を挙げています。

一つは「ピンチはチャンスだ」という思考癖をつけること。
二つ目は、「身の回りには、自分が解決できないような問題は
起こらない」と考えること。
三つ目は、「すべてはトレーニング次第であり、メンタルタフネスも
上げられるものだ」と知っておくこと。

このあたりは、経営者でなくとも充分に
参考になるのではないかと感じました。


いまや、ビジネスパーソンにとっては身体の健康だけでなく、
心の健康も充分に留意しないといけませんからね。

■本田さんの真骨頂

第4章で「ブランドのレバレッジ」ということが書かれているのですが、
これこそが、本田さんの真骨頂というか他の人には書けない内容では
ないのかなと思いました。

会社のキャッチフレーズ、メディアリレーション、ブランディングなどなど・・・

オフィスをブランディングしておけば、外部にも内部にもメリットがある。
外部という観点では、顧客へのイメージのみならず、
採用時に人を集めやすくなる。
また、内部という観点では、中で働く社員に快適な環境を
用意することで生産性もモチベーションも上がる
」(P179)

この本の中で本田さんも書かれていますが、
日本の経営者はデザインとかについては、あまり考えていないのか
けっこう実用本位一点張りという会社が多いような気がします。
(あくまでも私の主観ですが・・・)

で、

時折、雑誌などで拝見する本田さんのオフィス
カッコイイですものねぇ〜^^

だからこそ、ブランディングとかデザインについて
書かれているところも納得して読めたりするのですが。

■経営者でなくとも・・・

前回の「社長力」でも書きましたが、
経営に関する本だから、経営者や幹部以外の人には
役立たないかというと・・・・
もちろん、そんなことはありません!

例えば・・・

たとえこちらが発注側でも、決して相手を「業者」と呼んではいけない。
ささいなことのようだが、これは徹底したほうがよい。
すべては人対人の人間関係という、当たり前だが大切な原則を
忘れないことだ
」(P231)

このあたりの記述については、現場の最前線で
活躍されている人にとっても含蓄のある話だと思います。

さらに・・・

私の考えでは、運とはみんなの前に平等に流れていて、
「運が良い・悪い」とは、気づくか気づかないかの差だと思う
」(P073)

運は上げるものではなく、気づく確率を上げるものだと
覚えておいて損はない
」(P073)

このへんは自己啓発書と同じですね。

「運」は準備が出来ている人のところへやって来る、
という話しもあります。

「経営」なんて自分とは関係ない縁遠い話しだと思わずに
企業で働いている以上、企業経営の正しいあり方を
学んでおいて損はないかと・・・・

そうやってコツコツと学び、準備をしている人のところへ
前髪神様(※)がやってくるのかもしれないのですから・・・・

※前髪神様・・・前髪しかないと言われているチャンスの神様のことで
和田裕美さんが名付け親。ちなみに商標登録されいるとの事。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
タグ:本田直之
posted by penguin-oyaji at 16:20 | Comment(8) | TrackBack(0) | 読書(経営者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月26日

和田さん、激プッシュ!・・・・「グローバル・マインド超一流の思考原理」

 

Book-No,113
「The Global Mind グローバル・マインド 超一流の思考原理」
日本人はなぜ正解のない問題に弱いのか

藤井 清孝 著
ダイヤモンド社

 
今日も長文注意!でお願いします・・・

ちょっと前に和田裕美さんがご自身のブログで、
この本の事を書かれているのを読んで興味を持ち
速攻でamazonしました。

■「経営」という独立した仕事

著者の藤井清孝さんの事は勉強不足で
この本を読むまで知りませんでした。

が・・・
先ず経歴がスゴイ!!

・東京大学法学部卒業
・マッキンゼー・アンド・カンパニー(コンサルタント)
※ハーバード大学経営大学院(MBA)卒業
・ファースト・ボストン(投資銀行)・・・M&A担当
・ケイデンズ・デザイン・システムズ(半導体設計、CAD開発)日本法人社長
・SAPジャパン(システムソフトウェア開発)代表取締役社長
・ルイヴィトンジャパンCEO
・ベタープレイス・ジャパン(電気自動車用充電インフラ)代表取締役社長

このように本書の中ではマッキンゼーに就職を決めるところから
現在までの藤井さんの半生記が綴られています。

読み終えて、「藤井さんは世界で通用するプロの経営者だ!」と
実感しました。

小宮先生(小宮一慶さん)がよく「経営という独立した仕事がある」、
プロの経営者は何処の会社でも経営が出来る」というような事を
書かれたり話されたりしています。

社長になるとしたら、
その会社でコツコツと実務経験を積んで抜擢されるか、
自分で起業して社長になるという事が多いように思うのですが
藤井さんは実務経験も無い半導体業界の会社でいきなり社長となり、
その後も異業種の会社を渡り歩き、(それも外資ばっかり!)
経営者として活躍されてきたのです。

まさしく、プロの経営者だと感じました。
■地頭力と情報収集と行動力
プロの経営者としての資質を磨くためには、どうすれば良いのか?
気になりますよね?
本書を読んで頂ければ分かるのですが・・・

藤井さんはプロの経営者になる遥か以前から
「地頭力」+「情報収集力」+「行動力」が抜群に優れていたのです!!

例えば本書の初めの方で、こんなエピソードが書かれています。

●アパート探し
藤井さんが大学に入学する時に、下宿先を探している時のエピソード

普通は最初に不動産屋さんに出向いて、そこで自分の希望に近い物件を
紹介してもらい、多少の妥協もしつつ部屋を決めると思うんですね。
もちろん、藤井さんが部屋を探していた頃には
インターネットも無かった頃ですから、今以上に不動産屋さんが
果たしていた役割は大きかった筈です。

実際、藤井さんも最初は不動産屋さんに行って紹介を受けるのですが、
自分の条件とは違う物件を紹介されてしまった・・・・
さて、どうするか?です。

私は、実際に下北沢の街をくまなく歩いて、環境のよさそうなところの
アパートをまず見つけて、そこから逆に不動産屋さんを割り出す方法で
自分の条件にかなり近い物件を得ることができた
」(P012)

いやー、高校卒業して間もない頃に、ここまで考えて行動できますか?
この時の教訓を藤井さんは次のように書かれています。

自分にとって大切な条件をあらかじめしっかり判断の軸としてもつこと、
そして最後に、できるだけ自分で一時情報を取り、中間の人に情報操作を
されないことである
」(P012)

●マッキンゼーへの就職活動
今でこそ、マッキンゼーといえば超一流、超有名会社ですが、
藤井さんが大学を卒業して就職活動をされている頃には
聞いたこともない会社、業界」というのが、世間での通り相場だったようです。
実際、藤井さんが三菱商事の内定を断って、マッキンゼーに入社すると
ご両親に報告したら、勘当されかけたと記しています。

さて、藤井さんがマッキンゼーに入社を決めるまでの就職活動が
これまたスゴイ!

入社に興味のない日本企業をわざわざ受けにいって、面接の最後に
「マッキンゼーって会社知っていますか。どう思います?」と聞くのが
目的であった
」(P018)

情報収集するために、わざわざ他社の試験を受けに行ったんですね。
それだけでも「ホホー」と唸るくらいなのに、更に藤井さんは書店で
マッキンゼーやビジネススクールのことがたくさん書かれている
「アメリカのビジネス・エリート」という本を見つけて・・・

その本を購入して夢中で読んだ後、どうしても著者に直接会って
話を聞きたくなった。そして出版社に電話をして、就職に悩んでいる
自分の状況を説明し、ぜひとも著者と直接話をしたい旨を伝え、
自分の電話番号を伝えた
」(P021)

実際、藤井さんは数日後に著者の山田正喜子氏と会って
皆にはすすめないけど、あなたはマッキンゼーに行くべきよ」という
言葉を貰うのです。

私も採用の仕事で、就活中の学生さんにお会いする機会が
多いのですが、ここまで情報収集している学生さんには
出会ったことが無いです!

こういったエピソードを読んで、藤井さんのプロの経営者として資質は、
既に学生時代から芽生えていた事を感じました。

■情報力について

できるだけ一次情報を自分でつかみ、中間の人たちに情報操作されない
という言葉を読んで、私なりに情報力について感じた事を書いてみます。

普段の生活の中で得ている情報源って考えてみると・・・
テレビ、新聞、インターネット、書籍、雑誌などなど
でも改めて考えてみると、これらの情報ソースが流しているものは
全部、二次情報なのですよね。

二次情報には必ず間に情報を編集する人が存在するので
よく言われている通り、編集する人の都合がいいように
情報が歪められてしまう危険性があります。

にもかかわらず、マスコミが言っていることや、著名な人が言っていることを
なんとなく「正しい」と思い込んでしまう事があります。

もちろん、全ての情報に関して一次情報を得るのは不可能ですから、
どうしてもマス媒体とかに頼らざるを得ないのも事実。

書を捨てよ、町へ出よう」と言ったのは寺山修二だったと思うが、
例えば就職活動で会社を決める時のように、
大きな決断をする時などには
ネットやマスコミの情報を鵜呑みにするのではなく、
自分の足を使って、五感で感じながら一次情報を集めて、
自分で考えて判断する能力を身に付けるべきだなぁと、
この本を読んで改めて思いました。

■グローバルマインド

私が学生時代にチャリンコで旅をしている時に
日本一周をしているライダー(バイクで旅している人)に
会ったことがあります。

そのライダーのお兄さんが言っていたのは
みんな海外旅行に行ったりしているけど、僕は自分が生まれた国を
もっと知りたいから、日本一周の旅に出た

私は、何だかその言葉がズシン!と心に響いて、単純にも
そうだ!日本をもっと旅しよう!」と思ったのです。
で、それ以来、海外にも殆ど行く事なく、時間があれば
日本のあっちこっとを見て歩くようになったのです。

もっとも英語が苦手なので、あまり積極的に海外へ行こうという
思考がはたらかないのも事実なのですが・・・(汗)

ただ、日本を知るためには、その内部に潜り込んで
隈なく見て歩くのも一つのやり方ですが、
外から(海外から)日本を客観的に見るのも
日本を知る一つのやり方であることを
藤井さんの言葉から強く感じました。

ましてや、日本国内にいて独自文化を貫けばいいと云う時代では
なくなってきている訳ですから、
海外視点で見る日本の姿というのも
今後はますます必要になってくると思うのです。

藤井さんは前述の通り、外国の企業で働き、
海外経験も長いので、その分だけ外から見た日本の良いところ
悪いところが客観的に見えているんです。
本書の中では、そうした海外視点で見た日本の姿
ものすごく事例も挙げながらたくさん書かれています!

例えば・・・って書き出すと、それだけでも大変な量になるので
詳しい話は本書を読んでみてください。

■ケータイ文化

携帯電話の普及は、コミュニケーションに対する考え方を
180度変えた。私の青春時代は、ガールフレンドに
電話をすること自体が一大イベントであった
」(P245)

私が激しく共感した一節です!(笑)
まったく、どーでもいい話ですが・・・

藤井さんが書かれているように、
私も若かりし頃は彼女の家に電話するだけでも、
ちょっと勇気が必要だったんです。

そして社会人になったばかりの頃、勇気を出して彼女の家に
電話をすると、かなり高い確率でお母さんが電話を取るんですよ。

「○○さんは、いますか?
ごめんなさい、まだ会社から帰ってきていないんですよ
あっ、そうですか。それでは、また掛け直します
せっかく電話したのに、何処いってるんだよぉ・・・涙

彼女のお母さんと、こんなやり取りが二度、三度と続くうちに
何だか、そのお母さんともポツポツと話をするようになり、
そのうち、彼女が不在でもお母さんと電話で1時間以上も
世間話をするようになってしまったという事があります。

だから、どーした?と言われると困るのですが(汗)
ケータイばかりで、彼女のお母さんとも話した事ないなら
一度くらい、彼女の自宅の電話に掛けてみろ!
とオジサンは言いたい!
ドンドン!
(机を叩く音)

■最後に・・・
相変わらず、長文でゴメンなさい!

冒頭で書いたように、この本を手にしたきっかけは和田裕美さんの
ブログだったのですが、和田さん激プッシュだけあって、
とても良い本でした!

私のこのブログの拙い文章で、本書の印象が悪くなってもいけないので、
最後に和田さんのブログをご紹介して終わります。

(追記)

3月3日に著者の藤井清孝さんの講演会に参加する予定ですので、
そしたらまた、藤井さんのお話をシェアさせていただきますね。

今日も、ありがとうございました。
●「グローバル・マインドを持つこと」和田裕美の公式ブログ
●「和田裕美とペリエスタッフのオススメ本コーナー」和田裕美の公式サイト
タグ:藤井清孝
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2008年12月10日

日記帳はトイレの貼り紙で、ブログは背中の貼り紙

 

Book-No.86
「日記ブログで夢をかなえる」

トレンダーズ・女性起業塾代表取締役
経沢香保子 著
ダイヤモンド社

タイトルに惹かれて、読んでみました。

私の場合、今年の2月にこのブログを始めましたので、
ブロガーとしては、本当に「駆け出し」のヒヨッ子ですが、
経沢さんがブログを始めたのが、本書の内容から察すると
2000年頃だと思われるので、
ブロガーとしては大先輩なわけです。

■先見の明
(ブログを始めた)その頃は、あまり、ブログシステムの種類も多くなくて、
そもそも「ブログ」という名前でもなく、「日記が書ける」という歌い文句で
数社がサービスを提供していただけでした
」(P22)

日本でブログが広まったのが一体、いつ頃なのか気になって
調べてみると、2002年頃からのようです(by Wikipedia)
前に書いたように著者の経沢さんがブログを始めたのが
2000年頃ですから、かなり早い時期から始められていたという事になります。

記憶が曖昧ですが、数年前にブログで他人の日記を読んで
何が面白いんだ?!みたな事が一部で言われていた頃もあったと思います。

それが今ではwebのメインストリームで、
ブログ発の書籍も珍しくなくなってきてしまいましたね。

何か新しいモノやコトが世の中に出てきた時に
おっ、何だか面白そう」と興味を示して、手に取ったり行動を起こす人と
なんじゃ、それ?何が面白いんだ」と自分で実際にやりもしないのに
懐疑的な視線を向ける人とに分かれますよね、たいていの場合。

私も、どっちかつーと後者のタイプで、
あーだ、こーだと言いながら、何もしない方なんですけどね・・・(汗)

でも、「先行者利益」という言葉があるくらいですから、
何事も早く始めた人が得をするというのが一般的なわけです。

そう思うと、まだ海のものとも山のものとも分からなかった
ブログに目を付けて、それを活用してきたというのは
やはり経沢さんの先見の明と言うか、起業家として独特の嗅覚がはたらいたと
いうべきなのでしょうか・・・?

■メディアとしてのブログ
せっかくブログを書くのであれば、最低でも一日500くらい、
できれば1000アクセス数を目指した方がいいと思います。
あなたのブログに共感してくれる1000人がいれば、きっと何か変わるかも
しれない、という意味もあります
」(P74)

確かに一日、1000人以上が見に来てくれるようになれば、
メディアとしての側面も持つようになるのでしょう。
経沢さんのように企業の経営者であれば、自社の宣伝にもなるでしょうし、
個人であっても、アリフェイトで少しは稼げるようになるのかも知れません。

でもアクセス数が伸びれば、良い事だらけかというと
そんな事は勿論なくて、(本書の中でも書かれていますが)
ネガティブな書き込みも当然、増えてくるでしょうし
いわゆる「炎上」なんて自体にも・・・・?

どこまでアクセス数を伸ばすか(伸ばすことが出来るか)は
そのブログのオーナーの考え方とコンテンツの創造性次第だと思います。

アクセス数を伸ばすためのテクニックとして本書の中では

・多くの人の共感を呼ぶようなことを書く
・毎日見に来ても飽きないよう、いろんな種類のネタを出す
・タイトルには具体的なキーワードが入っている方が検索にひっかかりやすい
・既に人気のあるブログにコメント書いて足跡を残したり、トラックバックする

というようなことが、経沢さんの実体験に沿って書かれていますので、
ブロガーで自分のサイトのアクセス数を伸ばしたいと思われている方は
是非、ご一読を・・・

ちなみに、私のこのブログ、
一日のアクセス数が今のところ、ユーザー数だと70〜100くらい。
一度だけ、200を超えたことがあって、腰が抜けました・・・(笑)

ちなみに別館の方は、20〜30くらいです。

傾向としては、更新が続くと見に来てくださる人の数は伸びますね。

ありがたいことだと思っています。

■なぜブログを書くと夢がかなうのか
「日記帳はトイレの貼り紙で、ブログは背中の貼り紙」
自分の目標を紙に書いた時、誰にも見られないプライベートな場所に貼るのと
大勢の人の目にふれる場所に貼るのでは、全然、意味合いが違ってくると
思いませんか
」(P31)

なぜブログを書くと夢が叶うのか?
これは、もう古今東西の自己啓発書に書かれている通り
(先日のChabo!イベントで話題になっていましたが)
夢を言語化して、潜在意識に刷り込むことで自分の行動を夢に近づけることが
できるから、
の一言に尽きると思います。

加えてブログの場合は、手帳に書くのと違って他人様にコミットしているのと
同じ状態になりますから、そりゃ否が応でも
やらなきゃ!」感が違ってくるというものです。
まさに経沢さんが書かれている
日記帳はトイレの貼り紙で、ブログは背中の貼り紙
とは、蓋し名言だと思います。

今までにも何度か書いていますが、
・今年はビジネス書を100冊読んで、その感想や学びをブログに書き記す
・体重を75kgまで落とす(ダイエットに励む)
この2点が、このブログのミッションなのですが、
今になって思えば、ブログで宣言していなければ、
果たして、ここまで続けられていたかどうか・・・?
けっこう怪しいもんです、私の場合(笑)

・・・・そんな訳で、残り14冊!年内の達成を目指して頑張ります!!
(けっこう更新ペースを上げないと、キツイっす・・・)

 

いつも最後まで、読んでいただきありがとうございます。

posted by penguin-oyaji at 21:39 | Comment(4) | TrackBack(0) | 読書(経営者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月09日

愚直に生きた男の物語

 

Book-No.85
「粗にして野だが卑ではない」
石田禮助の生涯

城山三郎 著
文春文庫

熊野へ行ったときに、往復の飛行機の中で読みました。
・・・と言っても、この本が単行本として出版された当時に
一度読んでいるので、実に20数年ぶりの再読なのですが・・・

さて、本書は三井物産社長から第5代国鉄総裁になった
石田禮助氏の半生について城山三郎氏が筆を取ったものです。

気になって、チョッと調べてみたら・・・
国鉄が分割民営化でJRに変わったのって、1987年(昭和62年)と
今からもう20年以上も前になるのですね。
・・・という事は、今の二十歳前後の若者たちには「国鉄」という
記憶が無いということかぁ・・・ウーム

話が横道に逸れましたが、
石田禮助氏、良いですっ!
こういう生き方に、ちょっと憧れてしまいます。
一本気に生きた男って感じです。

例によって書きたい事はいっぱいあるのですが、
・正義を貫いた生き方
・行動基準としての「卑ではない」
・天国への旅券
この3点について、書きたいと思います。

■正義を貫いた生き方
国鉄監査委員長時代、石田は「もうからなけりゃやっちゃいかん」と
しきりに効率を説いてきたが、しかし、安全については例外としていた。
老朽化した青函連絡船の更新を強く推進してきたし、十河総裁が
線路保守費を大幅削減することを決めると、石田は十河に迫って、
全額復活させた
」(P148)

とにかく、安全の確保。安全のためには、金も時間も一切惜しんでは
ならない
」(P152)

仕事や事業をしていく上で何を最優先事項にしていくかという話しがありますね。
例えば、小売業であれば店舗の安全性であり、商品の安全性がとにかく第一だと
思っています。
しかし、そこに「お金」とか「経費」が絡んでくると急に目をつむってしまう・・・
そんな事が現場では日常的にあるのではないかと・・・

運輸業である国鉄(今のJR)にとっての最優先事項は、やはり「安全」で
あった筈です。
しかし、当時まだ国の一機関であった国鉄にとっては予算は国との折衝が
必要で、国鉄総裁が国会に出向いて行ったりしていたんですね。

昭和39年度予算として例年の倍以上の金額を要求したところ、
これを大蔵省(今の財務省)が平年並みにごっそりと削減してしまいます。
予算要求は山をかけたのではない。事は人命にかかわる。どうしても必要だから
要求したのに、なぜ政府も国会も応えてくれないのか。
石田はその思いを、年の明けた2月7日の衆議院運輸委員会で吐き出す
」(P154)
この後、石田総裁が国会を舞台に、必要予算を獲得するための奮闘振りが
描かれていて、その主張の正しさに胸がすくような思いがします。

組織の中にいると、「正しいこと」を「正しい」と言うだけでも
大変な場面があったりすると思うのですが、
国会という大舞台でも臆することなく、正義を貫く姿に感動させられます。

また、正義の見方みたいな顔をして正論を吐く人って、
周りからすると、ちょっと疎ましいと言うか、
嫌われたりすることもあると思うのですが、
石田氏の場合はそうはならない。

予算をけずられ、孤軍ふんとうしているのをみると、野党としても
”石田がんばれ”とバックアップしたくなるね
」(P163)

正義を貫いた上で、愛されるべき人柄として多くの人から慕われる・・・
願わくば、そんな生き方をしてみたいものだと思います。

■行動基準としての「卑ではない」
国鉄総裁になり、はじめて国会へ呼ばれたとき、石田は代議士たちを前に
自己紹介した。
「粗にして野だが卑ではないつもり」
」(P12)

この本のタイトルにもなった「粗にして野だが卑ではない」というのは、
上記のように、石田氏が国会で述べた自己紹介の一部なのです。

石田自身も、国鉄総裁用として渡されていた全日空、営団地下鉄、東武など
八社の優待パスをすべて返上した。
モラルあってのソロバンである。正々堂々と働き、正々堂々と生きよ・・・・
石田の言いたかったのは、そういうことであった
」(P172)

自分自身の行動基準というか、価値判断の基準として
一本、スジを通す」ということの大切さですね。

下手に権力だとか地位を手にしてしまうと、
急に自分が偉くなったような気になってしまって、「何でもアリ」になってしまう人って
たまにいませんか?

自分の話で恐縮なのですが、
20代半ばから10年間くらいバイヤーとして、取引先(問屋、商社など)から
商品の買い付けをする仕事をしていた事があります。

取引先の営業マンからすると、バイヤーの首を立てに振らせれば、
商品が売れるわけですから、それこそ接待だとか、お車代だといって
バイヤーをあの手この手で持ち上げてくれるような事をする取引先もありました。
時には何処で調べたのか自宅に付け届けを送ってくるようなところも・・・

勘違いをしてはいけないのが、自分が偉い訳ではなくて、
自分が背負っている会社の看板に対して、取引先は頭を下げている訳です。
それなのに・・・
取引先に対して横柄な態度をとったり、無言のうちに接待を強要するような事を
言ったりする先輩方を何人も見てしまったんですね。

個人的に、そういうのが大嫌いだったので、
接待は受けたことありませんし、
展示会に行ってお土産と一緒に「車代」と書かれた封筒なんか渡された日には
それを受付に置いて帰ってきました。
もちろん自宅に来たお歳暮は裏判をついて、返送しました。
部下を持つようになってからは、
取引先から袖の下を貰ったりしたら、即刻クビにして俺も責任を取って辞めるから、
そのつもりで・・・
」と新任のバイヤーに対しては必ず言っていました。

周囲からは、何もそこまで・・・と言われた事もあるのですが、
やはり、誰からも後ろ指をさされたくないと思うのです。

石田氏には、到底かないませんが、
自分の行動基準として、「一本スジを通す」ということを、
いつまでも忘れたくありません。

■天国への旅券
商売に徹して生きた後は、「パブリック・サービス」。世の中のために尽くす。
そこではじめて天国へ行ける。
石田は、
「これでパスポート・フォア・ヘブン(天国への旅券)を与えられた」
とも言った
」(P19)

ちょっと前から気になっていたのですが
功成り名遂げた人は何故、世のため人のためと言いだすのか?と。
少し(かなり)ひねている私は、「年取ると名誉欲が出てくるのかな?」と
斜に構えたような事を思っていたのですが、
この石田氏の言葉を読んで、「なるほどね」と思ったのでした。

ちょっと、宗教チックな物言いになってしまいますが、
人のために頑張る、人のお役に立つことを自分の人生の最後に成し遂げることで
人生を全うした」というような気持ちになるのかな?って思うのです。

誰かのために役立ったという事で、自分の人生はムダではなかった、
そんなふうな心境になるのかもしれません。
若輩者ですので、とてもまだ、そんな達観した気持ちは分からないのですが、
誰かのために働ける、生きていけるという事が幸せ、という気持ちは感じながら
日々を過ごしていきたいと思うのです。

ちょっと、まとめがキレイ過ぎますかね?(笑)

いつも、お付き合いくださって、ありがとうございます。

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2008年11月30日

那智大社にて

こんにちは。

熊野三山の最後に、先ほど那智大社に
参拝をして来ました。

那智大社の側には有名な那智の滝があります。

滝壺のすぐ近くまで行って、滝を見上げたら
何だか心が空っぽになってしまいました。

大昔の人が、この滝を神様として祀った気持ちが
何だか少し分かったような気がします。

足掛け二日間の神社巡りの旅もフィナーレです。

このあとは、20年前の自分の足跡を探しに
潮岬へ行こうかと思います。


iPhoneから送信
posted by penguin-oyaji at 13:47 | Comment(4) | TrackBack(0) | 読書(経営者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月29日

熊野川温泉にて

こんばんは。

メールでブログの更新が出来るようなので、
チャレンジしてみたいと思います。

朝、羽田から飛行機で南紀白浜に降り立ちました。
その後、レンタカーで熊野本宮へ。

ご存知の方もいるかと思いますが、
熊野は「再生の土地」と言われている場所なのです。
私はその事を和田さんのブログで知り、
「いつか行きたい!」と思っていました。

で、
先日の「わくわく」で和田さんのお話を聞いたら、
無性に「熊野へ行きたい!」と思うようになり、
それで、とうとう来てしまいました。

熊野本宮では熱心に祝詞を唱えがら
参拝しているおばさんに会いました。
そのおばさんが唱える祝詞を聞いていたら
しみじみとした気分になりました。

何だか良いですよね。

私は和田さんにあやかって、
お願い事というよりも、
今、自分に与えてもらっていることに
感謝の気持ちを込めて
お参りしてきました。


その後、大斎原(おおゆのはら)へ。
ここは熊野本宮の旧社地。

正直、今まで私は神社とかに行っても
とくに「気」とか感じたことなどなかったのです。
でも今日の大斎原はスゴかった!!

大鳥居が見えた瞬間から
全身に鳥肌が立つくらいに何だか分からないパワーを
感じ始めて、敷地の中に立ったら
「怖い」とさえ思うくらいでした。
マジで。
これが「気」なんでしょうか?


その後は、これまた和田さんのお薦め玉置神社へ。

参拝している人が誰もいなくて
風の音だけが聞こえてくる静寂の世界。
ここも良かったです。

明日は熊野三山の残り二つ
新宮の熊野速玉大社
那智の熊野那智大社(那智の滝)
に参拝しようと思います。

夜には東京に帰ります。

では、これから温泉に浸かって
ビールでも飲みます。

神聖な気持ちになったのに、
やっぱり俗っぽい私なのでした(笑)

ではでは。
posted by penguin-oyaji at 20:58 | Comment(4) | TrackBack(0) | 読書(経営者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月11日

ドトールコーヒーの成功要因をさぐる


Book-No.29
「想うことが思うようになる努力」
ドトールコーヒー成功の原理・原則
鳥羽博道 著
プレジデント社
(ISBN:4-8334-9052-8)

外回りをしていて、ちょっと疲れたとき、あるいは
時間調整をするときに、「ちょっと寄ってくか」と云う感じで
立ち寄るコーヒー屋さん。
ドトールにスタバにタリーズにルノアール・・・
いつの間にか、こうしたチェーン経営のコーヒー屋さんって
増えましたよね。

もっとも私は殆ど内勤なので、あまり外出する機会は
無いのですが・・・
と、軽くボケたところで今日はドトールコーヒーの
現在は名誉会長をされている鳥羽博道氏が
1999年に書かれた本です。

以前、鳥羽氏が「カンブリア宮殿」に出演されているのを
見たことがあるので、既知の内容もあったのですが、
いかにして一代でドトールコーヒーという大きなビジネスを
成功させたのかが良く分かる内容でした。

以下、本書から鳥羽氏がドトールを成功に導いた要因を
いくつかまとめてみたいと思います。

1)企業理念
一杯のコーヒーを通じてお客様に安らぎと活力を提供する
これはドトールコーヒーの企業理念で、本書の中でも何度か
登場するフレーズです。
強い企業には、確固たる強い理念が有る、
と私は思っています。
もっとも「絶対に金儲けをする」という類の理念ではなく、
顧客満足とか社会貢献という視点が含まれる理念である方が
より良いのは自明の理ですが・・・。

2)危機意識
商売はなかなか軌道に乗らず、毎朝目を覚ますたびに、
倒産という二文字が頭をよぎり、四六時中、きりきりと刺すような
胃の痛みにやられたものだ
」(P50)

今から三〇年前、喫茶店にはあまりにも不健康なイメージが
ついてまわっていたのだが、こうした水商売、風俗産業とも言われる
ような退廃的で不健康なイメージを持たれていたら、いずれ喫茶店が
世の中の隅のほう、陽の当たらないところへ追いやられてしまうのは
明らかであった
」(P60)

創業したばかりの時は「倒産」に怯え、商売が軌道に乗った後は
喫茶店業界全体の在り方に危機感を持って、何とか現状を変えようと
必死に考え、行動していた様子がありありと描かれています。

3)堅実経営
借金をしないのが当たり前という前提に立っている経営者は
人員計画にしろ、生産、販売計画にしろ、何事においてもすべてに
厳しい。今まさに、こうした経営姿勢の違いが業績の差となって
歴然と表れてきている
」(P101)
鳥羽氏の場合、この「堅実経営」というのは「危機意識」と表裏一体の
関係にあるのではないか、と思えるのです。
で、ドトールがどれだけ堅実経営に徹しているかというと、
19年3月期の「決算短針」をみると、自己資本比率が80.3%です!
同時期の京セラが71.1%で、日本の上場企業の平均が35%くらいと
いわれています。
また、負債の部の中を見ても大勢を占めるのは「支払手形及び
買掛金」で、借入金は本当に少ない。
自己資本比率が高い会社は相対的に負債の少ない会社ですので、
ドトールは本当に「借金をしない」事を前提に今でも経営をされて
いることが分かります。

4)負けず嫌い
「負けず嫌い」このフレーズも本書の中では度々、登場します。
ビジネスは戦いだ!と考えられているようで、とにかく負けたくない!と
いう執念が随所に感じられます。
負けず嫌いな人は自分に負けまい、他人にも負けまいとするところ
から、常に止まることなく自分を成長させていこうと考える
」(P199)

5)問題意識
鳥羽氏がまだドトールコーヒーのショップを立ち上げる以前のこと。
ヨーロッパに視察旅行に行ったときのことが本書の中に書かれています。
その旅行中、まずはパリで立ち飲みスタイルのコーヒーショップを見つけ
次に訪れたドイツではコーヒーショップの店先でコーヒー豆の挽き売りを
していることにカルチャーショックを受けたと書かれています。
同じ旅行でも、ただ単に行くのと、明確な目的意識をもって行くのとでは
ものの見え方、感じ方がまるで違ってくる。関心があればこそ見えてくる。
関心がなければ見ているようで実は何も見えていないのだ。
」(P64)
鳥羽氏がこのヨーロッパ旅行で見た光景が後に、日本発の立ち飲み
スタイルのコーヒーショップ、ドトールを生み出したのです。

この視察旅行は鳥羽氏の単独旅行ではなく、喫茶業界の団体ツアー
だったようですが、業界の多くの人が同じ景色を見てきた筈なのに
立ち飲みスタイルのコーヒーショップ、店頭でのコーヒー豆の挽き売り
を実際にやり始めたのは鳥羽氏だけだった、という点がポイントですね。
視察旅行が1971年、ドトールの一号店オープンが1980年。その間、
9年間。別に鳥羽氏が旅行後、すぐに行動を起こしたわけではない
ので、他の誰かが、立ち飲みスタイルコーヒーショップをやろうと
思っていれば出来た筈ですから・・・。
同じものを見ていても、気付いていなかったのか、それとも価値を
見出していなかったのか・・・。

ここまで、いくつか本書の中から鳥羽氏の成功要因と思えるものを
まとめてみました。

ところで鳥羽氏が最初に事業として行ったのはドトールのコーヒー
ショップではなく、コーヒー豆の製造・卸でした。
で、現在の株式会社ドトールコーヒーもショップの方が有名ですが、
今でもコーヒー豆等の卸売り事業の方がショップよりも
売上、収益ともに稼いでいる形になっています。

19年3月時点
直営店 303店舗 フランチャイズ店 1167店舗 (何と3倍以上!)
小売事業(直営店)の売上:277億8800万円、営業利益:17億4800万円
卸売事業の売上:約400億円 営業利益:約51億円
これは上記と同じ19年3月期の決算短針(セグメント情報)に書かれている
数値です。
卸売事業の中身は、フランチャイズ加盟店へのコーヒー豆等の卸と最近
コンビニで売られているドトールブランドのコーヒー飲料の卸売りが大半を
占めているようです。
考えようによっては、本業であったコーヒー豆の卸先としてドトールコーヒーの
ショップなどを展開してきた、とも言えるのではないでしょうか。
実際、ドトールコーヒーの一号店もフランチャイズ店だったそうです。

最後にドトールコーヒーの豆知識
「ドトール」という店名の由来。
かつて鳥羽氏がブラジル、サンパウロに住んでいたときの住所
ドトール・ピント・フェライス通り85番地
からとって名づけたそうです。
ちなみにドトールとは医者の意味です(ドクトル、ドクター)

コーヒー屋さんだけに、「豆」知識でしめてみました。
(物を投げないでください!)

タグ:経営
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2008年05月11日

”怒り”とアイデアの企業再建

Book-No.24

「会社を黒字に甦らせる儲けの法則」

桂 幹人 著

二見書房

(ISBN : 978-4-576-07072-8)

 

ブログ更新、少し間があいてしまいました。スマン!

ゴールデンウイークも終わり、このまま夏に向かっていくのかと

思っていたら、今日は冬に逆戻りしたかのように肌寒い一日でしたね。

 

今日の気温は寒かったですが、今回アップする本は

”熱い”です!

著者、桂幹人氏は”ナニワのスゴ腕再建屋”の異名を持つ

経営コンサルタントだそうで、本書の表紙カバーの後ろに

氏の顔写真が掲載されていますが、なんとも強持てな(失礼)

お顔です。

 

それに行間から桂氏の”熱い"思いが滲んで伝わってきます。

冒頭の「まえがき」の書き出しから

最近、私は「なんでやねん!」と怒り心頭に発することが多くなりました

と先制パンチが飛んできます!

続いて本文の最初では「社長はもっともっと怒れ」ときます。

怒れば、その問題を追及し、障害を取り除く行動を起こします。ですから、

怒ることで怒る原因、問題の本質に近づくのです。

逆に言えば、怒りを忘れた人は現状に甘んじ、何も考えず、何の行動も

起こしません。中小企業に元気が生まれないのは、社長が現状に

怒らなくなったからです」(P13)

 

修羅場とも言える企業再建の現場に必要なのは先ず理屈や理論ではなく、

リーダーの熱い思いであることを思い知らされます。

 

《Penguin's Eye》

「”負け組み経営者”に共通する問題点は(1)来年度の売上高について

明確な予定数字をもてない(着地点が不明瞭)、(2)マーケットの変化が

つかめず、顧客目線をもたない、(3)固定観念にとらわれて柔軟な発想が

もてない、の三点に集約されます。」(P44)

私なりに”再建を必要”とするくらい追い込まれた企業の状態を推察すると

1、売上(または粗利)が継続的に下がり続けている

2、銀行などの金融機関に身の丈に合わない借金(負債)がある

3、現場の士気が低下している

おおまかには上記の3点に集約されるのではないかと思います。

 

1、売上(または粗利)が継続的に下がり続けている

これは桂氏が書いているようにその企業が”マーケットの変化”についていけて

いない事が最大の原因だと思います。

そしてもっと悪いのが、

「以前は、このやり方で儲かっていた。今、儲からないのは現場が俺の

言う通りに動かないからだ!」と現場に責任を押し付けてしまう経営者が

存在するパターンです。”昔の”成功体験を持っていると、こうなってしまう

可能性が高いのではないでしょうか。

 

2、銀行などの金融機関に身の丈に合わない借金(負債)がある

売上(または粗利)が下がり続けていれば、当然キャッシュ・インが減るので

お金が何かと足りなくなります。

現状を打開するための新たな投資として借入をしたり、

社員に払うボーナス資金のために借入をしたり、して負債が雪ダルマ式に

増え続け、気付いてみたら首が回らなくなっていた、というのが

よくあるパターンのような気がします。

それに前回の小山氏の本の中で”中小企業の経営者は損益計算書は

気にしても、貸借対照表を見ない人が多い”と書かれていましたが、

このあたりにも原因があるような気がします。

 

3、現場の士気が低下している

いわゆる”負け犬根性”ですね。最初は「何とかしよう!」と頑張っている

のですが、何をやってもうまくいかないので、段々と現場を含めて

士気やモラルが低下していくのです。桂氏が指摘している「社長が

怒らない」というのも、そうした”負け犬根性”が要因になっていると

思いますし、なによりも経営者として自信を失ってきているのが、

問題なような気がします。

 

で、再建を託されたコンサルタントが入ってくると、何をやるかというと

たいていの場合、最初に「負債の圧縮」です。そして手っ取り早く

キャッシュ・アウトを減らすために「経費の削減」に手をつけるのです。

 

私の会社でも過去、2回ほどコンサルタントの先生にお世話に

なりましたが、両者とも負債の圧縮、経費削減でした。

確かに当座、企業を”延命”させるためには負債を圧縮したり、

支払の延期をお願いしたりしないとダメなのですが・・・

しかし、もともとはマーケットとズレて売上や粗利が低下して

ピンチに陥ったわけですから、いくら負債を圧縮したり、

経費を削減しても営業が復活しない限り、

ピンチは脱出できないのです。

 

しかし、少なくとも私の会社に来たコンサルタントの先生たちは

営業面に関しては、SWOTだとかの分析ツールを使って

指導はしてくれましたが、具体的なヒントだとかアイデアを

提示してくれた事は有りませんでした。

 

あくまでもコンサルタントは脇役、

考えたり実行する行動の主体者はその企業の経営者であり、

スタッフなのです。

この前提は恐らく、どこのコンサルタント会社でも同じだと

思います。

 

では優秀なコンサルタント、そうでないコンサルタントの差は

何かというと、シナリオを書き、それに沿って再建企業の人を

動かす力があるか、ないかという点ではないかと思うのです。

 

本書の筆者である桂氏もそうだし、以前にこのブログで書いた

「会社は頭から腐る」の冨山氏も、シナリオを書き人を動かす力が

非常に優れているように感じました。

人を動かす力、それは”熱さ”だと思います。

私の会社もそうですが、企業再建の現場は”修羅場”ともいえる

ような場面の連続です。それなのにビジネスライクな第三者的

立場のコンサルタントが指導できる筈がないのです。

 

私の会社は会社再生の依頼を受けたとき、経営者にヒヤリングを

して「この経営者なら、私たちの言うことを聞いてくれる」と

確信がもてた場合だけ、コンサルタント契約を結びます。

そのうえでケースによっては、社長のやり方が間違ったときに

拒否権がもてるように、その会社の株式の三分の一をもちます

(中略)もし、再建に失敗して倒産すれば、投資資金は戻って

きません」(P40)

このやり方って産業再生機構と同じですよね。

冨山氏は著書の中で度々「ガチンコ」という言葉で表現されて

いましたが、桂氏もまさに同じスピリットで企業再建に

取り組まれていることがわかります。

タグ:企業再建
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2008年04月19日

本に呼ばれた!

Book-No.18
「会社を替えても、あなたは変わらない」
  成長を描くための「事業計画書」
海老根智仁 著
光文社新書
(ISBN:978-4-334-03449-8)


昨日(4月18日)の日本経済新聞、朝刊3面の下部に
光文社新書、4月新刊の広告が掲載されていました。
日経の2面、3面にビジネス書の広告が掲載されるのは
日常的な事ですので、いつもであればそのまま”流して”しまいます。

でも、昨日だけは本書「会社を替えても・・・・」のタイトルが
目に飛び込んできて、そのまま出社してからもずっと終日、
意識の中から消えませんでした。

そして会社帰り、書店でパラパラめくる事もしないままレジで代金を支払い、
そのまま電車の中、帰宅してから・・・一気に読んでしまいました!
まさに「本に呼ばれた」ような感じです。

概要としては、企業で作成される「事業計画」を個人にも応用することで、
明確かつ具体的な将来像を描き、成長しよう!と云うものです。

著者の海老根氏は現在、株式会社オプトの代表取締役社長CEOを
務めている方で、1967年生まれとのことですから、
私よりも○歳も若い!

《Penguin's Eye》
いくら会社を替えたところで、いくら資格を取得したところで、あなたは
生まれ変わりません。たとえMBAホルダーになったとしても、あなたはいまの
あなたのまま、なにも変わらないのです。
」(P 5)
序文でいきなりの先制パンチが飛んできます!
この文章だけですと、いかにも!って感じですが、文脈としては
目標や目指す方向も漠然としたまま、安易に資格さえとれば・・・、
転職すれば・・・と考えている人は何をやっても生まれ変わる事は出来ない、と
云う意味です。

私も自社の採用活動の中で、多くの中途採用(転職者)の面接をしてきました。
「何が何でも絶対に採用したい!」と思うような人もいましたが、
それは残念ながら、ほんの一握りの人でしかなかったのです。

あくまでも私の目から見て、ですが転職者は大きくは2つのタイプに
分けられると思います。

1:募集広告を見て、「何となく気になったので」「前職と同じ職種だから」
応募しました = これから”何をしたいのか”が、よく分からないタイプ
2:この会社に入って、○○がしたい!とか、○○をする事で成果を出したい!
=目標、目的を明確に持っているタイプ

面接でよく聞かれる回答で「御社のお役にたちたい」と云うものがあります。
それはそれで良いのですが、具体的にどんな事をして当社に貢献してくれるのか
と云う具体性がないと採用担当者の”心”は動きません。

以上のような自分自身の体験からしても、本書で繰り返し述べられているように
目標も持たず、安易な転職を繰り返しても「何も変わらない」と云うのは
素直に共感できる部分です。

衰退していく日本を支えるのは、私も含め、みなさんです。手段(枝葉)
ではなく、本質的な自分(幹)を考えてください。(中略)日本人が
みな、そうすることにより、衰える一途の日本の競争力は必ず復活します。

(P206)
これから増々激しくなる国際競争の中で、今の日本の競争力低下に危機感を
持ち警鐘を鳴らす人は少なからずいます。
しかし、私が敢えてこの文章をここに書き留めたのは、
・一企業の社長(CEO)であり、
・それも自分とあまり変わらない年齢の筆者が
日本と云う「国」を見据えて経営にあたっている事について単純に
「すごいなぁ」と思った事と、
自分は今まで何をしてきたんだ・・・」という軽い劣等感を覚えたからです。

《impression》
本書のキモは何と言っても、企業で作成される「事業計画書」を応用して
個人の成長に使おう、という点にあります。
自分自身の事業計画(自分ドメイン)を設定するまでに手順と要素を
簡単にまとめると、以下の通りになります。

1、自分の「思い」を明確にする (企業でいう、企業理念の部分)
2、SWOT分析で自分の「強み」「弱み」「機会」「脅威」を整理する
3、自分ドメインの3つの構成要素を定義する
  ・自分の強みは何か
  ・自分が成長する基盤となる市場はどこか
  ・その市場で求められるニーズと自分の強みを一致させる


・・・だいぶ省略していますが、大筋としては間違っていないと思います。

いったん、話を横道にそらします。

・このブログで【プロローグ】で書いたように、
 私は今年、転職を考えています。
・上の方で中途面接の時に、具体的な目標を言えない人が多いと云う話を
 (エラソーに)書きました。

『転職をする事を前提に今まで自分が考えてきたこと』
・自分の長所、短所は何か
 (さすがに、採用担当の仕事をしていたので、自己分析が大切と云う
 認識は持っていました)
・これからどんな仕事をしたいのか
・今後の自分に必要になるであろうスキルや知識を身に付けよう
大雑把に言えば、以上の3点です。

さて、この3点を自分の事業計画に当てはめるとどうなるか。
・自分の長所、短所はSWOT分析の4つの要素の中の2つに当てはまります。
・どんな仕事をしたいのか、は自分ドメインの”自分が成長する基盤”と
 云う事になりますが、漠然としている事は歪めません。
・必要になるで”あろう”スキルや知識の勉強は安易な資格取得に似ています。

結論
エラソーな事を書いている割りには自分だって、具体的な事が考えられて
いないではないか!!!


転職する暇があったら、「自分ドメイン」を一から考えなさいといいたい
(P193)
筆者の海老根氏に、こう怒られそうです!

最初の方で私は「この本に呼ばれた」というふうに書きましたが、
本当に、読むべき本を読んだ、と云う感想を持ちました。

もしかしたら、自分にとっての”運命の一冊”になるかも知れません。
そうなるか、どうかは全て今後の私次第なのですが・・・
posted by penguin-oyaji at 13:41 | Comment(1) | TrackBack(0) | 読書(経営者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月27日

成功の鍵を開けるのは・・・

Book-No.9「成功のコンセプト」
三木谷浩史・著 
幻冬社
(ISBN : 978-4-344-01392-6)

「来たっ!」もしくは「キター!」って感じです。
著者は、楽天の三木谷社長です。
三木谷社長自身が書かれた本って、殆ど無いと思いますので、
本書はまさに「来たっ!」って感じです。

そんな事を書きつつ・・・私自身、楽天のサービスって
あまり使っていませんm( . . )m

ところで、成功のコンセプトとは、本書の帯にも書かれていますが
1.常に改善、常に前進
2.Professionalismの徹底
3.仮説→実行→検証→仕組化
4.顧客満足の最大化
5.スピード!!スピード!!スピード!!
の五つのコンセプトの事です.
これは、本書の為・・・ではなく、楽天の社内でポスターとして
掲げられていたり、社員証の裏にも記されているとの事。

一通り読んでの私自身の感想ですが、
誤解を恐れずに書けば
「特別な事は何一つ書かれていない!」
という、一言に尽きると思います。

「日々、改善を続ける限り、人は日々前進する事ができる」(P16)

「ビジネスで成功するかどうかの鍵は、結局のところ、仕事を人生最大の遊びに
できるかどうかだ」
(P65)

「人は誰のためでもなく、自分の喜びのために仕事をすべきだ」(P78)

「困難な目標に立ち向かい、その目標を達成した喜びが人を本当の意味での
プロフェッショナルにするのだと思う」
(P89)

「面白い仕事があるわけではない。
仕事を面白くする人間がいるだけなのだ」
(P98)

などなど・・・名言が数多く記されていて、それを読むだけでも
パワーを感じる事が出来ると思います。
しかし、「改善」「仮説」「スピード」どれをとっても三木谷社長が最初に
言った訳でもないし、既に多くの人が色々な著作に書かれているような事です。
目新しさは感じません。

では、何故そんなに目新しくもないコンセプトを掲げている楽天、三木谷社長が
成功をおさめているのか?
私なりに三つの仮説を考えてみました。

1:コンセプトの徹底度合いがすごいに違いない
2:ビジョンが明確に示されている
3:ブレない


順番に説明したいと思います。
1:コンセプトの徹底度合いがすごいに違いない
コンセプトはビジネスの現場では「実行」されなければ、意味がありません。
どんなに凄いコンセプトを考えても、実行されなければ単なる「絵モチ」です。
例えば、「改善をしよう!」「改善を継続しよう」そんな事、当り前じゃん!って
頭では理解をしている人は多くいると思います。
しかし、ビジネスの”現場”で実践できている人、徹底してやっている人となると
割と少ないのではないでしょうか。
「知っている事」と「出来る事」は違う、とは私がよく新人研修の時に話すネタなのですが、
要は”具現化力”が優れているのではないかと思うのです。

それと、その具現化する際に「そこまでやるか?!」と云う場面が数多くあるのでは
ないかとも思います。
例えば「スピード」についてのですが、本書の中でこんな事が書かれています。
「本当にやらなければならないことだけ残して行程を再構成すると、3ヶ月の目標なら、
たいてい1週間ぐらいでできてしまうことが多い」
(P192)
担当者が3ヶ月掛かりますと言ってもってきたのものを「1週間でやれ!」と言うのですから
普通に考えればメチャクチャです!
まさに「そこまでやるか?!」だと思うのです。

2:ビジョンが明確に示されている
以前、会社で当時の部下から
「会社の方向性が見えない!自分たちは何をすれば良いのですか!」と
詰め寄られた事があります。
目指すべき目的地が決められていなければ、どちらの方向に向かって走っていけばよいのか
分かりません。会社全体として、何を目指すのかと云う事はやはりトップが全体に向けて
きちんと示さないといけない事の一つだと思います。

「インターネットを人類の幸福に役立つ道具へと進化させるのが、僕たちの使命なのだ」
(P161)
人類の幸福に役立つ道具って何だよ?とツッコミも入れられると思いますが、
各論はともかく、大きな方向性を示しておく事で組織は大きな力を発揮できるようになるのでは
ないでしょうか。
加えて、ココの人がそのビジョンに共感できれば、組織として大きなパワーを生み出す源に
なると思うのです。

3:ブレない
「ビジョンが明確」になり、それが「ブレない」と、そこで働く人たちは、とても働きやすいのでは
ないかと思います。
「中心軸がずれたコマが安定して回らないように、根元のところにブレがあるビジネスは
長続きしない」
(P142)
と三木谷社長自身が本書の中でも書かれています。
変化の激しい時代ですから「朝令暮改」もアリだと私は思うのですが、根本のところがブレてしまうと
モチベーションが保たれない、と言うか継続して力を発揮できなくなると思うのです。

・・・と、勝手に私なりの楽天成長の要因を仮説として考えてみた訳です。

エーッと少し長くなっていますが、あと二点ほど書きたい事がありますので・・・

本書を読んでいて、二人ほど頭の中に浮かんだ人物がいます。
一人目は小泉純一郎元首相です。

・分かりやすい表現
・ブレない

この二点が三木谷社長との共通点だと思うのです。
本書は本当に難しい言葉も無く、読んでいて分かりやすく書かれています。
小泉元首相も短いフレーズで名言を多く残した人だと思います。
「痛みに耐えて良く頑張った!感動した!」とか
「私が自民党をぶっ壊します!」など。
人に物事を話したり、説明するのに”分かりにくい”のは致命傷です。
難しい事を誰にでも分かるように簡単に説明が出来る人が本当に頭の良い人、なんて事を
よく耳にしますよね。
分かりやすく話す事で多くの人から”共感”も得られやすくなるとおもうので、
こうして点で、小泉元首相と三木谷社長のお二人はどこか似ていると思うのです。

もう一人はワタミの渡邉社長です。

・実現するのが困難とも思える「目標」を持って
・何が何でも実現させるパワーをもって行動する

この二点において、二人は”同類”と思うのです。同じニオイがします(笑)
「もう少しラクに生きても良いじゃないか」と思ってしまったりするのですが(私)
二人は、そうしない。あくまでも自分の”夢”に向かって”熱く”行動するのです。
そのパワーはどうやったら湧いて来るのか?これもある意味、才能なのでしょうか?

最後に<共感点>
「理念などなくても、短期的中期的には大きな利益をあげることができるかもしれない。
けれど、正しい理念がなければ、長期的な繁栄は絶対に望めないのだ」
(P140)
まったく、その通りだと思います!!
同感!

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2008年03月19日

「会社は頭から腐る」その3

今回も「会社は頭から腐る」の続きです。
前回みたいな書き方をしていると、いつまで経っても話が終わらなくなってしまいます
ので、今回はこの本から私が受けた感想を3項目に分けて、書き進めたいと思います。


1.海に沈む人を助ける
        「大事なのは人材である。そうして、人材が持つ技術であり、ノウハウであり、
        その人材のやる気や意欲が大切なのだ」

        「優勝劣敗から淘汰、再編、廃業となっても、実はその人材や技術やノウハウと
        いった資産を使いたいという会社は必ずある。それが整理され、再生されれば、
        また成長に向かうことが可能になる。」

        著者の富山氏は、業績不振から倒産の危機に瀕している企業を北大西洋に
        沈んでいくタイタニックに例え、その企業で働いているスタッフを沈み行く
        タイタニックから助けると云う表現を本書の中で度々、書いているのです。
        産業再生機構の役割の一つとして、そうした沈み行く人たちを助ける
        「社会的ボート」と例えて記述もしています。
        日経に書かれていた「会社をつぶしても事業は残し、雇用は守る」と云う
        フレーズはまさに、こうした富山氏の理念を表したフレーズだったのですね.
        
        こうした理念は先に書いたように、富山氏が”現場”を重要視し、
        その現場のパワーこそがその企業、引いては日本経済を支えていると
        考えているからだと思います。

        そして富山氏はこうして助け出す人たちに対してM&Aによる人的資源の
        再配置を提案している。少し長いが引用します。

        「事業の価値は、実際は事業体としての有機的集団に付着している。
        その意味で、事業単位で行われるM&AやMBOは、むしろ日本人の精神風土に
        マッチし、かつ経済的にも極めて合理的な人的資源の再配置の方法なのである。
         とりわけ、このケースで助けられるのが、下部構造にいる人たちだ。
        M&Aにおいて求められるのは、通常は現場人材だからである。」


        時々、M&Aは日本には馴染まない、と云うような意見を目にしたりしますが、
        富山氏はこれとは全く反対の立場に立って意見を書かれています。
        M&Aと一言で言っても、その中身は種々ですから一概には語れないとは
        思いますが、私も富山氏と同意見です。

        ”現場”が例え優秀であっても、経営陣の無為無策で企業が危機に瀕する事は
        ある訳ですから、より以上に良い環境で活躍できる環境に”集団で”移っていく事は、
        本人達にも社会にとっても良い事だと思うのです。
        それに、今の日本の転職市場を見ていて感じるのは、個人で転職するのは
        何だかんだ言っても非常に大変です。
        時には、ミスマッチとなり不幸な環境に身を投じてしまう人だっています。
        それに例え良い職場に巡り会ったにしても、そこでは新人。
        また一から出直しとなるので、戦力として活躍するまで、時間が掛かるし、
        本人や周囲の負担も大変なものです。
        それであれば、頭をすげ替え、慣れた環境、慣れた人間関係の中で仕事を
        継続していく方が良いのではないでしょうか。
        
2.企業のガバナンスに付いて
        富山氏は企業の経営危機、不祥事を予防する為の一つの手段として
        ”ガバナンス構造の見直し”を訴えています。
                
        私には「ガバナンス=企業統治」という言葉の定義以上の知識は、
        この本を読むまでありませんでした。

        日本のカイシャはゲマインシャフト(共同体)的というのが、
        富山氏の基本認識なのですが、ゲマインシャフト的である事から、
        ・調和重視 → 内向き思考 → 内部調和重視 → 内輪の規範に従う
        と云う問題点を挙げています。
        だからこそ、外部規律としてのガバナンス機構が重要という考えです。

        確かに産業再生機構はガバナンス機構として強力な役割を果たし、
        企業再生を果たした実績があります。
        では、その他の企業ではどうか。誰がガバナンスを担うのか。
        株主?銀行?そもそも(今の)経営者がガバナンスを真剣に考えるのか?
        
        「(産業再生機構では)100以上の会社のデュー・デリジェンスをし、
        処方箋を書きましたが、その処方箋について銀行と対象企業の経営者の両方から
        承諾をいただけたのが、41件しかなかったのです。
        いちばん多かったのが、経営者自身が支援の依頼を取り下げたケースでした。
        どうして会社が窮地に陥ったのかを顧みることなく、経営者は自らのポジションに
        文字通り”すがりついた”のです。」
(プロローグより)

        ガバナンスについては、もう少し勉強します・・・・。
        
3.強いリーダーの育成
        更に富山氏は現在のリーダーの育成についても疑問を投げかけます。
        旧来の日本型システムのように序列順送りで社長になったような人に
        ”経営”が出来るのか。
        東大を出たようなエリート層に”経営”が出来るのか。
        こう、問題を指摘しているのです。

        先ず序列順送りで経営者になってしまった人。
        経営は戦いですから、賛成者が多い事をやるのではなく、正しい事を
        やらなければなりません。
        しかし、ゲマインシャフト的ムラ社会の中で予定調和的に
        経営者になってしまった人は周囲との摩擦を避けようとするインセンティブが働き、
        どうしても賛成者が多い事を選択したり、
        あるいは社内調整的な事をして結論を出してしまう。
        そんな事で正しい経営が出来るのか、という訳です。

        それに東大出身のエリート層。
        (実は著者の富山氏も東大法学部卒業なのですが・・・)
        試験で点数を取るための勉強は、経営では何の役にも立たない、
        とバッサリ断裁します。
        試験問題の回答を考える時、自ら考えるのではなく、出題者の意図をどれだけ
        汲み取るかを考えた方が良い点数を取りやすい、といいます。
        そうした教育を受けてきた人間に”ガチンコ勝負”の経営は出来ない、
        何故なら、試験問題を解くのに、クリエイティブな要素はないが経営には
        創造性が求められる。出題者の意図を汲み取る事が得意でも、自ら判断を下す事が
        得意とは限らない、というのが富山氏の考えです。

        では、これからのリーダーを育成する為にはどうすれば良いのか。
        この問いに対して富山氏は提言します。
        若いエリート予備軍を”ガチンコ勝負”の現場に出して、負け戦を経験させる。
        その中でストレス耐性や胆力を養う、失敗から学ばせる事が必要だと。
        リアルな現場を知らない者は経営を語ってはいけない、と言い切ります。

        ここからは私自身の意見なのですが・・・
        富山氏も本文の中で書かれているように、経営と云うのは本当に過酷だと思っています。
        中小企業ではありますが、一時期、取締役と云う形で経営側に身を置いていて、
        それは強く感じました。
        本当に”覚悟”みたいなものが無いと、とてもではないが、務まらないように思います。
        
        産業再生機構が手掛けたカネボウ化粧品では41歳の社長(知識賢治氏)を
        誕生させています。
        たまたま先日、「カンブリア宮殿」にその知識社長が出演されているのを
        観たのですが、やはり”覚悟”が違います。
        いち社員がある日、社長室に呼ばれて、そこでいきなり「社長をやれ」と言われて
        その場で「はい」と言えますか?
        少なくとも私は、同じようなシチュエーションで「役員をやれ」と言われた時に
        「少し考えさせてください」と答えてしまいました。

        以前から思っていたのですが・・・
        「仕事」は人を幸せにする為にするものだと思っています。
        先ず仕事をしている本人が幸せになり、その人の家族が幸せになり、
        お客様が幸せを感じる、それが「仕事」だと思うのです。

        しかし、結果的に人を「不幸」にしてしまう事があります。
        
        魚は頭から腐ると言います。
        「会社は頭から腐る」この”頭”というのは、会社の経営層、リーダー層を指すのだと
        思います。
        その”頭”が、従前と同じように”馴れ合い”、”予定調和”、”甘え”という緩い空気の中で
        経営を行っていると、とても今の時代に付いていけません。
        そんな経営者が、結果的に現場の”人”を不幸にしてしまう。

        著者の富山氏が数々の修羅場から投げかけている”経営者に対する強烈なメッセージ”は
        経営者たる者「志」を持て!
        この一言に尽きるのではないかと思えてなりません。

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2008年03月16日

「会社は頭から腐る」つづき

前回は、私自身の”思い”ばかり書いてしまい、本の内容については
何も触れずに終わってしまいました。

この本の副題は「あなたの会社のよりよい未来のために「再生の
修羅場からの提言」
」となっています。
”再生の修羅場”、何とも恐ろしげな言葉です・・・

読んでいて、著者である冨山和彦氏の視点は常に”人”に向けられているのを
感じました。小難しい経営理論とか、あまり書かれていません。
1、著者が以前、経営していたコンサルタント会社の経営危機、
2、そのコンサルタント会社で手掛けた携帯電話会社での現場体験
3、そして産業再生機構での体験

以上のような”ガチンコ勝負”で体験してきた人間模様、人間の本性が
冨山氏のベースに刻まれているからだと思います。

第1章 人はインセンティブと性格の奴隷である[経営と人間]
先ず経営とは何か・・・?である。
「企業経営は何よりも人の営為である」と富山氏は述べています。
よく「経営は人なり」と云う言葉を耳にします。
私自信もそんな言葉を聞く度に何の疑いもなく「うん、そうだよね」
単純に思っていました。

「人としての弱さ」冨山氏の人間洞察は、ここがベースになっていると思います。
この本の全編を通して、重要なキーワードがいくつか登場するのですが、
・インセンティブと性格の奴隷
・情理と合理

この二つのキーワードは共に「人としての弱さ」が起点となって出てきた言葉だと
思います。

インセンティブ=お金、と単純に考えると、組織で働く人の心理は見えてきません。
何のために働くのか?
お金、安定的雇用、出世、家族、職場の人間関係・・・などなど。
私自身もそうですが、何のために働いているのか、と考えた時に
単純にお金だけではないですよね。

例えば、強烈なワンマンの社長のもとで働く時に、取りあえず「YESマン」に徹して
波風を立てないように振る舞う、その事で組織内の自分の居場所を確保する。
これも、自己保身の為のインセンティブですよね。
それから、人間ですから各々に「好き・嫌い」「向き・不向き」がありますよね。
「この仕事は好きじゃない」
「この仕事は私には向いていない」

そう思った事,何度もあります(笑)

こう考えると、組織の中で働く事は「単純な事ではない」と云う事が改めて認識できます。
企業は基本的に利潤追求組織ですから、「儲かる・儲からない」と云う事が大切な筈なのに,
その中で働いている”人間”は単純に「儲かる、儲からない」とは違う尺度を持って
判断したり、行動している・・・
これが冨山氏の言う「情理と合理」です。

そして、私が何よりも共感したのが、
「(経営危機と云う)余裕がない状況では、隠し切れない本音が各所で衝突を起こす」
と云う部分です。
また、自分自身の話になってしまいますが・・・・
この半年間の事業譲渡業務の中で私自身も色々な人間模様を目にしてきました。
本当に苦しい時に誰が友達なのか、が分かると云うような事を聞いた事がありましたが、
まさに、その通りです。
さすがに現在進行形なので、詳しい話をネットに書き込む訳にはいきませんが、
「人間って、苦境に晒された時に本性が分かるんだなぁ」って事を何度も実感しました。

そんな苦境の中でも、もちろん嫌な事ばかりではなく、
暖かく手を差し伸べてくれる人も大勢います。
そんな暖かさが嬉しくて、本当に涙が出たと言うか、感謝の気持ちで一杯に
なりました。
「人が動く」のは、そうした人から貰うパワーとかが案外、大きな要因になっているのでは
ないでしょうか。
これも、「情理と合理」ですね。

まだ、書きたい事が沢山残っているのに、既にかなりの長文になってしまっています。
と云う訳で、まだまだ「会社は頭から腐る」は続きます・・・
posted by penguin-oyaji at 16:23 | Comment(1) | TrackBack(0) | 読書(経営者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月13日

Book-No.6「会社は頭から腐る」




「会社は頭から腐る」 冨山和彦著 ダイヤモンド社
(ISBN : 978-4-478-00070-0)

この本の著者は、元・産業再生機構COOを務めていた冨山和彦氏です。
この本の内容とは関係ありませんが,”産業再生機構”と聞くと
私には、ものすごく強烈に覚えている言葉がありますので,
寄り道ですが、先ずはその話から書きたいと思います。

昨年(07年)10月2日の日本経済新聞の1面に
「働くニホン 現場発 第1部きしみを越えて」と云うタイトルで
産業再生機構が手掛けた、旧カネボウの事業売却についての
コラムが掲載されていました。
そのコラムの中に、こんな言葉が書かれていたのです。
「会社をつぶしても事業は残し雇用を守る」
そして、この記事から数週間後に、私の会社でも”事業譲渡”と云う
経営にとって大きな決断がなされたのです。
「決断がなされた」と云うのは正確な表現ではないかも知れません。
何故なら、当時の私は末席ながら取締役として経営側の人間でしたので,
「決断をした」と言う方が良いのかも知れません。

このブログで一番最初に書いたように、事業譲渡の対象は長年、私が
籍を置いて働いてきた部署でしたから、個人の心情としては
「譲渡なんてしたくない」と思っていました。
しかし、会社がここ数年間,ずっと苦境に喘いでいる時に
本当に、このまま事業部を継続していて良いのか?
自分一人なら兎も角、100名を越えるスタッフにこのまま苦労を掛け続けていて
良いのだろうか?と考えました。
その時に、私の脳裏に浮かんだのは、先の「会社をつぶしても・・・」と云う
日経のコラムでした。
幸い事業譲渡の条件として、スタッフは本人が”希望するのであれば”全員、
転籍と云う形で引き受けて貰えると言う事になりました。
私の会社の場合、事業譲渡ですから、会社が今すぐに潰れると云う事ではありませんが、
いつ沈むか分からない船から、スタッフを脱出させよう!、そう思って
取締役会で事業譲渡に賛成の意思を表したのです。

そう思って決断した日から、半年近くが経ちました。
その間、譲渡の為の業務の中で本当に多くの壁にぶつかりましたが、
何とか乗り越えられたのは、その日経に書かれていた言葉と
(その記事は切り取って大事に手帳に貼り、苦しい時にはよく読み返していました)
私の友人がメールで送ってくれた「事業譲渡の担当をまっとうしできる限りの従業員の
幸せを考えてあげてください」
という言葉。
この二つの言葉を糧に、私はこの半年間を生きてきたと言っても過言ではありません。

寄り道が長くなってしまいました!!
本の内容については、また次回と云う事で・・・・
posted by penguin-oyaji at 21:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(経営者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月20日

「きみはなぜ働くのか」続き

前回、アップした「きみはなぜ働くのか」(渡邉美樹・著、日本経済新聞社)の
続きです。

渡邉社長の著書では、「夢に日付を」と云う手帳術に関する本が割と有名では
ないかと思います。
要は「夢は実現させるべきもの。夢に日付を入れて、今日の行動を変えていく事」
必要なのだ、と云う事です。
確かに夢を持っていても、行動しなければ何も始まらない!
そう思えれば,少しずつでも良いから日々の行動を”意識して”変えていく事が
必要なのだと素直に共感できる話です。

では、根源的な話ですが、
”自分の夢”って何だろう・・・?って改めて考えてみたのです。
改めて考えてみたのですが何だかモヤモヤっとしていて
うまくイメージできません。
私の場合、行動のパワーとなる「夢」が具体的に形に出来ていないから
行動も伴わない、行動が変わらない、のではないかと云う
何とも情けない事に思い当たってしまいました。

「人生には六つの柱がある」
1 仕事
2 家庭
3 教養
4 財産
5 趣味
6 健康


上の6項目は渡邉社長の著書に書かれていたものです。
「夢」を漠然と考えるのではなく,人生の中のテーマごとに考える事が必要。
大きな命題を考えるときに、漠然と考えるのではなく
いくつかの構成要素に分解して考えると、より身近なテーマになるので,
考えがまとまり易いって事かなと、自分なりに理解をしました。


で、この本を読んで改めて08年の自分自身の目標を
六つのテーマに分けて考えて、それを紙に書き出してみました。
・・・・・・・唖然としましたよ。
自分の夢って、こんな小さなものしかないのか!と。

それと、もう一つ気づいてしまったのが、長期スパンで捉える事が
全然出来ていません、私。
会社の事業計画で言えば、単年度の計画は考えられても
3年先、5年先、或は10年先に、こうなりたいと云う中長期計画が
考えられないのと一緒です。
これでは、ダメダメじゃないか!と正直、すこし凹みました。

でもまぁ、小さな一歩からと気を取り直して
先ずは「意識持つ」「日々の行動を変える」ところから私はスタートします。

それから、この本を読んでいて感じた事はまだ有ります。
この本の中には渡邉社長が経営されているワタミグループの店のダメな
エピソードがたくさん書かれています。
経営者である渡邉社長が理念として掲げている事が、現場では具現化されて
いない、と云う話です。
私が今、勤めている会社は非常にチッポケな零細中小企業ですが
それでもトップ(社長)が日頃言っている理念はなかなか現場に伝わらず、
ダメなところが沢山有ります。
企業を経営していく上で、「儲かる、儲からない」という話はものすごく重要だと
思いますが,それと同じくらい「企業理念」と云うものは大切だと思っています。
企業が社会の中で存続していく為には、
どういう形で社会と関わっていくのか、或は、その企業はどういう点で
社会に貢献するのか、という理念がなければ
企業は存続できないと思うし、存続している意味が無い、と思うのです。


だからこそ、企業としての理念が、どれだけ現場で具現化できているのかと云うのは
企業価値を決める重要なファクターなのでしょうね。



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2008年02月17日

Book-No.1「きみはなぜ働くのか。渡邉美樹が贈る88の言葉」

渡邉社長の事はマスコミにもよく取り上げられていますので,
以前から存じ上げておりました.
中でも一番印象に残っているのは、
以前、「カンブリア宮殿」に出演されている時に
「僕は、もうこれ以上やったら鼻血が出る、と云う
その上をやる」
というような趣旨のお話をされていたのが
猛烈に印象に残っています.
起業し、大企業に育て上げる社長は、やっぱり凄い!と
思いましたよ。

今回、読んだのはそんな渡邉社長が書かれた
「きみはなぜ働くのか。渡邉美樹が贈る88の言葉」
(日本経済新聞社:ISBN978-4-532-16569-7)です。
ちなみに08年、私が最初に読んだのがこの本です.

「夢を達成する事は、あくまでも目的でありゴールではない。
日々のプロセスこそがゴール.
達成そのものよりも、追っているプロセスの中に煌めく思いがある」


確かに夢って、現実になった瞬間にちょっとした寂しさを感じます。
数年前、仕事であるプロジェクトのリーダーを務めておりました。
そのプロジェクトは
・私が何年間も望んでいた案件に関するものでした
・普通、他社では1年くらい掛けてゴールするようなボリュームがあった
(パートナーになってくれた専門業者の方が言っていました)
・それを私の会社では何故か半年でやれ!って事になってしまった。
長年、望んでいた仕事を許された訳ですから、私にとっては大チャンス!
期間を半分にされたからといって、四の五の言ってはいられません!
もう、やるしかないでしょ!
そう半分、開き直ってプロジェクトを開始しました。

そして半年後、そのプロジェクトは大団円を迎える事が出来ました.
その成功は、プロジェクトに関わってくれた全ての人たちのお陰なのですが、
半年間、今から振り返ってみると苦しい事や辛い事もあった筈なのに
何故か楽しい思い出ばかりです.

夢に向かうプロセスの中に「煌めく思い」が有るって言うのは
そういう事なのかなぁ・・・って思いました.


渡邉社長のこの本に関してはまだ書きたい事が有るのですが,
それはまた、次回と云う事で・・・



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