2008年10月15日

経営戦略としてのワークライフバランス

講演会&ケーススタディ


「経営戦略としてのワークライフバランス」


-企業導入におけるメリット-


08年10月15日 都内某所にて

ちょっと業界ネタっぽいですが、


今日の午後、某人材系会社さんに誘われて


ワークライフバランスについての講演会に参加してきました。

内容は以下の3点。


・「経営戦略としてのワークライフバランス」と題された基調講演


・ワークライフバランスの導入、運用に関するケーススタディの発表


・自治体による助成金制度についての説明

■「経営戦略としてのワークライフバランス」基調講演


最初の基調講演でお話しをされたのは、某有名私立大学の教授。


大枠としては、次のような話の内容でした。

・企業(社会の公器)


・人材(小さなプロフェッショナル)


・働き方(多様性、ワークライフバランス)


この3つの要素が有機的に繋がり、作用し合うことで、


ワークライフバランスが推進される。

えーっと、これだけでは「何のこっちゃ?」だと思いますので、


順番に書いていきますね。

《企業のあるべき姿》


「企業は誰のものか?」一時期、この命題って話題になりましたが、


今日のお話の中では・・・


企業はあらゆるステークホルダーの為のもの


この場合のステークホルダーとは社会全般と要約できる


従って、企業は社会のもの。つまり社会の公器である


との説明でした。

社会公器としての企業にとって「CSR」が重要。


企業は社会(または地域社会)に対して、経済的、社会的、環境的側面で


影響が大きい。ゆえに、企業は社会の課題を解決するべく様々なステーク


ホルダーの期待に応えていく必要がある。

あるグローバル企業が「我々のステークホルダーは、


今この地球上にいる67億人全員です!」と発表した時に、


「将来、生まれてくる子供たちはステークホルダーではないのですか?」という


質問を受けて、言葉を詰まらせてしまった、という話が妙に印象に残りました。

教授いわく「企業は、未来の人々に対しても責任を持ってもらいたい」と


話されていましたが、まさにその通りですね。賛成です!


・・・と言うか、私的には「企業」のところを「今の大人は」と入れ替えた方が


より現実的だとおもうのですが・・・

《人材のあるべき姿》


例え、会社員、サラリーマン、OLであっても、プロフェッショナルであるべきだ。


イチローやタイガーウッズのようにはなれないかもしれないが、


『小さなプロフェッショナル』になら、なれる筈だ。

企業内でプロフェッショナルを育成するためには、「正しい成果主義」が必要であり、


それがワークライフバランスを推進する上でのインフラになる。

「正しい成果主義とは年齢、性別、役職という属人的なもので処遇するのではなく、


組織と個人の役割を明確にしたうえで、成果によって処遇をすること」

私、個人的にはワークライフバランスを導入、推進するに当たっての一番の


キーポイントは、この「人材」という部分なのではないかと思っています。

残業時間が減って、休暇が増えて、個人の「ライフ」は充実するかも知れませんが、


そのことで企業としてのパフォーマンスが落ちてしまったら、


そもそもワークライフバランスなんて成り立たないじゃないですか。

今、一人が週に60時間働いて出している成果を、40時間あるいは、それ以下で


同じ成果を出せるようにしなければならないのです。


個人の能力を高めるか、


組織としてのパフォーマンスを高めるか、


もしくは、リストラして能力の高い人材と入れ替えるとか、


何かしらの施策を考えて実行しなくてはならないわけですよね。

「正しい成果主義(評価制度)」も確かに必要ですが、加えて教育制度の充実とかも


必要でしょうし、個人レベルでは自己啓発も必要になってくると思うのです。

《働き方》


個人が会社に隷属するのではなく、個人の中に会社(仕事)や家族、趣味などを


バランスよく位置付けることが大事。

要は会社一辺倒の「会社人間」になるな、という事だと思います。


正直、最後の方は時間の関係でかなり飛ばされてしまったのですが、


教授が話されていたことを、私なりに繋げ合わせると・・・


会社に求められる価値観に従って働くのではなく、自分の価値観をもって働けるように


なることが個人レベルでは大切なこと。


そして、企業側は、そうした多様な価値観をもった人が働ける環境を整備していく事が


求められている。


最近、流行の言葉で言うと「ダイバーシティ・マネージメント」というものが今後ますます


求められるようになる、という事でしょうか。

■ワークライフバランス導入の課題


私の個人的な考えですが、今の日本でワークライフバランスを整えていくための


条件として次の2点が必要ではないかと思っています。

1、企業トップの強いコミット


2、ワークライフバランスが重要視されない会社にはデメリットが発生するような状態


具体的には、そうした企業には人が集まらなくなるなど。

《企業トップの強いコミット》


今日の講演のケーススタディで2社ほど、導入・運用に当たってのケーススタディが


発表されたのですが、そのうち一社が中小企業の社長の発表でした。

その社長様の話を聞きながら、「なぜ、ここの会社ではワークライフバランスが進んで


いるのか?」を自分なりに考えてみたのですが、どう考えても「企業トップの社長自らが


旗を振っているから」としか思えないのです。


日本の中小企業は、良くも悪くも経営者の考え方が色濃く経営に反映されますから、


社長がワークライフバランスを整備するという強い決意で望めば、


きっと、それなりに色々な制度も整い、うまくいくのでしょう。

《企業のデメリット》


ワークライフバランスが整備されていない会社は、人材獲得面で明らかに不利。


という、状況がないと、なかなか腰の重い企業は動かないと思うのです。

少子化が進行していますので、これからの日本では人材獲得という面では


企業側の需要に対して、働き手である供給側が少なくなりますので、


働き手である私たちが、より良い労働環境が整備されている会社を見抜いて、


サービス残業だらけの会社には応募しないようにすれば良いのではないでしょうか?

ただ、一つだけ覚えておかなければならないのは外国人労働者の存在です。


日本人よりも安い賃金でも満足して働く外国人労働者は多いですし、


もっと優秀な外国人が集まるようになったら、レベルの低い日本人は


逆に職場から弾かれてしまうようになるかも知れません。


個人レベルでのグローバル競争も十分に起こり得る話だという事です。

■ワークライフバランスって、誰のもの?


今年の6月に内閣府が実施した「ワークライフバランス」に関しての


世論調査によると、「ワークライフバランス」という言葉も、その内容についても


「知っている」と答えた人は全体の9.8%だったそうです。

少なっ!」って、思いました。

なんとなく「ワークライフバランス」って最近よく耳にするなぁと


思っていたのですが、全体の認知度はまだまだ低いのですね。

ワークライフバランスという事が言われだした背景って、


長時間労働によるメンタルヘルス障害の問題だったり、


女性の社会進出や再雇用問題であったり、


あるいは出産、育児から繋がる少子化問題だったり、


様々な問題があげられると思うのです。

私も、そりゃワークライフバランスって大事なことだと思います。

ただ、ワークライフバランスが推進されていくと、本当にみんなが


豊かに暮らせるようになるのでしょうか?

私が懐疑的に思う根拠はただ一つ。

上の方でも書きましたが、


ワークライフバランス導入の代償として企業のパフォーマンスが低下することは


許されない。という事実です。

その為には、企業はより優れた才能を求めるようになり、


代替可能な労働力は、もしかしたら外国人労働者が果たすようなるのでは


ないか、結果として、能力間格差がますます増長するようになるのではないか


という懸念を持っているのです。

育児や親の介護で、どうしても個人の生活を優先しなければならない場面は


これからも発生し続けると思うのです。


その時のために色々な社会インフラの整備も進めなければいけないし、


その事によって不当に解雇されたり、再就職の道が閉ざされたりするのは


良くない事だと思います。

しかし激しいグローバル競争の中で生き残っていくためには


社会や企業が変わっていくのはもちろんの事、個人レベルでも


より高いパフォーマンスが発揮できるよう努力が求められるようになると


思っています。

「残業が減ったぁ、休みがふえたぁ」とノーテンキに喜んでいるようでは


いずれ淘汰される厳しい時代のような気もするのですが・・・

当たり前、と言えば当たり前の話なのですが・・・・

今日も長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。



posted by penguin-oyaji at 22:05 | Comment(8) | TrackBack(0) | 講演会・セミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ペンギンオヤジさん

おはようございます。

WLB、ダイバーシティはすごく興味があるところなのでshareしていただきありがとうございます。丁寧にまとめて下さっているのでよくわかりました。

WLBを進めると、企業のパフォーマンスが落ちるのでは?という意見すごくわかります。だから世の中の経営者が推進できないのだと思います。(特に中小において)

自分としては、出来るところが少ないからこそ推進していきたいと思っています。やっぱそれには個人の能力を高め、短時間で結果を出していくことですよね。

周りはともかく、まずは自分が率先して、そういう形を作っていくようにします。

更新ありがとうございました。
Posted by kaizokuou at 2008年10月16日 08:06
kaizokuouさん、こんばんは。

こういう事を書くのも、申し訳ないのですが・・・
アップした後に読み返してみたら、「何だか支離滅裂で、伝わるかなぁ〜?」と
思っていたので、何とか読み取って頂けたようで
チョット安心しました。

ワークライフバランスは、けっこう奥が深い!というのが率直な感想です。
でも、「個人の能力を高め、短時間で結果を出す」というのは、
必須条件でしょうね。

この問題は、少し興味がわいてきたので、もう少し勉強してみます。

いつも、コメントありがとうございます。

明日の夜は、よろしくお願いします!!(楽しみですねぇ〜)
Posted by Penguin-oyaji at 2008年10月16日 20:40
こんにちは、ペンギンオヤジさん。

ワークライフバランスって考え方自体はちょこちょこと聞いていたんですが、言葉自体は初めて聞きました。

なるほどの連続でした、いい勉強させてもらいました!

個人のライフを充実させることが結果的にワークのパフォーマンスを向上させることに繋がったり、その逆も裏も対偶もまた然りで。

必ずしもライフの充実がワークの充実に繋がるとは限らず、人の気質やら企業側の環境整備の仕方など、考えていくと色んな要素が出てきます。

こういうのは考え慣れてないのか、コメントですら支離滅裂になってしまってますが、とりあえず、伝えたかったのは、いい勉強になりました、ありがとうございました、っていうことです(笑
Posted by シノ at 2008年10月19日 01:42
実は、この講演会の某大学のセンセイや本などなど・・・カンファレンスが九月に参加済みだったのでどきりとしました。
 
WLBを進めると、企業のパフォーマンスが落ちるのでは?
という疑問は、最もかもしれません。
でも、人によってWLBの定義はばらけていってしまうので一概に言い難いのかもしれません。
この講演会は、おそらく経営者や企業視点ですが個人視点、経済学、家族社会学、ジェンダーなど視点を変えると疑問や問題や利害は複雑に絡んでいく・・・。
なかなか、面白い問題なんです。
 
バイアスがかかるので、私の考えはこれくらいですがお会いする際はカンファレンス資料やオススメの文献を紹介出来たらと思います。
Posted by ioryiony at 2008年10月19日 01:44
シノさん、おはようございます。

「ワークライフバランス」は私もまだまだ勉強中というか
分からない事だらけなのですが、この講演会が考えるきっかけに
なったかなぁと思っています。

企業側のパフォーマンスの問題もありますが、「働き方」「生活の仕方」が
変わってきた時に、うまくその流れに乗れない人が出てくるのでは
ないかという点が心配です。

この問題については、また掘り下げてみて何か気付いたりしたことが
あれば、またココに書き込んでいきたいと思います。

コメント、ありがとうございました!!
Posted by penguin-oyaji at 2008年10月19日 08:36
ioryionyさん、おはようございます!!

さすが!この教授の事については学習済みでしたか!

WLBって確かに色々な視点で考えないと最適解が見つからない問題ですよね。
次回、お会いする時にでも是非、色々と教えてくださいね。
私も少し、この問題に興味が湧いてきたところなので・・・

コメント、ありがとうございました。
Posted by penguin-oyaji at 2008年10月19日 08:40
今回も、講演会の報告ありがとうございます。

ちょっと、経営者サイドの講演会のようで、
新しい視点で発見が多かったです。

@人材(ちいさなプロフェッショナル)
そうですよね。
これがなければ、「WLBが実現できないと人材が確保できない」というところへ持っていけませんよね。
というか、最近ビジネス書とか読み始めて、いかに自分も回りも仕事のなかで無駄な部分が多いかということに改めて気付きます。
みんながちょっと変わるだけで、ある程度のWLBは実現できるような気がします。

AWLBが企業のパフォーマンスを低下させるか
従業員側からばかり考えていたので、これが最も「そうかぁ〜!!」と思いました。
確かに...私の周りにもいるのですよ。
定時退行日翌日に期限に間に合わなかった言い訳が「でも、昨日は定時に帰れって言ったじゃないですか」
これは極端な例としても、こういう例を1つでもみてしまうと、企業側は積極的にはなれませんよね。

でも、少子高齢化、雇用の多様化etc...の中WLBは避けて通れませんよね。
私はパートさんの労務関係をやっているので、
今後はこういう事も頭にいれて置きたいなと、とても参考になりました。

いつもありがとうございます。
Posted by eries.m at 2008年10月19日 11:28
eries.mさん、こんにちは。

今回の講演会は、参加者が企業の人事担当者ばかりでしたから、
やはり話の内容としては、少し偏りがあったような気がします。

書いて頂いたように、少子高齢化や雇用の多様化の中でワークライフバランスは
これから先、社会としても取り組むべき課題の一つだと思います。

その時に、特に男性側の意識が変わっていかないと、
なかなか企業も家庭も変わらないと思っています。

定時に帰って「期限、間に合いませんでした!」とは、いい度胸です(笑)
こうした人も少なからずいると思いますので、
本当に意識改革や、スキル向上のための教育機会も充実させていく
必要を強く感じています。

いつも、コメントをありがとうございます。
Posted by penguin-oyaji at 2008年10月19日 16:14
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。