2015年03月26日

【「論語と算盤」渋沢栄一】成功や失敗なんてカスみたいなものだ!

「現代語訳 論語と算盤」
渋沢栄一:著
守屋 淳 :翻訳
筑摩新書

言わずと知れた古典的名著。
久しぶりに読み返してみたけど、やっぱり良い!

著者の渋沢栄一は「日本の実業界の父」と言われ、
生涯に500以上の企業や団体の設立に関わったという
すごい人です!

第一国立銀行(現:みずほ銀行)、東京証券取引所、東京瓦斯
帝国ホテル、サッポロビールなどなど
これら全て、渋沢栄一が設立に関わった企業というのだから、
まさに、現在まで続く近代日本の礎を創り上げたといっても
決して過言ではないですよね。

この本の中では「論語」の思想をベースに生きてきた
渋沢栄一の人生哲学が語られていて、
よくある論語の解説本とは一線を画した骨太の一冊です。

Amazonの内容紹介

日本実業界の父が、生涯を通じて貫いた経営哲学とはなにか。
「利潤と道徳を調和させる」という、経済人がなすべき道を示した
『論語と算盤』は、すべての日本人が帰るべき原点である。
明治期に資本主義の本質を見抜き、約四百七十社もの会社設立を
成功させた彼の言葉は、指針の失われた現代にこそ響く。
経営、労働、人材育成の核心をつく経営哲学は色あせず、
未来を生きる知恵に満ちている。

■「義」と「利」を一致させる

だからわたしは、『論語』を商売するうえでの「バイブル」として、
孔子の教えた道以外には一歩も外に出ないように努力してきた。
それによってわたしは
「一個人の利益になる仕事よりも、多くの人や社会全体の利益に
なる仕事をすべきだ」
という考え方を、事業を行ううえでの見識としてきたのだ。
(P164)

京セラの創業者、稲森和夫氏が第二電電(現:KDDI)を設立する時に
「動機善なりや、私心なかりしか」と繰り返し自分自身に対して
問いつめたとある本に書かれていました。

創業する時って(自分は経験ありませんが)、
第一に儲かるかどうかを考えるのがフツーのような気がするんですよね。

あるいは、企業経営の目的は?と訊かれたら
「利潤の追求」と答える人が圧倒的に多いような気がするのです。
(まぁ、私の勝手な思い込みかもしれませんが)

確かに企業って、利益を出さないと潰れてしまいますから
「儲け」は大切だと私も思うんですよ。

だけどね

それじゃ、儲かればなんでもいいのか?
ってことですよね。

話しは少しそれますが・・・

以前、新卒採用の仕事をしていて面接をしている時に
「なぜ、この仕事を選ぼうと思ったのですか?」っていう
まぁ、典型的な志望動機を尋ねる質問をすると

「お客さまに喜んで貰えると嬉しいから」
って、こたえる学生さんが、けっこういました。

まぁ、就活のマニュアル本に出てくるような模範解答なわけですが、
でも、そう答える学生さんの中には本当にそういう理由で
志望してくる人もいるんですよ。

私、思うのですが・・・

自分がしたことで、他の人が喜んでくれたら
やっぱり嬉しいじゃないですか?!

たぶん、「人に喜んでもらう」「人の役に立つ」っていうのが
仕事(ビジネス)の原点だと思うんですよね。

だけど、片一方で利益を出さないと会社としては破綻してしまう。

この本のタイトル「論語と算盤」って、
論語=道徳、算盤=お金勘定って読み替えると、
分かりやすくなると思うのですが、
要は、人としての正しい行いでもってビジネスをしていく、
そういう渋沢栄一の仕事に対する哲学を表していると思うのです。

「欲に目がくらむ」という言葉がありますが、
人ってお金が絡んでくると、つい間違った道に走ってしまうことって
あると思うんですよね。

仕事でも、私生活でもお金が絡んできた時こそ
いったん立ち止まって、
「人として正しい行いなのか?」ということを冷静に
考えてみることが必要なんだなぁと改めて思ったのでした。

■なんのために勉強するのか?

そもそも現代の青年は、学問を修める目的を間違っている。
『論語』にも、
「昔の人間は、自分を向上させるために学問をした。今の
人間は、名前を売るために学問をする」
という嘆きが収録されている。(P193)

小さい頃、思いませんでしたか?
なんで勉強しなくちゃいけないの?・・・って。
(私は勉強嫌いだったので、よくそんなことを思ってました)

なぜ、勉強をするのか?という問いに対して
よくある答えって、
テストで良い点を取って、良い学校に入り、一流の会社に入るため
・・・というもんじゃないですかねぇ、たぶん。。

今や一流企業に就職したからといって将来安泰!ってことは
ないのだけど、なぜか一生懸命に勉強することと一流の会社に
入ることはセットになっているような気がする。。のです。

以前、昭和初期の頃に出版された「修身教授録」を読んだ時にも
感じたことなのですが、
その本の中では、学問を修めて国の発展に貢献することを
勉学の目的にしているんですよ。

で、渋沢栄一も本書の中で学問を修め、自分を磨き、
国を栄えさせるという志を何度も語っています。

片や、いい学校に入って、いい会社へ入る
片や、この国を発展させるべく己を磨く
何なんだ、この差は?!

私が以前に務めていた会社の社長がよく社員を相手に
「大きく考えて、大きく行動せよ」ということを
よく話していたんですね。

その言葉を聞く度に、私自身の考えのスケールの小ささを
痛感していたものです・・・orz

勉強の目的一つをとっても、今は小さくまとまってしまっている人が
多いのかもしれませんね。
特に若い頃はもっと天下国家を論じるくらいの気概があっても
良いのかも・・・そんなことを感じました。

■成功や失敗なんてカスみたいなものだ!

一時の成功や失敗は、長い人生や、価値の多い生涯における
泡のようなものだ。ところがこの泡に憧れて、目の前の成功や
失敗しか論ぜられない者が多いようでは、国家の発達や成長が
思いやられる。
(中略)
成功や失敗といった価値観から抜け出して、超然と自立し、
正しい行為の道筋にそって行動し続けるなら、成功や
失敗とはレベルの違う、価値ある生涯を送ることができる。
成功など、人として為すべきことを果たした結果生まれるカスに
すぎない以上、気にする必要などまったくないのである。
(P220)

いやいやいや〜、なんだか衝撃的な文章です。。!

いかにして人生の「成功」をつかみとるか?!
そんな本が溢れる中で、
成功や失敗なんてカスだ!・・・ですからね。。
身も蓋もないじゃん!

私は最初、これが何を言わんとしているのか
実は余りよく理解できなかったんですね。
(今も・・・かも知れないけど)

でも、

たぶん

こんなことを言いたかったんじゃないかなぁって
最近になって思うようになったのです。

「成功」とか「失敗」って、時の運に左右されることが
ありますよね。

頑張って努力したのに、うまくいかず失敗してしまう。
反面では、たいして努力もしていないのに、スルスルと
時の流れに乗って成功してしまう。

だからこそ、努力したからといって必ず報われるとは
限らない。。。って戯れ言もでてくる。

だけど

お金持ちになった!有名になった!恋が成就した!
「成功」も「失敗」も、ある意味「結果」じゃないですか。

たまたま成功したのかも知れないし、
たまたまうまくいかなかったのかもしれない。。

そんな偶然や運に左右されるようなものに、大きな価値はない!

それよりも大切なのは、

人として正しい考えをもち、正しいことを行って
自分の為すべきことをきちんとやることだ。。

そのような生き方をすることが、きまぐれな「成功」や「失敗」
なんかよりも遥かに価値のあることだ・・・

たぶん、そういうことなんじゃないかって思うのです。

◇最後に・・・

人として「正しい」考えを持つ
人として「正しい」行いをする

そんなふうに書くと、「正しい」ってなんだよ!
人生に於いて何が正しいかなんて人それぞれの価値観で
ちがうだろ?!・・・と、思われるかもしれませんね。

確かにその通りだと思います。

渋沢栄一にとって「正しい」の拠り所は『論語』つまり孔子の教えです。
ご存知の方も多いかと思いますが、『論語』は2,500年以上も前に
書かれたものです。

それが、この現代まで延々と読み継がれてきている。

歴史上の人物でも論語に影響された人って大勢いる。
あの有名な徳川家康の遺訓
「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし」も、
その殆どが論語に書かれていることがベースとなっていって
いわれてます。

それだけ長く、多くの人に読み継がれてきたのは、「論語」には
人生や生きるうえでの何か普遍的なものが書かれているから、
だと思うんです。

それが正しいのか、正しくないのかは
もう読み手が信じるかどうか・・・なんですけど。

ただ・・・ひとつ思うのは・・・

わたしは常に、精神の向上を、富の増大をともに進めることが
必要であると信じている。人はこの点から考えて、強い信仰を
持たなければならない。(P47)

渋沢栄一にとって「論語」は文字通り、より良い人生をおくるための
バイブルであり、信仰の対象だったのではないかと思うのです。

そして、「論語」の通りに考え、行動した結果、
生涯に500以上の企業、団体の設立に携わり「日本の実業の父」と
呼ばれるほどの偉業を成し遂げたのです。

人生を生きていくうえで、指針となるような考え方や哲学を学び
実践していくことが、どれだけ大切なことなのかが分かります。

色々な本をあれこれ読むのも大切。
だけど、
座右の書をもち、そこから考え方、在り方を徹底的に学ぶことも
大切だと思うのです。

この本は渋沢栄一が論語から何を学び、どのように考え、
どのように生きてきたかを知るには、最適な一冊ではないかと思います。

長々と最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

 

現代語訳 論語と算盤 (ちくま新書) -
現代語訳 論語と算盤 (ちくま新書) -

タグ:論語
posted by penguin-oyaji at 22:22 | Comment(0) | 読書(自己啓発) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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