2008年12月31日

この国の未来、自分の未来 「この国を作り変えよう」


Book-No.97
「この国を作り変えよう」
日本を再生させる10の提言

松本 大 ・ 冨山 和彦 著
講談社

タイトルから分かるように、内容としては
これからの日本をどう変えていくべきか」を二人の経営者が語ったものです。

勝間さんの「勝間和代の日本を変えよう」と同じ系統の本かと・・・

《関連書籍》


松本大さんは、マネックスグループのCEOで
1963年生まれという事ですから、ほぼ私と同年代。

冨山和彦さんは産業再生機構でCOOを努め、
現在は経営共創基盤のCEO。1960年生まれですので、
私より少し上の年代です。

いきなり読後感ですが、読み終えて「恐れ入りました」と思いましたね。
私とそれほど年齢も違わないお二人の見識の深さに
自分自身の不勉強を恥じ入ったという方が、より近い感じですかね。
同じくらいの時間を生きてきた筈なのに・・・という思いです。

■品格ブームの裏側
本書をめくると、一番最初の章タイトルが「品格ブームの胡散臭さ」である。
確かに書店へ行くと、何とかの品格みたいな本がけっこう積まれていて、
売れているような感じです(私は読んだ事もありませんが・・・)

品格のある生き方をしましょう」と言われて、
それは違う!」と首を横に振るのは、けっこう勇気の要ることではないかと・・・
私は単純なので、そうした「品格本」を手にしていたら、黙って頷き
同意していたのではないかと思います。

しかし・・・

昨今の品格ブームを、諸手を挙げて歓迎する気には、どうにもなれません。
どこか胡散臭く感じられて仕方がないからです
」(P12)
だいたい、品格といって騒いでいる中高年の既得権益層、とくにいちばん
うるさい団塊の世代に、品格を語る資格があるのでしょうか
」(P14)

昨今の品格ブームの発信者であり、歓迎して受け入れている中高年層
それも特に団塊の世代に対しての挑戦状みたいな事が綴られています。

読んでいて団塊の世代に対する批判は痛烈で、ある意味、爽快でもあるのですが、

それよりも・・・

人が滅多に「No!」と言わないような事に対して、疑念を感じ取り
問題点を見つけ出して、論理的に誰もが頷けるように言葉にして
提示できる能力
に「スゴイなぁ」と思うわけです。

物事の本質というか、裏側まで読み取る能力がないと、
なかなか、こういう事は書けませんよね。

※ちなみに「団塊の世代」とは、一般的には戦後のベビーブーマー世代のことで
現在、60歳前後の世代のことです。

■若い人が明るくなれない理由(世代別人口構成)
本書の中で、著者のお二人が指摘されている問題の一つは、既得権益を
手に入れた中高年層(特に団塊の世代)が、その権益を死守するために
若年層をスポイルしてしまっている点です。

もっとも、既得権益層は昔から存在して訳ですが、
なぜそれが今、問題になるのか・・・?

答えは割りと簡単ですね。
総務省統計局のサイトに行くと、いろいろな統計データが公開されていますので、
是非、お正月休みにでも見てもらいたいと思うのですが、
日本の世代別人口分布を見ると、
団塊の世代が属する55歳〜65歳のゾーンの人口は、約1880万人です。
彼らの子ども世代である団塊ジュニアが属する30歳〜39歳のゾーンが1850万人です。
現在の日本では、この二つのゾーンが圧倒的に多いんですよね。

ちなみに、若年層の20歳〜29歳ゾーンは1480万人くらいですから、
団塊の世代と比べると、400万人くらい少ないんです。

限られた権力や富を上の方の世代、それもカズの多い世代が握ってしまったら
下の世代には何も回ってこなくなってしまういますよね。

それと、ときどき耳にするようになりましたが、選挙すると人口構成から
必然的に票を持っているのは上の方の世代ですし、世代別の投票率を見ても
圧倒的に中高年層の方が投票率は高い。
そうすると、これまた必然的に政策は中高年に優位な政策を掲げた方が
選挙で当選しやすくなるという事が起こってしまうわけですね。

では、下の世代が頑張ってもっと稼げば良いじゃないか!
という話しもあると思います。

しかし・・・

いい悪いはともかく、大学で四年間遊んだ人も会社は正社員として採用し、
それなりに飯を食えるようにするというのは、この社会の暗黙の約束事だった
はずです。
その約束事を中高年世代は守らなかった。バブルが崩壊して景気が悪くなると、
新卒の一括採用をあっさりやめてしまいました
」(P15)

そう、下の世代が頑張るチャンスを摘み取ったのは、間違いなく既得権益層である
中高年世代
です。それも、自分たちが手にした権益を守るために・・・

こうした世代別人口構成から来る問題を解消するために、本書の中では
世代別選挙制度の実現』が提案されています。
二十代、三十代、四十代、五十代、六十代で選挙区を分け、各世代別の
議員定数を人口比とする。一般の若者でも政治家になれ、人口が少ない
若者世代が国政に意見を反映できる仕組みをつくり出す
」(P152)

絶対にやるべきですよね。私、この提言に賛成です。

■暗い若者が日本を変える
勝間さんが「日本を変えよう」の中で「若い人が暗い国」という表現を
されていましたが、その暗い若者もいずれは日本の中心舞台に立つ時が
やって来ます。

先日も、当社の若い社員に、日本の一人当たりGDPが急落していることに
ついて感想をきいたところ、彼の返事はこうでした。
「私は生まれてから一度だって、日本がすごい国だと思ったことはありません。
いまがダメというより、いつもダメダメな国でした
」」(P74)

ウーム、と思いましたね。
同じような風景を見てきている筈なのに、世代によって見ている風景は
随分と違うものなんですね。

しかし、日本をダメダメと思って育ってきた若い世代が中心となって
活躍する時、どうなるのか?

成功体験のバイアスがない彼らは、現在のスタイルに固執する理由など
ないので、このままでは世界の中で相手にされないと感じれば、躊躇なく
世界標準を受け入れるでしょう
」(P74)

要は今の日本は、高度経済成長の置き土産であって、特に上の世代には
その時の成功体験が残っているわけです。
だから、今後もかつて非常にうまくいった成功体験を繰り返せば、
きっとまたうまくいくに違いない、と思っている人が少なからず居る。

そうした、かつての成功体験に縛られない今の若い世代がリーダーになった時に
思いもしないブレークスルーが起こるのではないかと期待できるという事が
書かれています。

まさに「成功は失敗の素」だというわけです。

私も最近、20代の人と話すときによく言う事があって、それは
おじさん世代からマナーとか礼儀作法等は学ぶべきだが、仕事のやり方に
ついては少し斜に構えて、本当に学ぶべき価値があるものかどうかは
自分で判断した方がいい
」という事です。

「俺が若い頃はななぁ・・・」で始まった話は聞き流せ!とも
言っていたりしますが(笑)

今後の若い世代の活躍は彼らに託すとして、私たちオヤジ世代の今後の
課題といえば、やっぱりこれですよね。
結局、上の世代にできることというのは、下の世代が表に出ようとするとき、
彼らに道を開いてあげることしかありません。もっといえば、自分たちの権力や
財産を、遺品として新しい世代に譲り渡して颯爽と去っていくことが、本当の
品格ある姿だと思うのです
」(P114)

颯爽と去っていくことができるかどうかはともかく、邪魔だけはしないように
したいと思うのです。

■最後に・・・
折りしも2009年という新しい年が目前にやって来ているわけですが、
100年に一度の危機とか、世界的経済不況とか、色々いわれています。

そうした話を「悲観的」に捉えるのはあまり良くないと思うのですが、
「危機感」をもって捉えるのは、非常に良いことだと個人的には思っています。

ピンチはチャンスですから、何かを始める、何かを変革する良いチャンスの時が
やって来てくれているのではないかと思うんですよ。

今後のこの国のあり方、そして自分の今後の在り方を考えるきっかけとしては
こういう本を読んでみるのも良いのではないかと・・・

最後まで、ありがとうございました。

(残り3冊 タイムリミットまで約23時間・・・24時間を切ってしまった!)


【▼単行本】



posted by penguin-oyaji at 00:53 | Comment(2) | TrackBack(0) | 読書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
怒涛のUPでどの記事からコメントしたら良いか...
でも、やはり一番共感したこの記事からにします。

私が勤務していたのは地方の会社ですが、
私の会社でも、団塊の世代というのは自分達が利用してきた「お得な」制度をいとも簡単に廃止して、その下の世代を苦しめています。
それは、「地方の小さい会社」だからケチな役員を選んでしまったんだと思っていました。
個人の問題と捉えていた気がします。
でも、確かに雇用の問題とか考えると、日本全体でこんな問題が起こっていますね。
私も、著者とは同年代なので、なんとなく感じ方が理解できます。
もちろん、スケールの大きさは比べ物にはならないのですが。

この本は是非読みたいと思います。
情報ありがとうございます。

しかし、集中UPでこんなに濃い記事、すごいです!
Posted by eries.m at 2009年01月03日 14:32
eries.mさん、こんばんは。

団塊の世代を中心として既得権益にしがみつくような現状を
最近、勝間さんは「シルバー資本主義」と呼ばれているようですが、
まさに、日本全体で同じような事が起こっているのだと思います。

ただ個人的に思うのは・・・
団塊の世代の方々って若者だった頃には当時の若者文化を
変革したパワーを持っていた世代だと思うのです。
だから、本当はあの世代の方々にはもう一度、
日本の文化を変革するパワーを発揮して貰いたいと思うんですよね。

とても刺激的な内容で、日本の現状と将来を考える良い機会になると
思いますので、是非とも一度お読みになって下さい。

濃いと言うか、読み返してみると
ちょっと論点が定まっていないような・・・(汗)
でも、お褒め頂いて嬉しいです^^


Posted by penguin-oyaji at 2009年01月04日 20:29
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