2016年04月23日

豊かな人生ってなに?「世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉」


「世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉」


佐藤 美由紀:著


双葉社


 


ホセ・ムヒカ、正確にはホセ・アルベルト・ムヒカ・コルダノ。南米ウルグアイの前大統領。


 


2012年、国連の「持続可能な開発会議」でのスピーチで一躍、世界にその名を知られるようになったので、ご存知の方もいらっしゃるかも知れませんね。


 


先日、そのムヒカ氏が来日されテレビに出演されているのを見て、私は初めてムヒカ氏のことを知りました。


 


番組で対談されたジャーナリストの池上彰さんが「まるで高僧と話しをしているようだ」と感想を話されていました。確かに、ムヒカ氏の穏やかな顔つき、そして人生に対する深い洞察や示唆に富んだ彼の言葉は高僧そのものだと私も感じました。


 


世界でもっとも貧しい大統領



私は貧乏ではない。質素なだけです。(P16)




貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ(P8)



 


ムヒカ氏というと「世界でもっとも貧しい大統領」というフレーズが付いてまわる。


 


大統領官邸に住むことを拒み、小さな農場で部屋が3つしかない家に住み、大統領としての給料の9割を慈善団体に寄付して本人は月に1000ドル(日本円だと10万円ちょっとくらいか)で生活をしている。


 


資産は友人から譲り受けたという愛車・フォルクスワーゲン・ビートルだけ。(ちなみに大統領専用車は使わず何処へ行くにもこのビートルを自分で運転して出掛けていたそうです)


 


ビートル


 


そんな慎ましいムヒカ氏のライフスタイルが世間に知れ渡りいつしか「世界でもっとも貧しい大統領」と呼ばれるようになったとか。


 


なぜ、ムヒカ氏がそのような慎ましい質素な生活を送っているのか?私が思うに、たぶん二つの理由があると思うのです。


 


その一つ目は大統領という国の政治のトップとして国民目線での政治を行うため。


 


ムヒカ氏の政治家としての矜恃



国民の多数派と同様の生活を続ける理由を、ムヒカは「代表民主制は、多数派の人が決定権を持つ世界だから」と考えている。「そうであるならば、各国の指導者たちは、少数派ではなく、多数派の暮らしをすべきではないか」と語る。(P70)



 


ここでいう「多数派」というのはお金持ちではない人々という意味であり、逆に「少数派」はお金持ちの特権階級ということです。


 


ムヒカ氏は政治家として庶民感覚を大事にしているだけでなく、自らもその庶民と同じ生活をおくっているということなんですね。


 


実際、ムヒカ氏は大統領であったときも街角の飲食店でフツーの庶民の人と一緒にランチを食べていたりしていたそうです。


 


ちょっと前に、国会で総理大臣がカップラーメンの値段を質問されて「400円くらい」と答弁してしまい「庶民感覚がない!」と批判されたことがありましたね。


 


私は個人的には政治家だから、総理大臣だからこそ一般庶民と同じ生活をしなければならない!・・・というふうには思っていません。


 


でも、政治家の先生になったり大臣や総理になるといつの間にか庶民の生活ぶりとかけ離れてしまうことってあるんじゃないかと思ったりはします。


 


会社の中でも出世してエラくなったりすると、いつか現場の肌感覚をなくしてしまうこともありますからね。。


 


政治家だけの問題じゃないと思います。


 


質素は”自由のための闘い”です



自由になるための闘いというのは、どれくらい自由な時間を確保できるかにかかっているのだ、と私は言いたいのです。物であふれることが自由なのではなく、時間であふれることこそ、自由なのです (P30)



 


ムヒカ氏が慎ましやかな質素な生活を続けている二つ目の理由がたぶん、これだと思う。


 


お金や物を得るためには当然ながら、時間を使って働かなければなりません。ムヒカ氏は言います。


 



「人がものを買うときは、お金で買ってはいない。そのお金を貯めるために割いた人生の時間で買っているのです」(P29)



 


そしてお金や物をたくさん持つようになると、それを守るために余計な心配や手間を掛けなければならなくなります。


 


お金を稼ぐための時間、それを守るための時間ムヒカ氏にとってはそんな時間は決して自由とは言えないし、人生の中で不必要な時間だ、ということなんでしょう。


 



ムヒカによれば、”自由な時間”=”生きる時間”。そこには、自分が好きなことに費やす時間ばかりではなく、人間関係を築き、愛や友情を育み、家族を慈しみ、冒険をし、そして、周囲と連携する、といった時間も含まれる。「人間のもっとも大事なものが”生きる時間”だとしたら、この消費主義社会は、そのもっとも大事なものを奪っているのですよ」(P34)



 


ちょっと大きな話しになりますが・・・『人生』って自分が生きた時間の積み重ねですよね。どのような時間を過ごしたかが、その人の人生になると思うんです。


 


その大切な時間を、お金を稼ぎ物を買うという消費に使うのか、それとも自分の好きなコトをしたり、友達や家族と一緒の時間を過ごすのか、ムヒカ氏の言葉は私たちにそのように問うているように思うのです。


 


『時間』は何よりも大切なリソース。そう思えば、「スーパーで追加の時間を買うことはできません」というムヒカ氏の言葉を当たり前!と受け流すことはできない。


 


ゲリラ活動、逮捕、独房での13年間、そして大統領



「敗北者とは、闘いを辞めた人のこと。人間は強い生き物であり、多くのことを乗り越えられます。悪いことは良いことを運んでくれるのです」(P55)




人生ではいろいろなことで何千回と転びます。愛で転び、仕事で転び、いま考えているその冒険でも転び、実現させようとしている夢でも転びます。でも、千と一回立ち上がり、一からやり直す力があなたにはあります」(P105)



 


ムヒカ氏は若い頃、ゲリラ活動に従事するも逮捕され、13年もの間、獄中生活を経験した後に大統領になった人です。


 


獄中での生活は想像を絶する過酷さだったようで、ムヒカ氏の人生に対する考え方もその経験から多くを学んだそうです。


 


「人間は強い生き物であり、多くのこと乗り越えられます」「千と一回立ち上がり、一からやり直す力があなたにはあります」


 


こうしたムヒカ氏の言葉は、そんな過酷な経験から出たものなのでしょう。


 


私が今回この本を読んで、いちばん力を感じたのはこうしたムヒカ氏の逆境を跳ね返すような言葉の数々でした。


 


「悪いことは良いことを運んでくれるのです」人生はあざなえる縄の如し、例え今がツラくてもいつか必ず良いことが起こる!(もちろん、本人の努力も必要でしょうけど)


 


13年もの間、過酷な獄中生活を乗り越えた人の言葉だからこそ説得力もあるし、信じられると思うのです。


 


最後に・・・


ムヒカ氏のお顔からは本当に好々爺のような雰囲気が滲み出ています。でも!単に人の良いおじいちゃまではなく、政治家として数々の業績を残してきているのです。


 


それに、自ら質素な生活を送っているのに金持ちの友人もたくさんいる。


 


時には、失言をして批判を受けたり国際問題を起こしたりもしてきた。


 


けっして聖人、偉人というワケではなく、とても人間臭い。でも、それが大きな魅力にもなっているように思うんですよね。


 


この本、100ページちょいで1時間もあれば読めてしまうような薄い本なのですが、中身はギュッと詰まっていて色々なコトを考えさせられました。私にとっては久々の☆5つ本です!おすすめ!


 

 

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posted by penguin-oyaji at 15:19 | Comment(0) | 自己啓発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする