2008年03月30日

言行不一致の”痛い”タイトル

Book-No.10「iPodをつくった男」
著者:大谷和利
アスキー新書
(ISBN : 978-4-7561-5096-7)

「ウーム、困った!」と思いました。

このブログに本書の事を書いたものか、どうか・・・

でも書いてしまいます!

困ったと思ったのは、タイトルと中身が基本的に一致していない
感じたからです。

タイトル「iPodをつくった男」
サブタイトル「スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス」
折り返し「iPodで快進撃を続けるアップル社の強みは一体どこにあるのか?
     ビジネスマン必読の一冊!」

前にも書きましたが、私は長年のMac愛用者ですので、この手の本は
よく中身も確認せずに、カバーとタイトルだけで買ってしまいます・・・

タイトルの「iPodをつくった男」 = スティーブ・ジョブズと云う事に
なるかと思います。
(ちなみに、ご存知ないかたへ・・・スティーブ・ジョブズと云うのは
米国アップル社の創業者であり、現在CEOを務めている方です)
続くサブタイトルで「現場介入型ビジネス」と謳っている訳ですから、
普通に考えれば、
いかにしてスティーブ・ジョブズが現場に介入しながら(首を突っ込みながら)、
iPodを創り出したのか・・・
と云う内容を期待してしまうと思うのです。

し・か・し・・・
もちろん、iPod開発秘話みたいな内容も盛り込まれているのですが、
書いてある中身が薄い、と云うか散漫です。
以下、なぜ私がそう感じるのかを書きたいと思います。

1.iPodの話だけでなく、アップル社の歴史的なエピソードとか多岐に
  わたった内容になっていて焦点が絞り切れていない。
2.筆者の推測で結論をまとめてしまっている点がいくつかあり、検証がなされていない
3.視点がアップル社サイドに偏りすぎている
4.そこそこのMac・ファンというかアップル社に関心を持っている人なら
  誰でも知っているようなエピーソードばかりで新たな話題(ネタ)の提供が無い


概ね私が本書に感じる不満点は上記の4点です。

では、先ず目次から本書の内容を検証してみたいと思います。

第1章 スティーブ・ジョブズという男について
(ここは、タイトル通り主役のジョブズについての分析ですので、妥当なオープニングだと
思います)

第2章 アップル社の経営方針
(ジュブズに続いて、その当人が率いるアップル社についての解説ですから、これも妥当)
第3章 デザインの重要性
(まぁ、アップル社の経営基軸の中にデザインに対する強いこだわりがありますので、これも
良いかと思います)

第4章 キャッチコピーから見るアップル社
(この辺から何だか怪しくなってきます。iPodともジョブズとも関係のない話が結構、多く
書かれています)

第5章 同じ過ちは繰り返さない
(アップル社が過去に犯した数々の経営的な失敗を上げ連ねています、何でこんな事を
書く必要があるのか・・・?)


もうとにかく、アップル社、ジョブズにまつわる数々のエピソードを取り上げているのですが、
200ページ弱の新書にこれだけの内容を押し込める訳ですから、一つ一つに関する記述は
どうしても薄くなってしまい、結果的に焦点の定まらない”ごった煮”状態になってしまっていると
感じるのです。

それから推測が多いと云うのは・・・
本書の第2章に「裏プロジェクトの重要性」という件があります。
その中でiPodが異例とも言える短期間での開発スピードで発売された事を受けて
「密かに、個人もしくは小さなグループレベルでこうした携帯デバイスの研究をしていた
エンジニアが社内にいたのではないかと推測される。」
(P62)
続く段落の結末では
「世界的なトレンドを睨んで携帯音楽プレーヤーをテーマにした試作が行われていた可能性も
なきにしもあらずだ。」
と締めくくり、最後には
「アップル社では、無意識のうちにそうした仕組みが社内にできあがり、自己防衛的に機能して
いるとすら思えるのである」
と結論づけている。

推測される」「なきにしもあらずだ」「思えるのである」推論に推論を重ねて推論としての結論を
導く、というのは、如何なものか・・・

何だか、悪口ばかりになってしまうので、もうやめます。

出来れば、iPodやスティーブ・ジョブズにまとを絞って、内容を”濃く”するか、
「アップル・ファン! 〜話題のiPodやiMacを創り出したアップル社のエピソード〜」
なんていうタイトルにして頂きたいと思うのでした。
posted by penguin-oyaji at 21:52| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
洋物の企業本ってこのパターン多いですよね。中身が薄っぺらいの。ちゃんと取材してないし、インタビュー取ってないです。このパターンで、マクドナルドとセブンイレブン、ウォルマートとはずしたことが思い出されました。基本的に本人が書いてない企業本はあまり当てにならないかなぁって感じでしょうか。
個人的には、きちんと裏付けを取っていただき、資料を基に科学的な手順を踏んで頂きたいなと思う次第です。売り物ですからその上で結論もほしいですね。
Posted by とりあえずやろう at 2008年04月08日 17:35
コメント、ありがとうございます。
やはり、本を出版する以上は取材とかして
新たな情報を提供して欲しい、と私も思います。

本人が書いていない企業本の全てが駄本と云う訳ではないと思いますよ。
ただ、「売らんかな」的に注目を集めたエピソードが中心だと
結果的にどれも似たりよったりの内容になってしまう傾向はありますね。

経営者本人が書いていない場合は、どれだけその筆者独自の視点で
切り取っているかがポイントですね。
Posted by penguin-oyaji at 2008年04月08日 21:09
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