2019年06月03日

【カーリング】「0から1をつくる」本橋麻里:著

本橋麻里

「0から1をつくる」地元で見つけた、世界での勝ち方

本橋麻里:著

講談社現代新書

「マリリン」の愛称で知られるカーリング女子の本橋麻里選手。

彼女が地元、北海道の常呂(ところ)で立ち上げた「ロコ・ソラーレ」が2018年の平昌オリンピックで銅メダルを獲得したのは記憶に新しいと思います。

この本はトリノ、バンクーバーオリンピックに出場し、その後ロコ・ソラーレを立ち上げ、平昌オリンピックで銅メダルを獲るまでの道のりを辿りながら、単なる追想録ではなくコミュニケーション、チームビルディング、リーダー論などが詰め込まれた内容になっています。

アマゾンの内容紹介

カーリング女子五輪メダリストが明かす、コミュニケーション術、組織マネジメント術、リーダー論・・・。

強いコミュニケーションをつくる

ロコ・ソラーレは「長い時間をかけてもいい。遠回りでも、強いコミュニケーションをつくって、4年に一度に振り回されないグループをつくりたい」という思いで結成されたチームです。

ロコ・ソラーレというと「もぐもぐタイム」や18年の新語・流行語大賞にもなった「そだね〜」が有名ですね。オリンピック中継では「癒やされる〜」という声がSNSに数多く投稿されていました。

しかし、このチームの魅力は「癒やし」や「かわいらしさ」だけではなく、史上初めて日本のカーリングでメダルを獲ったことで証明された勝負強さ、実力の高さにもあると思います。

そして、その強さを生み出している一つの要因が選手間のコミュニケーション力ではないかと思うのです。

それは試合中、他のチームは3番目、4番目に投げるサードとスキップの2人の選手が話し合って作戦などを決めているのに対して、ロコ・ソラーレは4人の選手が話し合っている場面がすごく多いことからも分かります。

それだけに、この本の中でもコミュニケーションについて多くのことが語られています。

本音で話すことで起こる意見のズレは、時間がかかっても最後にはポジティブな場所に着地します。

強いグループを形成するためには、崩してまた組み立てること。遠回りでも一度、ぶつかること。それを繰り返すほかないと信じました。

職場やチームなどで意見交換をするとき、大なり小なり意見がぶつかることってありますよね。

そういう時、「まぁ、まぁ、まぁ」という感じで正面衝突を避けて、無難な線に着地させたりすることってありませんか?

でも、この本橋選手の言葉を読むと、本当に強いチームを作るためにはぶつかることを恐れてはいけないし、例えぶつかったとしても最後にはポジティブな結果につながることを教えられます。

しかし、何でもぶつかればいい!というわけでもないと思うんですよね。

そもそもコミュニケーションというのは、決して一方からではなく双方からのものであるべきで、「私はこうだと思う」と言い続けるのではなく、主張したぶんだけ、相手の意見を聞くべきです。

ロコ・ソラーレでは、相手をしっかり尊重し、どんなタイミングでも、誰が何を言ってもいいようなミーティングを何度も重ねました。

こういったように、相手を尊重する、発言するだけでなく相手の話もしっかり聞く、そして何度も話し合いを重ねる、そういった信頼があって初めて本音でぶつかることが出来るのだと思います。

リーダー像

私が感情の起伏を大きく見せたら、チームみんなが動揺するかもしれない。私はみんなと同じ気持ちを共有しつつも、何があってもとにかくどっしりと構えていよう。嬉しい勝ちも、ボロ負けでも、一定でいることが私の仕事だなと五輪開幕前に決めていました。

平昌オリンピックでは本橋選手はフィフス(控え)の選手に回り、試合中はコーチボックスでチームの戦いを見守っていました。

リーダーというと、みんなの先頭に立ってグイグイと引っ張っていくイメージが強いように思いますが、本橋選手は言います。

「そうか、サポートという形でもチームを引っ張ることは可能なんだ」という一つの形を得ました。先頭に立って、仲間をぐいぐい引っ張るタイプのリーダーではなく、仲間を舞台裏でしっかり支えるタイプのリーダーです。

また、チームを鼓舞するために敢えてキツいことを言ったり怒ったりするリーダーもいますが、それに対しても「私の中では、苦しんで伸びる時代、選手を怒って伸ばす時代はもう終わり。そう考えています。」と、書かれています。

本橋選手はリーダーとしても主将としても新しいスタイルを創り出しているように感じました。

0から1をつくる

平昌オリンピックから地元、常呂町に凱旋帰国したとき吉田知那美選手が言いました。「この町、何にも無いよね」と。

北海道北見市常呂町。数多くのカーリング選手をオリンピックに送り込んだカーリングの聖地と言われる町です。

しかし、何も無いが故にチームをサポートしてくれるスポンサーも無く、有力選手は地元を離れ他の地方で選手生活を続けるしかなかったそうです。

そんな現状を変えたい!地元で愛されるチームを作りたいと考え、本橋選手はチーム青森を離れ、ロコ・ソラーレを立ち上げました。

「地方だから」という言い訳は、私の中にはありません。地方だからこそ、前向きに、どんどん進めることができる。田舎には無限の可能性がある

ゼロは最強です。アイデアと体力さえあれば、何でも生み出すことができる。

たぶん、ビジネスの世界でいえば本橋選手は「創業者タイプ」なんだと思うんです。

    • ロコ・ソラーレを立ち上げて、オリンピックで日本初のメダルを獲得するチームに押し上げる

    • 後輩育成としてセカンドチーム「ロコ・ステラ」を立ち上げ、指導にあたる

    • 「ロコ・ソラーレ」を法人名として一般社団法人化して自身は代表理事に就任

こんな具合にどんどん新しいことに挑戦し、今もその歩みを止めていません。

「メダリストなんて、1年経てばタダの人なんです」そうこの本には書かれています。

しかし、タダの人になるどころか今年(19年)5月には政府の地方創生会議のメンバーに選ばれ、さらに活躍の場を広げそうです。

創業なんて、大袈裟なことでなくてもいい。0から1を生み出す。新しいことに挑戦するバイタリティは見習いたいものです。

まとめ

カーリングは人生を豊かにするツールではあるけれど、決して私の人生のすべてではない。

メンタルの部分は、カーリングだけをやっていれば強くなるものでもなく、人生経験がどうしても必要なんだという確信は今でも私の心に強く残っています。

こう書かれているとおり、この本は主に本橋選手のカーリング経験が書かれていますが、それだけじゃない。

特に印象に残ったのは、コミュニケーション力と人間観察力です。

「今目の前にいる人は信用しない」という彼女の言葉。普通はネガティブに捉えてしまうと思いますが、これがとんでもなくポジティブ!!(その理由は本書にてご確認を・・・)

チームメイトはもちろん、周囲の人たちや取材に訪れるメディアの方々に対する観察力は「なるほど!」と唸るものがあります。

本橋選手が持っている「0から1をつくる」力は、人を観察し、コミュニケーションを取り、人と人をつなげる。そんなところに原動力があるのかもしれません。

カーリングファンならずとも、対人関係やコミュニケーションで悩んでいる方、組織のリーダーとして色々なことを考えている方には是非、一読をお勧めします。

《スポンサーリンク》

ロコ・ソラーレ 銅メダルへの軌跡 平昌五輪報道特集

posted by penguin-oyaji at 20:00 | Comment(0) | 自己啓発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: