2009年02月09日

ハードボイルドじゃん!・・・「西の魔女が死んだ」

 

Book-No,109
「西の魔女が死んだ」

梨木 香歩 著
新潮文庫

さ、今日も先週読んだ『小説』の中の一冊です。

「西の魔女が死んだ」・・・私は全然知らなかったのですが、
amazonのレビューがものすごくいっぱい付いていたり、
映画にもなったりしていて、
けっこう有名な作品なのですね。

知ってた・・・?

《あらすじ》
ある事が原因で、学校へ行かなくなってしまった主人公の少女、まいが
(西の魔女と呼ばれている)お婆ちゃんのところへ預けられ、
そこで魔女としての修行をするという、そんなファンタジーっぽい内容です。

■ハードボイルドじゃん!!
上でファンタジーとか書いておきながら
実はこの作品を読みながら、私は「ハードボイルじゃん!」って思いました。

この作品を読んで、「ハードボイルド」なんていうふうに思うヤツも
珍しいと思いますが・・・(汗)

ある事がきっかけで心に傷を負った少女、まいに対して
おばあちゃんは、こんなことを話して聞かせます。

「おばあちゃんはまたにやりとして、
「でも、精神さえ鍛えれば大丈夫」
「どうやって鍛えるの?」
まいは畳みかけるように熱心に訊いた。
「そうね。まず、早寝早起き。食事をしっかりとり、よく運動し、規則正しい
生活をする」」
(P69)

「本当に、大丈夫。悪魔を防ぐためにも、魔女になるためにも、
いちばん大切なのは、意志の力。自分で決める力、自分で決めたことを
やり遂げる力です。その力が強くなれば、悪魔もそう簡単にはとりつき
ませんよ」
(P70)

生きていくうえで、心の「根っこ」になるような大切な考え方、生き方
おばあちゃんは、まいに伝えたかったのでしょうね。

そして更に「考え方」だけでなく、

「「これ、すごいね、おばあちゃん」
まいは、目を丸くさせながら立ち上がって、おばあちゃんの方へ歩いた。
「ジャムをつくるんです。さぁ、がんばって摘んでしまいましょう」」
(P41)

野いちごを摘んで、ジャムの作り方を教えたり

「「まいはこの草の名前を知っていますか?」
と言って、小屋の前に堂々と根を張っている一株の草を指した。
「わかんない。何て名前?」
「クサノオウといいます。いかにも草らしい草でしょう?けれど猛毒です。
気をつけなければなりませんよ」」
(P88)

植物の名前を教えたりして
人生を豊かに生きていくのに必要な知識や技も
まいに教えていきます。

少女が大人に成長するのに大切なことを一つ、ひとつ
おばあちゃんが孫のまいに教えていく。
そして、まいの傷ついた心も少しずつ癒えて、自信を取り戻していきます。

ロバート・B・パーカーが書いた
「初秋」というハードボイルドの傑作があります。
その作品の中では、探偵スペンサーが心を閉ざした少年に
男としての生き方、それに家の建て方やジョギング、料理などを教え込み
少年を自立させていく姿が描かれています。

一人の大人が、子どもへ大切なことを伝えて自立させていくという点では
「初秋」もこの「西の魔女が死んだ」もまったく同じテーマで描かれて
いるのですよね。
だから、ハードボイルドじゃん!なんて思ったのですが・・・

それに・・・
「「まいっ」
おばあちゃんは短く叫んでまいの頬を打った」(P170)
このへんも、ちょっとハードボイルドっぽいし・・・(笑)
《参考図書》

■語り伝えるべきことは・・・

残念ながら、私には子どもはいませんが、(嫁もいない!)
もしも、男の子なり女の子がいたら
どんな言葉で、何を伝えていたのかな?
読みながらふと、そんな事を思ってしまいました。

それと併せて、
小学生だか中学生だった頃に父親に叱られた時の事を思い出しました。
私の父親は普段は無口で、私が悪いことをしたら、
口より先にビンタが飛んでくるようなタイプでした。
しかし、その日は珍しく「そこに座れ」と言って、私を前に
人に優しく、自分に厳しく生きろ!」というような事を
顔を真っ赤にしながら話してくれたのです。

とにかく体で教え込むというのが教育方針だったような感じでしたが、
私が少しは成長して、ビンタではなく言葉で大切なことを
教えてくれたのだと思うのです。

自分の子供や、若い世代に自分が何を語り、何を伝えるべきなのか
そんなことを感じさせてくれる作品でした。

■ラスト3ページ

やはり、何だかんだ言ってもこの作品のキモはラスト3ページだと思います。
思わずジーンとして熱いものが込み上げてきました。。

ネタバレ自粛で、詳しい事は書きませんが、
未読の方は是非ぜひ、お薦めです。

 
今日も、最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
posted by penguin-oyaji at 21:58 | Comment(10) | TrackBack(0) | 読書(小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ペンギンオヤジさん

どうも!連続コメントです。

「西の魔女が死んだ」は昨年末にブログでおすすめしていた方がいて面白そうだなと思って購入したのですがまだ未読です。

試験が終わったら読もうと思います。
ペンギンオヤジさんって、素直に何でもすぐ行動に移せるところ素晴らしいですね。(早くも小説2冊!)次はどんな小説かな?

更新ありがとうございました。
Posted by kaizokuou at 2009年02月09日 23:15
ペンギンオヤジさん、こんばんは。

この本...
何度も読もうかと思いながら、書棚?に戻した本ですねぇ。
絶対読みたいと思いながら、「今の気分ではちょっと...」と思ってしまう。
でも、この記事見てまた読みたくなってきました...

小説も続々UP。さすがですね。
今年も楽しみです。

ありがとうございました。
Posted by ereis.m at 2009年02月10日 22:48
kaizokuouさん、こんばんは。
連続コメント、ありがとうございます!

さすが、もう買われているんですね。
読み始めれば、すぐに読み終えてしまうと思うのですが、
試験が終わって、ホッと一息ついている時に読むのが
よいかも知れませんね^^

素直だけが取り柄ですから・・・(笑)
でも、本当に色々と試してみて損はないですよねぇ。

また、面白い小説もご紹介できればと思います。

ありがとうございました。
Posted by penguin-oyaji at 2009年02月10日 23:29
ereis.mさん、こんばんは。

おぉ、やっぱり有名な作品なのですね!
小説って、読む時の自分の心理状態とかによっても
印象が左右されやすいと思いますので、
「読みたい!」と思った時に、すかさず読むのが良いと思います。

内容は、絶対に良い!ですから、
いつか手に取って読んでみて下さい。

連続コメント、ありがとうございました。
Posted by penguin-oyaji at 2009年02月10日 23:34
penguin-oyajiさんこんばんは!
小説の紹介ありがとうございます!
この本は、映画の宣伝を見て存在を知りました。
まだ手に取ったことがなかったのですが、penguin-oyajiさんの記事を読んで読みたくなりました!小説は、ゆっくり行きつ戻りつ味わいながら読みたいですね。
お父様の「人に優しく自分に厳しく生きろ」というお言葉、とても素晴らしいですね。とかく「人に厳しく自分に甘く」なりがちだから、気を引き締めなければなりません!
Posted by 二代目 at 2009年02月12日 22:31
二代目さん、こんばんは。

やはり映画の方はご存知だったのですね。
(それすら知らなかった私は相当、世間から遅れていたような・・・)

速読が流行ってますが、こういう小説は本当に味わいながら
読みたいですよね。同感です。

それから、私の父の言葉にも共感していただき
ありがとうございます。
不肖の息子ですが、少しでも「人に優しく、自分に厳しく」
なれるように心掛けたいと思います。

いつも、ありがとうございます。
Posted by penguin-oyaji at 2009年02月12日 23:07
penguin-oyajiさん、こんばんは。

おもしろそう〜。
思わずそう思ってしまいました。
すばらしいレビューをありがとうございます。
「いちばん大切なのは、意志の力。自分で決める力、自分で決めたことを
やり遂げる力です。」
ここ、ここ。
ここが琴線にふれましたぁ。
実は、人に決めてもらったほうが楽ですもんね。
よくあるのは、「(昼メシどきなど)何食べる?」でしょうか。
意志の力を意識して決断していきたいですね。
「かつ丼!」(こゆっ)
Posted by テリー at 2009年02月13日 19:28
ペンギンおやじさん、こんにちは!

西の魔女が死んだ、僕が小説を読み出すキッカケになった本です。
この本に込められたメッセージよりも、風景描写というか、読んでると自然と周りの環境が眼の奥に浮かんでくるような。
そんな綺麗なイメージの元で読んでいました。

なので、ペンギンおやじさんの記事を読みながら、「あぁ、あそこはそういうメッセージだったのね・・・」なんて思いました(笑

いつも、何か気づきを与えてくれるペンギンおやじさんの記事、大好きです。
また読みにきます(*´▽`*)

ありがとうございます☆
Posted by シノ at 2009年02月14日 14:32
テリーさん、こんばんは。

確かに人に決めてもらっている方がラクチンですよねぇ。
私も出来る限り、食事とか飲み会の場所とかは
人に決めて貰ってラクする方です(笑)

でも、自分の人生だけは、そうはいきませんからね。
自分で考えて、自分で責任を取らなければなりませんよね。

ちなみに、私も「カツ丼」大好きです^^
でも、ココ数ヶ月はダイエットのために自粛中だったりします。
カツ丼、食いてぇ〜
Posted by penguin-oyaji at 2009年02月14日 20:55
シノさん、こんばんは。

おぉ、やはり「西の魔女〜」はお読みになっていたのですね。

シノさんが書かれている通り、風景描写も素晴らしいですよね。
私は何故だか読みながら、おばあちゃんの家の風景は
トトロに出てくる田舎の家の風景を思い浮かべていたのですが・・・

小説は、読む時々によって受ける印象も違うと思うので、
また次に読む時は、風景描写にも注目しながら
読んでみよと思います。

いつも、ありがとうございます。
Posted by penguin-oyaji at 2009年02月14日 20:59
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