2019年07月04日

【年金】「「年金問題」は嘘ばかり」高橋洋一:著 PHP新書

年金問題

「「年金問題」は嘘ばかり」ダマされて損をしないための必須知識
高橋洋一:著
PHP新書

今年(2019年)6月に金融庁が発表した、いわゆる「老後2000万円問題」のレポートが大きな話題になりましたね。

 

テレビを見ているとワイドショーなどはこの話題を来る日も来る日も大きく取り扱って放送してました。

 

そして遂には「年金返せ!」とデモをする人まで現れました。

 

「あなたは年金の仕組みや制度について理解していますか?」 おそらく、「よくわからない」と答える方が多いはずです。 (本書「プロローグ」より)

 

年金問題を扱っているワイドショーを見ながら、私は何だか漠然と「ちょっと違うんじゃないかな?」と違和感を抱いていました。

 

でも、自分も年金のことをちゃんと理解しているかというと実はよく分かっていないので、その違和感の正体が何であるのかを言葉にすることができませんでした。

  • 年金制度とはそもそも何であるのか?
  • 本当に年金制度は危ないのか?
  • 将来、自分はいくらくらい年金を受け取れるのか?

そういった年金の諸々のことを、これを機会にちゃんと知っておこう!と思い、この本を手に取りました。

 

読んでみると、とても分かりやすくて今まで何となくモヤモヤしていた年金のことがスッと理解できました。

 

 

アマゾンの内容紹介

多くの人は国の「年金」に不安を抱えています。「もらえなくなるのではないか」「損をするのではないか」「破綻するのではないか」・・・。

しかし、それは「誤り」だと、著者は明快に喝破します。そもそも「年金」とは「保険」であり、その性質さえ知っていれば、すべてわかるし、ダマされることはないのだ、と。

 

著者について

著者、高橋洋一氏の現在の肩書きは数量政策学者、嘉悦大学教授。

 

東大の数学科を卒業した後、大蔵省(現・財務省)に入省。年金数理・保険数理を理解していた著者は省内で「年金数理の専門家」と思われていたくらい年金制度には詳しいそうです。

 

また、毎年誕生日が近づいてくると送られてくる「ねんきん定期便」の生みの親でもあるとのこと。

 

そもそも年金制度ってどういうもの?

年金手帳イラスト

モッファさんによるイラストACからのイラスト

 

年金は保険である

「年金は、福祉である」と思っている人はたくさんいますが、年金の本質は、「年金保険」という「保険」なのです。

ひと言でいえば、公的年金は「長く生きた人を保証する保険」です。どうやって保証するかというと、「早く死んでしまった人」の保険料を、「長生きした人」に渡して保証するのです。

この本を読んで思ったのですが、今回の「老後2000万円問題」はそもそも保険である年金を福祉と思い込んでいるところにボタンの掛け違えがあるような気がします。

 

でも!

 

そう思い込んでしまう人がいるのもムリはないとも思うんですよね。

 

年金は国民皆保険なので会社勤めをすれば「そもそも年金は・・・」という説明もなく、否応なしに給与から天引きされてしまうじゃないですか。

 

「お願い!入って!」と言って泣きついてくる保険会社勤めの友人だって一応の説明はしてくれます。

 

だけど、年金について誰かからちゃんと説明を受けた記憶ってないんですよね。。(大事なお金を取られるのに!!)

 

保険なら「老後まるっと保証して!」

「年金は保険である」そのことは分かった。保険だったら何で老後の生活をまるっと保証してくれないのか?と思わないですか?

 

これって、裏を返すと「まるっと保証」してくれるほどの保険料を支払ってますか?っていうことになるんですよね。だって、保険なんだから。

 

<保険の原理>
・保険料を多く納めた人→保証額(年金)多い
・保険料を少し納めた人→保証額(年金)少ない
・保険料を納めなかった人→保証(年金)なし(公的保険は例外あり)

この本によれば「毎月納めている保険料の二倍くらいが、将来、毎月受け取る年金額になる」そうです。

 

アバウトにいうと、厚生年金の場合は月給の約2割を保険料(ちなみに労使折半)として支払い、年金額はその倍ですから月給(生涯の平均月給)の約4割が年金の受給額になります。

 

これを前提に考えると「老後まるっと保証」してもらうためには、保険料率を上げてより多くの保険料を支払うようにすれば良いということになります。

 

もしくは猛烈に稼いで、同じ保険料率でもより多くの保険料を支払うか?

 

公的年金は、その発想からすればあくまで「年金保険」であり、「長生きするリスク」に備えるものなのです。

もちろん、退職後の生活を支える基本部分の資金になってくれることは間違いありませんが、いくらもらえるのかは開示されているわけですから、先にも書いたとおり、「この金額では生活費として足りない」と思う人は、貯蓄や民間の年金保険などで備えておけばいい、ということになります。

 

年金は本当に危ないの?

若者と高齢者

mono777さんによるイラストACからのイラスト

賦課(ふか)方式とは、現役世代から集めた保険料を老齢世代の年金給付に充てる方式です。自分が支払ったお金は今の高齢者にあげる。自分が高齢者になったときには、そのときの若い人の保険料から年金をもらう。

日本の年金制度は積み立て方式ではなく、賦課方式というやり方を採用しています。

 

これは最近よくテレビでもやっていたので、ご存知の人も多いと思います。

 

ただ、この方式だと少子・高齢化の日本では、将来の高齢者を支える若者が少なくなるので年金が破綻するのではないか?という不安が出てきます。

 

しかし、そんな日本の状況(少子・高齢化)でも年金制度は大丈夫だと著者は言います。

 

人口減少は急激に進むわけではなく、ゆっくりと進むと予測されていますから、人口減少が起こっても、給付額が大幅に減ることはありません。ゆっくり進む人口減少に合わせて、毎年少しずつ調整していけば影響は少なくて済みます。その仕組みが「マクロ経済スライド」です。

毎年5月の「こどもの日」になると、1年間に生まれた子供の数がマスコミを通じて知らされます。

 

あれを毎年ウォッチングしてると確かに少子化現象だということは分かりますが、同時にそんなに急激に減少しているわけでもないということも分かります。

 

現状の制度をきちんと運用すれば、「破綻だ」などと大げさに悲観する必要ないのです」と著者がいうように、この本を読むと制度自体が破綻することはないのではないかと思えます。

 

しかし、制度が破綻しないことと、もらえる受給が取るに足るものなのかどうかは別問題だと思うのです。

 

著者はいいます。

「年金問題の大半は、制度の問題ではなく、経済政策の問題なのです」

 

よく高齢者1人を若者何人で支えるか、という話しがありますよね。でも、その考え方は間違いで、正しくは金額で考えるべきだと主張します。

 

つまり、やせ細った人が支えるのと筋骨隆々の人が支えるのとでは話が違ってくるということです。

 

年金制度にとって一番重要なのは「金額」です。今後、人口が少しずつ減少していくと予想されている中で重要なことは、「所得を増やすこと」。経済を成長させて、所得を増やしていく。それが年金制度を安定させる一番のポイントです。

上の方で保険料を多く納めた人は保証額(年金)が多く、保険料を少し納めた人が保証額(年金)が少ない。という部分を引用しました。

 

そういう保険の仕組みからしても、現役世代の所得が増えれば、それに比例して納付される保険料が増えることになりますよね。

 

自分がもらっている月給が増えれば、将来受け取る年金も増えるわけです。

 

経済が成長しない場合は、残念ながら年金は破綻します。年金だけでなく、すべての社会保障が破綻します。

そういう意味では、年金のために国がやるべき一番重要なことは「経済政策」だということになります。

 

今、将来の社会保障財源を確保するために消費増税すると政府は言っていますが、この本を読むとそれがそれが「大嘘」で「矛盾」していることがよく分かります。

 

年金の「真実」を隠したがる人たち

国会議事堂

東京イラストレーションさんによるイラストACからのイラスト

年金が「保険」であることが広く知れわたってしまうと、困る人たちがいます。それは、財務省の官僚であり、厚労省の官僚です。

「老後2000万円問題」で年金を福祉と勘違いしている人たちがいることについて、そもそも年金が保険であるとちゃんと説明を受けたおぼえはないぞ!と書きました。

 

なぜ、年金についてちゃんと説明されないのか?

 

そこには財務省、厚労省の思惑だったり利権が絡んでいることを著者は指摘します。

 

それと、社会保障財源を消費増税に求める裏には経済界の意向が絡んでいることも分かります。

 

このあたりを読むと、何となく前から薄々気づいてはいたけど「やっぱりそうだったか!」っていう感じです。

 

まとめ

二人のシニア

しのみさんによるイラストACからのイラスト

「あなたは年金の仕組みや制度について理解していますか?」

 

本書の冒頭に書かれている著者からのこの問いかけに対して、この本を読み終えた今の私の答えは「お恥ずかしながら・・・」というものです。

 

私たちは年金の専門家ではないので、そんなに深い知識は知らなくても良いと思いますが、それでも最低限のことは知っていないと、あっという間に官僚やマスコミ、御用学者の言説に惑わされてしまう怖さも感じました。

 

「年金問題」を盲目的に怖がるのではなく、先ずは正しく理解すること。

 

その上で、老後の資金をどのように手当てするのか?ということについても書かれています。

 

「老後2000万円問題」に怯えないように、踊らされないためにもこの本を読んで良かったと思いました。

 

posted by penguin-oyaji at 20:00 | Comment(0) | 読書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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