2015年04月23日

【「ビジネス「論語」活用法」小宮一慶:著】自分の生き方の原点を考える


論語を知らなくても使える
ビジネス「論語」活用法
小宮一慶:著
三笠書房

今は昔。
私が前に務めていた会社で新人研修の講師をしていた時、
よくこんな話しをしていました。

何か迷ったときに戻る場所、原点を新人のうちに
身につけることが大切です。

研修の中ではその立ち戻る場所、原点のことを
「自分のバックボーン」というふうに言ってましたが、
これは仕事に限らず、自分の人生というか生き方においても
大切だと思うんですよ。

道に迷ったときは原点に戻れ!
と、よく言われますが、
そもそも戻るべき原点が無ければ話しにならないわけで・・・

私も既に半世紀の人生を生きてきてしまったわけですが、
今更ながら、自分の人生のバックボーンをちゃんとしておきたい!
と殊勝なことを考えるようになり、
最近はよく「論語」に関する本を読んだりしております。

Amazonの内容紹介

ビジネスで「成功するためのノウハウ」は2500年前に、
すでに書かれていた。「知者」は惑わず、「仁者」は憂えず、
「勇者」は恐れず、をモノにする本。


Amazonの内容紹介がアレなんで(笑)、ちょいと付け足し。

経営コンサルタントであり、100冊以上のビジネス書の著者でもある
小宮一慶さんが、ご自身の経験、エピソードなどを織り交ぜながら
ビジネスシーンで活かせる論語のエッセンスを紹介、
解説してくれているような1冊です。

■学びて時にこれを習う、亦説ばしからずや

不遇な時代、うまくいかないときにこそ、どう過ごせばいいのか。
その答えは、『論語』の冒頭に出てきます。

学びて時にこれを習う、亦説ばしからずや

(中略)
「学びて時にこれを習う」というのは、過去を振り返るのではなく、
生き方や人生観、会社なら経営方針といった「原理原則」を
思い出すことです。そして実践することです。
うまくいかなくなったら、まず、その原点に戻るという教えなのです。
(P59〜P63)

ご存知の方も多いと思いますが、『論語』は今から2500年も前に
書かれた(編集された)ものです。
そんな昔のものが21世紀の現代まで延々と読み継がれているわけです。

この本の「はじめに」で、小宮さんはこんなことを書かれています。

『論語』は2500年以上前に書かれたものです。これだけの長い年月、
多くの人に読み継がれているのは、そこに書かれている「原理原則」に、
それだけ風雪に耐えるだけのものー人生を強く生き抜くうえでの心理ーが
多く含まれているからです。
この「原理原則」をできるだけ早く身につけることが、人生やビジネスを
成功させるためには必須だと私は考えています。

『論語』の中には人生を生き抜くうえでの大切な真理が詰まっている!
だからこそ、時空を超えて読み継がれているわけですね。

で、
私の話しですが・・・

かれこれ4、5年くらい前から「論語」に興味を持ち、
今までに何冊か、色々な方が書かれた論語の解説本を読んだりしてきました。
実は、この小宮先生の本もたぶん3回くらいは読み返したと思います。

なのに!

全然、身になっていない!(ナンテコッタ、パンナコッタ!)

だからこそ、「学びて時にこれを習う」が必要なんですね。

この場合の「時に」っていうのは、必要な時に・・・とか、
折に触れて・・・みたいな意味らしいです。

だから、論語っていうのは(論語に限らず)、一度学んでおしまい、
ということではなく、折に触れて、復習する(学びなおす)ことが
大切だ思うのです。

■これを知るを知ると為し、知らざるを知らずと為せ。是れ知るなり

これを知るを知ると為し、知らざるを知らずと為せ。是れ知るなり
(中略)
文字どおりに訳せば、「知っていることを知っている、知らないことは
知らないとする、これが知るということだ」となります。(P194)

・・・なんだかソクラテスの「無知の知」みたいな話しですね。

これをどう解釈するか?

小宮さんは、こんなふうに書かれています。

一所懸命に勉強し、知識を深め、学べば学ぶほど、分からないことは
増えてくるものです。(P195)

分かっていると思っていたのに、勉強を深めたり人生経験を積むと
本当に分かっていたのかな?
表面的に理解していただけじゃないのかな?
ふと、そんなふうに思って立ち止まることがありますよね。

読書会などに参加していると、「読むたびに新しい発見がある!」という
言葉をよく耳にします。

たぶん・・・

表面的な理解だけでなく、言葉の裏に込められた作者の真意まで
読み取るには、読む側にもそれ相応の力量が求められます。

だから、読んだ時期や自分の成長度合いによって解釈は
変わるものだと思うし、

以前に読んだ時と読後感が変わらないのであれば、それは自分が
成長していないか、底の浅い本であったかのどちらかなんだろう。。

「論語」の中にも一見、当たり前じゃん!
ちょっと、孔子ちゃん大丈夫?(←失礼だろ!)
と思うようなことも書いてあったりしますが、
もしかすると、もっと自分が成長していけば
「あぁ、裏では実はこういうことを言っているのかぁ!」と
思うようになるのかもしれませんね。

■人は馬ではない

まるでニンジンを目の前にぶら下げて馬を走らせるように、昇給や
ボーナスを餌に人を働かせるのは、誤りだと思います。
(中略)
人は馬ではないのです。(P99)

頑張って働いて、成果を出したなら
そりゃ、やっぱり報酬が欲しくなるのが人情ですよね、たぶん。

だけど

人はお金のためだけに働いていたら、どこかでおかしくなる。。
そう思うんですよ。

なのに、「成果主義」だかなんだか分からないけど、
成功報酬をエサにして社員を煽ることをしている企業って
多いらしいですね。

「利によって行えば、怨み多し」
論語の中の一節ですが、私利私欲で行動すれば
それだけ人から怨まれるということです。

誰だって、自分の利益のために行動している人なんて嫌いですよね。

「利の元は義」
これまた論語の一節ですけど、小宮さんは著書の中でよく
「お金を追うな、仕事を追え」ということを書かれます。
(この言葉は小宮さんが師匠である住職さんから教えられたものです)

仕事として正しいコトをしていれば、お金は後から付いてくる。
そういう意味合いの言葉です。

では、仕事として正しいコトは何か?

お客さまに喜んでいただける商品やサービスを提供すること。
つまり、お客さま第一主義。

これが仕事の目的であると小宮さんは書かれています。

お客さまに喜んでいただいたり、お役に立つことが「目的」で、
その結果として「利益」が生まれる。

なのに、売上や利益をあげることが「目的」で、
お客さま第一主義が「手段」と考えている人や企業が
まだまだ多いみたいですね。

◇最後に・・・

論語の有名な一節に
「過ぎたるはなお及ばざるが如し」というのがあります。
多分、一度くらいは耳にしたことがあるかと。

徳川家康が、これをモジって遺訓の中で
「及ばざるは過ぎたるよりまされり」って書いているんですね。

この本の中にも、そのことが触れられていて
小宮さんなりの解説が書かれているのですが、
残念ながらそれを読んでも正直、あまりピンとこないのです、私。

上の方で「読んだ時期や自分の成長度合いによって
解釈は変わるものだと思う」と書きましたけど、
この家康の言葉の真意が自分なりに解釈できるようになるのは
いつなのかなぁ?と思っています。

こんなふうに、何度読んでも発見があったり、
新たな疑問がわいてくるというのも、読書の楽しみの一つですよね。

多くの著者が論語の解説本を出版されてます。
そういう本を何冊か読むと気づくのですが、
解釈の仕方が違う場合もあるし、
論語の一節と関連づけて何を語っているかも違う。

これって、人によって論語がどういうふうに読まれているか?
ってことが分かってとても面白いというか興味深い。

それから、もう一つ思うのは

こういう論語の本を読んで、
勝手に人生を悟ってはダメだということですね。

「君子は義に喩り、小人は利に喩る」なんて書いてあるのを
読むと、思わずそーか、そーか!ってコトになるんだけど、
それじゃ、今の自分にとっての「義」とはなにか?
って感じで、自分に引き寄せて考えてみないと意味が無い。

もしかしたら、いくら考えても答えなんて出てこないかも知れないし、
考える度に答えが変わってしまうかも知れない。

それでも、自分の頭で考え、自分の心に問い続けることが
一番大切なんじゃないかと思うのでした。

おしまい

 

 

posted by penguin-oyaji at 22:29 | Comment(0) | 読書(小宮一慶) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月16日

【「「働き方」の教科書」出口治明:著】人間はみなチョボチョボ

 

「働き方」の教科書

「無敵の50代」になるための仕事と人生の基本

出口治明:著

新潮社

 

この本、私の万年筆の師匠、ぷぅコッコさんがブログで

激プッシュしていて面白そうだったので手に取って読んでみました。

 

で、読んでみたらさすが我が師匠!

間違いなく読んで損なし!・・・というよりも、

得ることの多い一冊でした。

 

タイトルに「働き方」の教科書とありますが、

内容的には、もっと深い人生論が詰まってる。

そんな感じでした。

 

私も激プッシュです!

 

※師匠のブログはこちら

【読書】「働き方」の教科書 | ぷぅコッコの一期一会

 

Amazonの内容紹介 

49歳での突然の左遷、55歳での子会社出向を平然と受け入れ、

59歳でライフネット生命を起業したビジネス界の革命児が語る、

悔いなく全力で仕事をするためのルール。「仕事は人生の3割」

「人生は99パーセント失敗する」「部下はみんな変な人である」――。

人間社会のリアルが分かれば、仕事も人生も、もっと楽しくなる。

 

■人間はチョボチョボ

「人間はみなチョボチョボや」僕が橋和巳や辻邦生と並んで

学生時代に愛読した、作家の小田実の言葉です。人間はたいして

賢いヤツもアホな奴もいない。人間の能力にたいした差はない。

(中略)

たしかに、人間の正規分布図を描いてみると、極端に優れた人や

極端に劣った人はほとんどいないことがよくわかります。

人間はチョボチョボ・・・

 

人間はチョボチョボ・・・

 

人間はチョボチョボ・・・

 

いや〜、この本を読んでいて一番衝撃を受けた言葉かも知れません(笑)

 

例えば優秀な経営者や本を出版しているビジネスパーソンを指して、

よく「あの人は優秀だから」とか、「あの人は頭がいいから」って

言い方をしたりすることありませんか?

 

私はよくそんなふうに思います。

勝○和代さんの本なんかを読むと、これは勝○さんは頭がいいから・・・

って思うんですよ。

 

でも、

 

よくよく考えると、「あの人は頭がいいから」って言葉の裏には

「自分は(そんなに頭がよくないから)できっこない」っていう

『言い訳』が隠れていたりするんですよね。

 

人間はチョボチョボ

人間の能力にたいした差はない

 

それならば、自分と優秀な人って何が違うのか・・・?

 

そんなことをつらつらと考えてみたんですけど、

結局、やろうと思ってそれを実践し続けてきたかどうか?の差ではないかと。。

 

勉強し続ける

行動を起こす

失敗しても凹まずに次の一手を考えて、

また挑戦する

 

愚直とも言えるような陰の努力を続けてきて

それが、他の人との差を生む・・・・のではないかと。

 

人間はチョボチョボ

 

あの人は特別だから・・・を「出来ない」「やらない」ための

言い訳にしないで、

 

あの人に出来て、自分に出来ないわけない

 

って、単純に明るく考えた方がいいのかも知れませんね。

 

■国語と算数で考える人生の重さ 

仕事と人生の関係を算数で考えると、日本人にとって仕事の時間が

占める割合はたった三割であるというファクト(事実)が導き

出されます。三割という数字は、要するにたいしたことはないという

ことです。

しかし、世の中には「仕事は人生のすべてである」と考えている人が

かなりの割合で存在しています。その人たちは仕事と人生の関係を

国語(感情や理念)で考えているのです。 

日本人の年間労働時間は約2,000時間(サービス残業含む・笑)、

一年間を時間で表すと、8,760時間(24時間×365日)。

これを割り算すると22.8%

 

そして1日の睡眠時間を7時間と仮定すると、

8,760時間 - (7時間×365日)=6,205時間

つまり、一年間で起きて活動している時間は約6,200時間ということです。

 

これを先ほどの年間総労働時間の比率で計算すると、

2,000 ÷ 6,205 = 32.2%

 

なんか・・・

 

感覚的には、もっと長時間働いているような気がしますけど、

実際は3割くらいなんですね。

 

もっとも、これは平均値ですから実際はもっと長時間労働を

されている人もいると思いますが・・・

(それでも、たぶん4割前後だと思います) 

「仕事とは、人生の七割を占める最も大切な時間の兵糧を確保する

ための手段である」

ここまで書かれると、いっそ潔いというか気持ち良いですね(笑)

 

でも、だからといって著者の出口さんは「仕事はいい加減でいい」

なんてコトを主張しているワケではないんですよ。

 

少し話しは逸れますが・・・

 

私が人生の師匠と(勝手に)呼んでいる経営コンサルタントで

ビジネス書を100冊も書かれている小宮一慶さんが

よく「人生は串団子」ということを話されます。 

「人生は串団子」では、最初の団子は、「自分」になります。

二つ目の団子が「家族」や「恋人」。

三つ目の団子が「会社」など自分が所属する「組織」。

四つ目の団子が「社会」とか「国」とか「世界」になります。

 

藤本先生は、「その四つの団子の真ん中を、すべて串刺しする

ように生きないとダメです」と言われます。

 

「ビジネス「論語」活用法」小宮一慶:著 P28より抜粋

たぶん・・・

 

この本で出口さんが書かれている「三割という数字は、要するに

たいしたことはない」っていう話しは、この『人生は串団子』の話しに

通じるものがあるんじゃないかと思うのです。

 

「仕事は人生のすべてである」という考え方はいかにも極端だし、

だからといって、仕事はいい加減でいいというワケでもない。

 

自分の人生には、仕事もあれば家族もあって、友人だっている。

そのうちの何かを犠牲にするのではなく、

すべてを串刺しにするように、どれも大切にして生きていくことが

大切なんだ・・・

 

つまり、そういうコトなんじゃないかと思うのです。

 

■人生の楽しさと挑戦する人生 

「あのことをやっておけばよかったな」などという「悔い」を

できるだけ減らすことが、人間にとって最良の生き方ではないかと

思うようになりました。 

人生の楽しさが喜怒哀楽の総量だとすれば、いろいろなことに

挑戦したほうが人生はより楽しくなります。

 

よく「やった後悔よりも、やらなかった後悔の方が大きい」って

言いますよね。

 

なのに!普段の生活の中で、

 

やろうかどうしようか迷いまくっていたり(優柔不断だからね)、

何かに逃げん込んだり(ヘタレだからね)、

腰が重くてノロノロしたり(デブだからね)、

 

私、もう後悔すること確実の人生を歩んでおります (^^;;

 

たぶん・・・

 

「やりたい!」と「どうしよう・・・」の間にあるものって、

『挑戦する勇気』なんだと思う。

 

挑戦には失敗というリスクがありますね。

 

「どうしよう」というのは、失敗したらどうしよう

という迷いであり、恐れ。

 

でも、この本の中で出口さんはこんなふうに書いています。 

99パーセントは失敗する。失敗するとわかっていても、1パーセントの

可能性をめざしてチャレンジした人がいたからこそ、今の世界がある。

世界を変えるためには、失敗を恐れずにチャレンジすべし。

そう、チャレンジの多くは失敗する。

出口さんは「失敗しても多数派になるだけ」とも書いてます。

 

私、思うんですけど・・・

 

チャレンジして例え結果的に失敗におわったとしても、

それは別に「敗者」になったということではないと思うんですよね。

 

きっと、敗者というのはチャレンジしなかった人のこと。

 

確かに、チャレンジをしなければ失敗もないワケで、

安定した変化の少ない人生を送ることもできる(かもしれない)。

 

それに対して、チャレンジをすれば挫折したり、あるいは

すごい成功をおさめるかもしれない。

 

安定した変化の少ない人生と、波瀾万丈の起伏のある人生、

そのどちらを選択するのか?

 

今一度、立ち止まって考えてみてもいいですよね。

どちらが悔いのない人生をおくれるのか・・・

 

◇最後に・・・

 

今までに出口さんの本は何冊かは読ませて貰っていたのですが、

なんというか、この本は色々な意味でスゴイ本だなぁ、って思いました。

 

出口さんのモノの見方とか考え方が詰まっているし、

何よりも「人間はチョボチョボ」とか「人はみな変な人間で、

まともな人はいない」なんていう具合にビックリするようなコトが

書いてあるんだけど、よくよく考えると「確かにその通り」って

頷いてしまう。

 

サブタイトルに「無敵の50代」なんてあるけど、

若い人が読んでも充分に色々なことを考えさせられるんじゃないかなぁ?

そんなふうに思いました。

 

とにかく、激プッシュです!

機会があれば是非とも読んでみて下さい!

 

例によって、こんな長い文章を最後まで読んでいただき

ありがとうございました!

 

おしまい。



▼Kindle版

タグ:出口治明
posted by penguin-oyaji at 21:28 | Comment(0) | 読書(自己啓発) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月09日

【「幕が上がる」平田オリザ:著】私たちは舞台の上でならどこまででも行ける・・・だけど、何処にもたどり着けない


「幕が上がる」
平田オリザ:著
講談社文庫

「読んでから見るか、見てから読むか?」
このコピーが分かる人、たぶん私と同世代です!(笑)

5人組アイドル、ももいろクローバーZのメンバー主演で
映画化された作品の原作小説であり、
日本を代表する劇作家、平田オリザ氏の処女小説でもあります。

私がモノノフでなかったら、もしかしたら手に取ることも
なかったかも知れない小説ですけど、
読んで良かったぁ〜!

ピュアな青春が詰まった作品です!

ちなみに、私は「見てから読みました」

Amazonの内容紹介

地方の高校演劇部を指導することになった教師が部員たちに
全国大会を意識させる。高い目標を得た部員たちは恋や勉強よりも
演劇ひとすじの日々に。演劇強豪校からの転入生に戸惑い、
一つの台詞に葛藤する役者と演出家。
彼女たちが到達した最終幕はどんな色模様になるのか。
涙と爽快感を呼ぶ青春小説の決定版!


あらすじは上記の内容紹介に書いてある通りで、
地方の弱小高校演劇部がひとりの教師との出会いをきっかけに
全国大会を目指すという割とよくありそうな青春ストーリー。

先輩から部長を引き継いだ新部長・橋さおりの独り語りで
物語は描かれていて、読み進めていくうちに一人の女子高生の
内面の変化や成長がよく伝わってきます。

最初、さおりはすごくイライラしてる感じ。
演劇部をこれからどうしていったらいいのか、それが分からない。

だけど、

「学生演劇の女王」と呼ばれた新任の美術教師、吉岡先生。
彼女が橋さおりや演劇部員たちの前に現れたことで
こんがらがっていた糸がほぐれていくように
色々なことがうまくまわり始め、
地区大会すら突破できなかった弱小演劇部が
全国大会を目指すようになる。。

■私たちは舞台の上でならどこまででも行ける

私たちは、舞台の上でなら、どこまででも行ける。どこまででも行ける
切符をもっている。私たちの頭のなかは、銀河と同じ大きさだ。
でも、私たちは、それでもやっぱり、宇宙の端にはたどり着けない。
私たちは、どこまでも、どこまでも行けるけど、宇宙の端にはたどり
着けない。
どこまでも行けるから、だから私たちは不安なんだ。(P329)

物語の中でさおりが「銀河鉄道の夜」の脚本に悩むシーンがある。
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を読んだことのある方なら
ピンとくるかもしれませんね。
ジョバンニが(知らずに)持っていた何処へでも行ける切符。

何処までも行ける切符を持っている。
だけど、宇宙はどんどん膨張しているから決して宇宙の果てには
たどり着くことが出来ない。

だから、何処へ行けばいいのか?
何処まで行けばいいのか分からない。
だから不安になる。

これって、青春時代の不安定な気持ちをよく表していると思うんですよね。

自分は何者にでもなれる!っていう壮大な気持ちにもなるし、
もしかしたら、自分は何者にもなれないんじゃないかって不安にもなる。

自分には無限の可能性がある。
青春時代、人はそんなふうに思うことがある。
だけど・・・
人って成長するにつれて知らず知らずのうちに可能性を
限定していくんですよね。

「限定」という言葉が悪ければ、「絞り込む」でもいい。

確かに・・・

例え何歳になっても、人は変わることができる。
だけど、「年齢」という不可逆な要素に縛られて
けっして取り返すことが出来ない「可能性」があるのも
事実じゃないですか。

『どこまでも行けるから、だから私たちは不安なんだ』
そんなふうに思えるのは、もしかしたら青春時代の特権なのかも?って
感じるのです。

■やっぱり私は、教師ではなく女優でした

本当にごめんなさい。
やっぱり私は、教師ではなく女優でした。(P279)

この弱小演劇部の青春ストーリーに厚みをもたせているのは、
やっぱりかつての学生演劇の女王、吉岡先生だと思うんですよね。

ところで!

自分が小さい頃、あるいは青春時代にどんな夢を持っていたか
覚えていますか?
そして、それは今、叶えられていますか?

上の方で、「人は知らず知らずのうちに自分の可能性を限定してく」
って書きました。
それと矛盾するかもしれないけれど、
一度あきらめた「夢」でも、それが埋み火のように心に残っていれば
やり直すことだってできる・・・
だけど・・・一度あきらめた分、犠牲にするものは多いのだけど。。
それを吉岡先生は読む人に教えてくれます。

あまり書くとネタバレになってしまうのだけど・・・

この小説って(映画でもそうだったけど)、群像劇のようだけど、
基本的には、橋さおりの成長物語だと思うんですよ。

さおりは、吉岡先生に出会ったことで成長の階段を昇り始め、
そして吉岡先生と分かれることで自立し、大きく成長する。

「守破離」という言葉がありますが、
形はさまざまだけど、師匠といえるような人と出会い、
そして、その師匠の元から旅立つことで一人前になっていく。。

旅立つ時には、痛みも感じるし、
高い壁を乗り越えることも必要だから
けっしてラクではないのだけど、
そうした「困難」こそが人を成長させていくのですよね。

※ネタバレ気にしなきゃ、もっと書きたいコトがあるのに(涙)

■どれだけ馬鹿になれたか、どれだけ一途になれたか

昨日だったかな?
SNSのタイムラインにこんな言葉が流れてきました。

青春というのは意味のあることを
成し遂げるのではない。
どれだけ馬鹿になれたか
どれだけ純粋に一途になれたかです

北方謙三(作家)

青春時代というのは、後先考えずに自分の情熱のまかせるままに、
ひたすら突っ走ることができる、そんな時代なのかも知れません。

後先考えずに・・・というのは、現実と折り合いなんかつけない!
というふうに言い換えることもできると思います。

現実と折り合いなんかつけない
だから、弱小演劇部がいきなり「行こうよ、全国!」なんて言えてしまう。

若い分、人生経験が少ないから、悩んだり、道に迷ったり
失敗したりすることもある。

だけど、

現実と折り合いなんかつけない(端から見たら)無謀とも
思えるような夢に向かって馬鹿みたいに突っ走った経験は
ナニモノにも代え難いし、人を大きく成長させるものだと思う。

若いうちから「意味のある」ことを考えて、
計算高く、小利口にふるまっていては
小さくまとまってしまうような気がするし、
何よりも人生、面白くないよね。

◆最後に・・・

感動で涙を流す

よく使われるフレーズだけど、
涙を流すといっても
堰を切ったように感情が溢れだして号泣して流す涙もあれば、

心の奥底にあった何だか柔らかいものを握りしめられて
じんわり流す涙もある。

この小説を読みながら、不覚にも(!)泣いてしまったのだけど、
それは後者の涙でした。

とっくの昔に過ぎ去ってしまって、忘れ掛けていた青春時代。
この小説を読みながら、そんな忘れ掛けていた
(今となってはちょっと気恥ずかしい)何処までも真っ直ぐだった頃の
自分に再び出会えたような気がしたのでした。

そして・・・

最後に思ったのは、橋さおりではなく、
吉岡先生は何処まで行けたのかなぁ?というのは
私が既にある程度の「オトナ」になってしまったからなのかも知れません。

映画も良かったです!お約束だと思うので一応、貼っておきますね(笑)

 

▼Kindle版

 

 

 

 

posted by penguin-oyaji at 22:57 | Comment(0) | 読書(小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月02日

【「逆境を乗り越える技術」佐藤優・石川知裕:著】逆境こそがチャンスだぜ!・・・なんて言ってられない人へ

 

「逆境を乗り越える技術」
佐藤 優 , 石川 知裕 :著
ワニブックスPLUS新書

人生に於ける「逆境」って、どんな時のことなのか?
今までの人生で一番の逆境はどんな時だったか?

ある人にとっては「逆境」だとしても、
別の人から見たら「な〜んだ、そんなこと・・・」
という場合もあると思う。

たぶん

持っているストレス耐性のレベルや人生経験の違いから
人によって「逆境」の捉え方は違うのだと思う。

だけど

ある日、突然いわれの無い罪で『逮捕』されてしまったとしたら
それは間違いなく「人生の逆境」になると思う。

この本の著者、佐藤優(元・外交官)と石川知裕(元・国会議員)
二人とも東京地検特捜部によって「逮捕」された経験を持つ。
それがいかに不条理な逮捕であったかということは
この本にも書かれていて、国家権力の狡猾さ恐ろしさというものを
思い知らされる。

しかし、

何よりも、そんな逮捕・拘留という逆境の中で二人の著者が
何を考え、どう行動したのか?

そこには私を含めて人生の逆境を乗り越えるためのヒントが
たくさん詰まっていると思う。

Amazonの内容紹介

ともに東京地検特捜部に逮捕され、有罪判決を受けた
外交官と衆議院議員。
長期間の検察の取り調べに毅然として臨み、佐藤氏はその後、
作家として大活躍。石川氏は議員辞職し最高裁へ上告中である。

順風満帆だった二人の目の前に突然現れたとてつもない逆境。
今まさにその真っただ中にいる石川氏が、
その逆境を乗り越えてきた佐藤氏に生き残るために
何が必要なのかを問いかける。

今、苦境に陥っている人へのリアルなアドバイスが満載。
弱肉強食が進む現代、いつ訪れるわからない逆境に備えるための
貴重な一冊が誕生した。

これはまさに、サバイバル人生論である。

■問題を紙に書きだしてみる

まず人に相談する前に紙を持ってきて、ノートがいいと思いますが、
何が問題かということを書き出してみることです。問題を書き出すと、
意外にその段階で半分くらい解決がつきますから。(P58)


書くという行為によって、問題を対象化ー自分から距離を置いて
見直すことーできるから、問題の位相ー位置や状況ーか変わります。
頭のなかでなんとなく思っているというのはダメです。やはり書かないと
問題を深く理解できません(P59)

悩んだり、問題に突き当たって身動きが取れなくなったら、
まずは自分は何に悩んでいるのか、何が問題なのか、ということを
紙に書きだしてみる

これって、割と色々な人が色々な本で書かれていますよね。

これで一番有名なエピソードといえば、
やっぱり鉄鋼王・カーネギーの話しかと。

仕事やプライベートでたくさんの悩みを抱えて、
自分はもうダメだ。死ぬしかない。
カーネギーは自殺を決意し、遺書を書き残そうとします。

その時、自分はどれだけの悩みを抱えているのか
死ぬ前に紙に書きだしてみたら、
70個かそこらしかないということに気が付きます。

悩み抜いて死のうとしているくらいなのだから、
もっとたくさんの悩みがあるのかと思っていたのに、
紙に書きだしてみたら70個くらい。。

その後、カーネギーはその悩みを解決するために
・明日できること
・来週できること
・来月できること
・解決できないこと
に仕分けしたら、すっかり気持ちが落ち着いて
自殺するどころか、奥さんと一緒に食事に出掛けた

・・・というエピソード。

私もよくあるのですが、頭のなかだけで考えていると、
堂々巡りで同じコトを何度も考えたり、
悩んだりしたりするんですよね。
で・・・パンクすると(^^;;

少し話しは逸れますが・・・

昨年の夏にお友達から万年筆をプレゼントして貰ったことが
きっかけで、それからすっかり万年筆にハマったんですね、私。

随分と散財もしましたが(笑)、
万年筆にハマって何が良かったかといったら
ノートや紙に手書きで文字を書くことが楽しくなった、
ということです!

以前は何でもかんでもキーボドを叩いて
パソコンやタブレットなどに文字を入力していたのが、
今は先ず、ノートに手書きです。

実際に手で文字を書いていると、
この本にも書かれているように問題などが客観視できるようになるし、
不思議と文字を書いている時に何やらインスピレーションが
湧くことが多いんですよ。

デジタル全盛の昨今ですが、手書きの効用というのは
たくさんあると思うので、最近なんか手書きで字を書いてないなぁ、
という人は是非ぜひ試してみて下さい!オススメ!

■天の時を知る

やはり時の流れがあるのです。運命の巡り合わせが悪いときは、
その巡り合わせの悪さが解消されるまで、じっと我慢する。
これはけっこう重要なことなのです。(P68)

不思議と何をやってもうまくいかない時って、確かにありますよね。
逆に何をやっても、すいすいとコトが運ぶときもある。

昔の人もモノゴトを成功させるためには
「天の時、地の利、人の和」が大切、みたいな言葉を
遺していますが、やっぱり「天の時」ってあるんですよね。

私ごとで恐縮ですが・・・

以前、勤め先の社長に嫌われて左遷されたことがあるんですよ。
その時は頭に来て「こんな会社、辞めてやる」と思ったのですが、
当時の直属の上司から「まぁ、まぁ」となだめられて
「ここは一度、野に下れ。そうすればいつか返り咲く時もあるから」と
言われたのです。

実際、それから1年半後に社長自ら私のところへやって来て
「戻ってきてくれ」と言われたのです。

私が言うまでもなく、人生は山あり谷ありですから、
「時」が悪いと思ったら、じっと我慢して
次の機会を待つ。そんな生き方もアリかなぁって思うのです。

■最後は「友達力」!

危機的な状況を抜け出すのは結局、何人友達を持っているか
ということにかかっています。繰り返しになりますが、
それはフェイスブックの”友達”1000人ではなくて、本当に
信頼できる友達です。例えば、黙って金を出してくれて
痛みを伴う支援をしてくれる友達です。でも裏返して言うと、
その人に何かあったとき、こちら側も痛みが伴う支援が
できるかどうかということです。
(中略)
ホントに最後は友達力によって逆境を切り抜けるしかありません。
(P241)

古今東西、逆境時の友情について語った言葉って
たくさんありますよね。

例えば・・・

『黄金は熱い炉の中で試され、友情は逆境の中で試される』
by メナンドロス(古代ギリシアの喜劇作家)

『困難な情勢になってはじめて誰が敵か、誰が味方顔を
していたか、そして誰が本当の味方だったかわかるものだ』

by 小林多喜二(日本の小説家)

などなど・・・

我が身を振り返って考えてみても、自分が本当にどん底の時に
手を差し伸べてくれた人のことって、絶対に忘れないし、
それまで友達面していたのに、知らん顔して去っていった人のことも
絶対に忘れない。。

『真の友情』なんて言葉を使うとこそばゆいですけど、
そういうものって、まさに逆境の時に分かるし、生まれるような
気がします。

それから・・・

佐藤氏は「フェイスブックの”友達”1000人」は役に立たない。。
って書かれてますが、私が思うにフェイスブックの”友達”999人は
役に立たないかもしれないけど、もしかしたら1人くらいは
すごい助けてくれる友達かもしれない・・・と思うのです。

ネットで繋がっている人であっても、自分を助けるために
走り回ってくれる人はいる!
私の経験ですけど。。

要はバーチャル(ネット)でもリアルでも、
日頃の信頼関係が大切だということですよね。

もちろん、

自分が助けて貰うことだけを考えるのではなく、
相手(友達)に何かあった時に自分が痛みを伴うようなことで
あっても助けてあげるだけの覚悟があるか・・・ということも大切。

まさに自分も相手の友達も
「友情は逆境の中で試される」
・・・のだと思うのです。

おしまい。

 

posted by penguin-oyaji at 22:18 | Comment(0) | 読書(自己啓発) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする