2017年02月08日

ギャップ萌え?「狂犬」と「修道士」の間に・・・【「自省録」】

「自省録」

マルクス・アウレーリウス:著
 神谷 美恵子 :訳
岩波文庫

 

 

『ギャップ萌え』という言葉がある。

 

料理はできないし、鳥は見るのも嫌いですぐに泣く。

 

だけど、ステージで歌わせたらすごくうまくて、かっこいい!

 

そういうアイドルにおじさんはキュンキュンするのである(笑)

 

何故か知らないけど、人は「ギャップ」がある人に惹かれるものらしい。

 

「ギャップ萌え」といえば、彼の人もそうかも知れない。

 

先日、来日した新しいアメリカの国防長官、ジェームズ・マティス氏、その人である。

 

「MAD DOG(狂犬)」という異名があるかと思えば、7000冊の蔵書を持ち、生涯独身主義でテレビを持たない禁欲的な姿勢から「戦う修道士」とも言われているそうだ。

 

そのマティス氏の愛読書の一つとして、かつてのローマ皇帝、マルクス・アウレーリウスが記した「自省録」という本がテレビで紹介されていた。

 

「MAD DOG」と「戦う修道士」のギャップに惹かれて(?)取り急ぎ、Kindleでダウンロードして読んでみた。

 

一部、哲学的すぎて読んでいても、さっぱり分からないところもあった。

 

だけど、湾岸戦争、アフガニスタンやイラクの戦場にあってマティス氏の心を支えた言葉に思いを馳せて読んでみると、なるほど!とうなずけるところも多い。

 

例えば、

あたかも一万年も生きるかのように行動するな。
不可避のものが君の上にかかっている。
生きているうちに、許されている間に、善き人たれ。

 

「死」と隣り合わせの戦場においては呑気に「明日・・・」などとは言ってられない。

 

「生きているうちに、許されている間に、善き人たれ」

 

そんな言葉も私たちが平和な日常の中で感じるよりも

 

真実味を帯びてマティス氏の心に何かを訴えていたのではないか。

 

事物は魂に触れることなく外側に静かに立っており、わずらわしいのはただ内心の主観からくるものにすぎないということ。

 

敵が、身方が、次々と命を失い倒れていく。

 

そんな戦場で指揮官として兵士たちを統率していくためには外部の出来事に一々、動じることなく自分の心の内を平静に保たなければならない。


そんなコトを教えてくれる言葉のように思えた。

 

◆◇◆◇◆◇

 

この「自省録」を書き記したアウレーリウスもローマ皇帝として各地の戦場を転戦して活躍した人だった。


だからこそ、軍人であったマティス氏の心にも何かしら相通じるものがあるのかもしれない。

 

ちなみに「MAD DOG」を狂犬と訳すのはあまりに直訳すぎて、本来は「勇猛果敢」と訳すのが妥当ではないか、そんなふうに指摘する声もちらほら聞こえてくる。

 

なるほど。勇猛果敢な、戦う修道士であれば、そこに「狂犬」ほどのギャップはないように思われる。


そして、素直な目で彼の人を受け止められるように思うのだが。

 

そういえば、


「あるがままの姿で物事を見よ」

 

「自省録」にもそのひと言が書かれていた。

 

(おしまい)

 

【文庫】

 

【Kindle版】

posted by penguin-oyaji at 21:12 | Comment(0) | 読書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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