2015年03月26日

「論語と算盤」渋沢栄一:著 成功や失敗なんてカスみたいなものだ!

「現代語訳 論語と算盤」

渋沢栄一:著

守屋 淳 :翻訳

筑摩新書

言わずと知れた古典的名著。久しぶりに読み返してみたけど、やっぱり良い!

著者の渋沢栄一は「日本の実業界の父」と言われ、生涯に500以上の企業や団体の設立に関わったというすごい人です!

第一国立銀行(現:みずほ銀行)、東京証券取引所、東京瓦斯、帝国ホテル、サッポロビールなどなど

これら全て、渋沢栄一が設立に関わった企業というのだから、まさに、現在まで続く近代日本の礎を創り上げたといっても決して過言ではないですよね。

その功績が認められたのか、今度2024年度に発行が予定されている新1万円札の肖像に選ばれましたね。

この本の中では「論語」の思想をベースに生きてきた渋沢栄一の人生哲学が語られていて、よくある論語の解説本とは一線を画した骨太の一冊です。

Amazonの内容紹介

日本実業界の父が、生涯を通じて貫いた経営哲学とはなにか。「利潤と道徳を調和させる」という、経済人がなすべき道を示した『論語と算盤』は、すべての日本人が帰るべき原点である。

明治期に資本主義の本質を見抜き、約四百七十社もの会社設立を成功させた彼の言葉は、指針の失われた現代にこそ響く。経営、労働、人材育成の核心をつく経営哲学は色あせず、未来を生きる知恵に満ちている。

■「義」と「利」を一致させる

だからわたしは、『論語』を商売するうえでの「バイブル」として、孔子の教えた道以外には一歩も外に出ないように努力してきた。

それによってわたしは「一個人の利益になる仕事よりも、多くの人や社会全体の利益になる仕事をすべきだ」という考え方を、事業を行ううえでの見識としてきたのだ。(P164)

京セラの創業者、稲森和夫氏が第二電電(現:KDDI)を設立する時に「動機善なりや、私心なかりしか」と繰り返し自分自身に対して問いつめたとある本に書かれていました。

創業する時って(自分は経験ありませんが)、第一に儲かるかどうかを考えるのがフツーのような気がします。

あるいは、企業経営の目的は?と訊かれたら「利潤の追求」と答える人が圧倒的に多いように思います。(まぁ、私の勝手な思い込みかもしれませんが)

確かに企業って、利益を出さないと潰れてしまいますから「儲け」は大切だと私も思います。

だけどね

それじゃ、儲かればなんでもいいのか?ってことですよね。

話しは少しそれますが・・・

以前、新卒採用の仕事をしていて面接をしている時に「なぜ、この仕事を選ぼうと思ったのですか?」っていう典型的な志望動機を尋ねる質問をすると「お客さまに喜んで貰えると嬉しいから」と答える学生さんが、けっこういました。

まぁ、就活のマニュアル本に出てくるような模範解答なわけですが、でも、そう答える学生さんの中には本当にそういう理由で志望してくる人もいるんですよ。

私、思うのですが・・・

自分がしたことで、他の人が喜んでくれたらやっぱり嬉しいじゃないですか?!

たぶん、「人に喜んでもらう」「人の役に立つ」っていうのが仕事(ビジネス)の原点だと思うんですよね。

だけど、片一方で利益を出さないと会社としては破綻してしまう。

この本のタイトル「論語と算盤」って、論語=道徳、算盤=お金勘定って読み替えると、分かりやすくなると思います。

要は、人としての正しい行いでもってビジネスをしていく、そういう渋沢栄一の仕事に対する哲学を表していると思うのです。

「欲に目がくらむ」という言葉がありますが、人ってお金が絡んでくると、つい間違った道に走ってしまうことってありますよね。

仕事でも、私生活でもお金が絡んできた時こそ、いったん立ち止まって、「人として正しい行いなのか?」ということを冷静に考えてみることが必要なんだなぁと改めて思ったのでした。

■なんのために勉強するのか?

そもそも現代の青年は、学問を修める目的を間違っている。『論語』にも、「昔の人間は、自分を向上させるために学問をした。今の人間は、名前を売るために学問をする」という嘆きが収録されている。(P193)

小さい頃、思いませんでしたか?なんで勉強しなくちゃいけないの?・・・って。(私は勉強嫌いだったので、よくそんなことを思ってました)

なぜ、勉強をするのか?という問いに対してよくある答えは、「テストで良い点を取って、良い学校に入り、一流の会社に入るため」・・・というもんじゃないですかねぇ、たぶん。。

今や一流企業に就職したからといって将来安泰!ってことはないのだけど、なぜか一生懸命に勉強することと一流の会社に入ることはセットになっているような気がする。。のです。

以前、昭和初期の頃に出版された「修身教授録」を読んだ時にも感じたことなのですが、その本の中では、学問を修めて国の発展に貢献することを勉学の目的にしているんですよ。

で、渋沢栄一も本書の中で学問を修め、自分を磨き、国を栄えさせるという志を何度も語っています。

片や、いい学校に入って、いい会社へ入る片や、この国を発展させるべく己を磨く何なんだ、この差は?!

私が以前に務めていた会社の社長がよく社員を相手に「大きく考えて、大きく行動せよ」ということをよく話していました。

その言葉を聞く度に、私自身の考えのスケールの小ささを痛感していたものです・・・orz

勉強の目的一つをとっても、今は小さくまとまってしまっている人が多いのかもしれませんね。特に若い頃はもっと天下国家を論じるくらいの気概があっても良いのかも・・・そんなことを感じました。

■成功や失敗なんてカスみたいなものだ!

一時の成功や失敗は、長い人生や、価値の多い生涯における泡のようなものだ。

ところがこの泡に憧れて、目の前の成功や失敗しか論ぜられない者が多いようでは、国家の発達や成長が思いやられる。

(中略)

成功や失敗といった価値観から抜け出して、超然と自立し、正しい行為の道筋にそって行動し続けるなら、成功や失敗とはレベルの違う、価値ある生涯を送ることができる。

成功など、人として為すべきことを果たした結果生まれるカスにすぎない以上、気にする必要などまったくないのである。(P220)

いやいやいや〜、なんだか衝撃的な文章です。。!

いかにして人生の「成功」をつかみとるか?!そんな本が溢れる中で、成功や失敗なんてカスだ!・・・ですからね。。身も蓋もないじゃん!

私は最初、これが何を言わんとしているのか実は余りよく理解できなかったんですね。(今も・・・かも知れないけど)

でも、

たぶん

こんなことを言いたかったんじゃないかなぁって最近になって思うようになったのです。

「成功」とか「失敗」って、時の運に左右されることがありますよね。

頑張って努力したのに、うまくいかず失敗してしまう。反面では、たいして努力もしていないのに、スルスルと時の流れに乗って成功してしまう。

だからこそ、努力したからといって必ず報われるとは限らない。。。って戯れ言もでてくる。

だけど

お金持ちになった!有名になった!恋が成就した!「成功」も「失敗」も、ある意味「結果」じゃないですか。

たまたま成功したのかも知れないし、たまたまうまくいかなかったのかもしれない。。

そんな偶然や運に左右されるようなものに、大きな価値はない!

それよりも大切なのは、

人として正しい考えをもち、正しいことを行って自分の為すべきことをきちんとやることだ。。

そのような生き方をすることが、きまぐれな「成功」や「失敗」なんかよりも遥かに価値のあることだ・・・

たぶん、そういうことなんじゃないかなって思うのです。

◇最後に・・・

人として「正しい」考えを持つ人として「正しい」行いをする

そんなふうに書くと、「正しい」ってなんだよ!人生に於いて何が正しいかなんて人それぞれの価値観でちがうだろ?!・・・と、思われるかもしれません。

確かにその通りだと思います。

渋沢栄一にとって「正しい」の拠り所は『論語』つまり孔子の教えです。ご存知の方も多いかと思いますが、『論語』は2,500年以上も前に書かれたものです。

それが、この現代まで延々と読み継がれてきている。

歴史上の人物でも論語に影響された人って大勢いる。あの有名な徳川家康の遺訓「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし」も、その殆どが論語に書かれていることがベースになっているといわれてます。

それだけ長く、多くの人に読み継がれてきたのは、「論語」には人生や生きるうえでの何か普遍的なものが書かれているから、だと思うのです。

それが正しいのか、正しくないのかはもう読み手が信じるかどうか・・・なんですけど。

ただ・・・ひとつ思うのは・・・

わたしは常に、精神の向上を、富の増大をともに進めることが必要であると信じている。人はこの点から考えて、強い信仰を持たなければならない。(P47)

渋沢栄一にとって「論語」は文字通り、より良い人生をおくるためのバイブルであり、信仰の対象だったのではないかと思うのです。

そして、「論語」の通りに考え、行動した結果、生涯に500以上の企業、団体の設立に携わり「日本の実業の父」と呼ばれるほどの偉業を成し遂げたのです。

人生を生きていくうえで、指針となるような考え方や哲学を学び実践していくことが、どれだけ大切なことなのかが分かります。

色々な本をあれこれ読むのも大切。だけど、座右の書をもち、そこから考え方、在り方を徹底的に学ぶことも大切だと思うのです。

この本は渋沢栄一が論語から何を学び、どのように考え、どのように生きてきたかを知るには、最適な一冊ではないかと思います。

長々と最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

posted by penguin-oyaji at 22:22 | Comment(0) | 自己啓発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月19日

【「保護者の心をつかむ「言葉」のルール」栗田正行】先生だけが読むのはもったいない!

 

「保護者の心をつかむ「言葉」のルール」

栗田正行:著

東洋館出版社

この本は一般のビジネスパーソン向けの本ではなく、学校の先生に向けて書かれたものです。でも、「私、先生じゃないから関係ないけんね」とスルーにはあまりに勿体ない!私も先生じゃありませんけど、この本を読んでいくつもの気付きがありました!

Amazonの内容紹介

本書は、保護者との関係を築く鍵となる「PARENTSの法則」、保護者をファンにする話し方、保護者が思わず読みたくなる書き方など、「言葉」にまつわる技術が満載! また、保護者会、三者面談などの機会における「記憶に残る場のつくり方」についても余すことなく紹介。これを読めば絶対に保護者から信頼される!

この本は著者のマロン先生こと栗田正行氏からプレゼントしていただきました。ありがとうございます m(_ _)m

■保護者は遠距離恋愛の恋人

保護者は遠距離恋愛の恋人と同じです。(中略)年に数回しかない保護者と対面するシーンにおいて、私たち先生は記憶に残る「場」を提供すべきだというのが私の考えです(P114)

この本を学校の先生じゃなくても参考になる!って上の方で書きましたが、例えばこの「保護者は遠距離恋愛の恋人」という文章。

私はこれを読みながら『保護者』を「取引先様」または「お客さま」って置き換えて読んだのです。

ビジネスパーソンとして仕事をしている中で、年に数回しかお会いしない方っていますよね?そういう人とお会いする時って、今までどれくらい気を遣ってお迎えしていたかなぁ?って、すごく反省させられたんですね、私。

たぶん・・・それなりには気を遣ってはいたと思うのですが、『記憶に残る』ようなことまでは考えていなかったのではないかと。。

話しが少しそれますが・・・

「人の振り見て、我が振り直せ」っていう言葉があるじゃないですか。

私が思うに、人間って自分のことよりも他人の言動の方が色々なことに気づくんじゃないかって、思うんですよ。(自分がやっていることって、案外と人からどう見られているか気づかない)

この本を読んでいて私が一番感じたのは、自分とは全く縁が無い世界の話しだからこそ、気づくことが多い!ってことなんですよ。

先生向けの本なのだけれども、だからこそ客観的に見たり考えたりできる!書かれている内容を自分に引き寄せて読むことで、多くの気付きを得ることができたんです。

今まで自分とは直接関係ないから・・・という理由で異業種、異業界の本って殆どスルーしてましたけど、この本を読んで、違う世界の本を読むことも勉強になるなぁって改めて思いました。

■「考えること」と「書くこと」

「アナログで思考を引き出す、まとめる」という作業をしてからパソコン(デジタル)で書くと、スピードも内容も格段に向上します。これは手を動かし、実際に紙に書く方が考えやすいことをある本で学んだことがきっかけです。(中略)ある意味、パソコンに入力、つまり書くのは作業です。ですから「考えること」(思考)と「書くこと」(作業)は分けるというのが私なりの考え方です。

学校の先生も「学級通信」とかで「書く」という仕事があることからこの本の中でも、いわゆる「書く技術」みたいなことが書かれています。一般的な(という言い方でいいのかな?)ビジネスパーソンも「企画書」や「報告書」を書くことがあると思うので、そういう面でも役に立つかなぁ、と。

私が一番、「そうや!」って思ったのが上の引用部分。「考えること」(思考)と「書くこと」(作業)は分ける!というやり方です。

私もちょうどこの本を読むのと前後して、ブログを書く前にノートに手書きで骨子というか、書きたい内容を手書きで書くようにしたんですね。

手書きで自分の思考を書き出す効果というのは、けっこう、色々な本で触れられていたりはするのですが、実際に自分でやってみると、その破壊力は凄まじいです!

文字を綴りながら、あれこれ書いていると「おぉ〜!自分はこんなことを考えていたんだ!天才じゃなかろうか?!」という場面が何度も起こるのです!(私が天才かどうかはともかく・・・というか天才じゃないけどね)

これってたぶん・・・実際に手を動かして紙に字を書くことで脳が刺激されているんじゃないかって(勝手に)思ってます。

「考えること」(思考)と「書くこと」(作業)は分ける

これって、マジでおすすめですよ。

■苦手な相手は・・・

いつだって苦手な相手は、自分がこれから成長するために欠かせないものを運んできてくれるということです。神様の悪戯としか思えないかもしれませんが、これは紛れもない事実です。(中略)「この方は、今の自分に足りないものを教えてくれているのだ」と思えば、苦手なのではなく、まだ対処したことがないだけど思えます。(P171)

先生と保護者というと、最近よく耳にする「モンスターペアレント」とかを思い浮かべてしまいます。

けれど、この本の中でマロン先生は「モンスターペアレントはいない」と繰り返し書かれています。

最初は「またまた、そんなキレイゴトを」って思うかもしれませんが、この本を読んでいると、「モンスターペアレントはいない」という言葉の真意が分かってくるのです。

私の場合だと、小売りの店頭やホテルフロントや飲食店で仕事をしている時に何度か、いわゆる「クレーマー」というようなお客さまと遭遇してしまった経験があります。

中には最初から「クレーム」をつけること、そして何かオイシイ思いをしようと企んでいる正真正銘のクレーマーもいましたが、でも、大半は相手の真意をつかまないまま、お店の都合で対処してしまってクレーマー「化」させてしまっていることが殆どのような気がします。

また、そういうクレーム絡みじゃないにしても、仕事や日常の人づきあいの中で、何となく苦手!っていう人はいたりしますよね。

私なんて基本的に「ヘタレ」なので、苦手な人からは逃げる!避ける!というのを自分の行動方針にしてます!(苦笑)

でも、仕事の場に於いては「あの人はちょっと苦手だから・・・」なんて言ってられないじゃないですか。

その時に、どう考えるか?

いつだって苦手な相手は、自分がこれから成長するために欠かせないものを運んできてくれる

よく言われることではありますが・・・どんな相手、それが苦手な相手であっても学ぶべきところはあるワケで、そこで逃げたり、避けたりせずに学ぶことができれば自分の成長の機会にもなる・・・ということですよね。

結局、人は人によって磨かれるのかもしれませんね。

心に留め置きたいと思いました。

◇最後に・・・

この本の著者、マロン先生こと、栗田正行氏はビジネス書もたくさん読まれているし、ビジネスパーソン向けの講演会やセミナーなどへも参加されているそう。

で、そこで学んだことを教育の現場に応用してきちんと成果をあげられているんですね。

本を読んだら、読みっぱなし。講演会で話しを聞いて感動しても、それで終わり。

まぁ、割とよくある話しで、私は確実にこのパターン!(^^;;

だから、この本を読みながら、なるほど、こうやって現場で実践してるんだ!とか、この法則は、こうやって使うのねとか、随分と勉強させてもらいました。

一部で「意識高い系」とかって揶揄されたりもしてますが、ビジネス書を読んだり、セミナーに参加して一生懸命に勉強するけど勉強すること自体が目的化してしまって、実際の仕事の場で、きちんと成果に結びつけている人って(たぶん)そんなに多くはない・・・って思うんですね。

学んだら、実践しないと意味がない!

あっちこっちで言われていることですけれど、この本の内容から、改めてその大切なことを教えられたような気がしました。

おしまい。

posted by penguin-oyaji at 22:45 | Comment(0) | 読書(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月12日

「人に強くなる極意」佐藤優:著 人生の難所を乗り切るための指南書

「人に強くなる極意」佐藤優:著青春新書

凡そ人生の悩みの大半は人間関係についてのもの・・・何かに書いてあった言葉だけど、確かにその通りかなぁと思う。実社会においても、家族の間であっても、人間関係の悩みは尽きない。。

この本、タイトルを見るとそういう人間関係の問題解決について書かれたように思うけど、実際に読んで見ると書かれている範囲はもう少し広くて、変化の激しい世界の中でこれからどのように生きていくべきか・・・そんな人生論がまとめられているように感じました。

著者の佐藤優氏はご存知の方も多いと思いますが、元外務省主任分析官で、いわゆるインテリジェンスの世界で活躍されていた方です。鈴木宗男事件(という言い方でいいのかな?)で背任と偽計業務妨害で逮捕、起訴された後に作家へと転身された方です。

逮捕、起訴といっても決して悪いコトをしたワケじゃないんですけどね。詳しくは佐藤氏の著書「国家の罠」に詳しく書かれているので、興味のある方は併せてそちらもどうぞ。

Amazonの内容紹介

どんな相手にも「ぶれない」「びびらない」「怒らない」――。ビジネスでも人生でも、人と相対したときにどう振る舞えるかが結果を大きく左右する。いつでも最高のパフォーマンスをするには、どんな心持ちでいることが重要なのか。外国の要人、日本国首相、そして特捜検察などに対してギリギリの交渉力を発揮してきた著者が、現代を“図太く"生き残るための処世術を伝授する。

■「怒り」と上手に付き合う

感情的な怒り、ドッと湧き出してくる怒りを完全になくすことはまずできません。(中略)ただし、感情が湧き出ることは抑えられなくても、それを別な方に向ける回路を組み込むことはできます。(P35)

物事を引いた目線で俯瞰してみる。すると怒っている自分を、もう一人の自分が客観的に見ているという構図が生まれます。この構図ができると、怒りで我を忘れるという神がかり的な状態にはまず陥らずにすむでしょう。(P36)

喜怒哀楽っていう人間の感情って、自然に湧き上がってくるものだから「よしっ、私はもう怒らない」とか、「もう悲しむのはよそう」って思ってもその感情を自分の思いのままにコントロールすることって、まず出来ないんですよね。ムリ!

大切なのは感情の発生をコントロールすることではなく、その感情に突き動かされるままに行動してしまうのではなく、自分を客観視することで冷静になり、行動をコントロールすること、・・・なんですよね。

ただ・・・

「怒り」とかって、ものすごく強いエネルギーを持ってるじゃないですか。だって、場合によっては人の命さえ奪ってしまうくらいですから。

これは、経営コンサルタントでビジネス書作家の神田昌典さんの本に書いてあったことなんだけど・・・

怒りが持っているパワーをマイナスの方向に使うのではなくて、プラス方向に使うと、すごく大きな力を得ることも出来る。。

例えば、私の経験談ですけど。。

社会人になりたての頃、当時の上司っていうのが、社内で一番怖い!と評判の人だったんですよ。

だからか、そりゃもう毎日のように怒られていました>私。朝、出社すると先ず「おい」と呼ばれ、上司の机の前に長い時で1時間くらい立たされてすげー勢いで怒られる!

ある時は「お前さんは大学を出たのに、コピーひとつ満足にとれないのか!」と、怒鳴られて・・・悔しくて情けなくて・・・会社の中で不覚にも涙を流して泣いてしまった・・・なんてこともありました(遠い目)

で、思いました。

絶対に仕事が出来るようになって、いつかアイツ(その上司)を見返してやる!って。

よく「悔しさをバネに・・・」って言いますけど、当時の私のモチベーションの源泉は、その上司に対する怒りというか、悔しさでした。

まぁ、おかげさまでその後、何とか人前に出ても(あまり)恥ずかしくないイッパシの社会人になれたのですが。。

えっと、何が言いたかったかというと、「怒り」も上手に使えば自分の成長のパワーに変えられる、ってことですね。

■「幽霊の正体見たり枯れ尾花」

もし皆さんの周りにびびってしまう相手がいたら、そんな時ほど相手をよく見ることです。怖がって目をそらしたり無視することが一番いけない。そうすると相手が見えなくなり、見えなくなるからこそますます恐怖感が大きくなる。(P57)

「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という有名な故事がありますね。幽霊かと思ってよくよく見てみたら、ただの枯れたススキだった・・・それから転じて、怖い怖いと思っていると何でもないものまで、怖く感じる。(正体を知れば、なぁんだ、ということになる)

人って、よく分からないもの、見えていないものに対して恐怖とか不安を感じるものなんですね。

で、よくよく考えると、相手の正体をよく調べもせずに盲目的に怖がったり不安に思っていることって自分の身の周りでもよくあるなぁ、って思いました。

例えば・・・

テレビの情報番組などを見ていると、「健康」とか「病気」について特集していることってよくあるじゃないですか。

お医者さんや医学生でもない限り、自分の身体の仕組なんてそんなに詳しくはないじゃないですか。

だから、「こんな生活をしていると」「こんなものばかり食べていると」病気になっちゃいますよ。と言われると、ちょっと不安になる。

そして

「だから、こういう生活習慣を心掛けて下さい」とか、「こういう食べ物が身体に良いから食べてみて下さいね」と言われると、ついつい信じてしまって翌日スーパーに買いに行ってしまう(笑)

一見、すごく有益な情報を教えてくれているように見えるけど、これって、よくよく考えると

相手がよく知らないであろうところを狙って不安を煽る  ↓↓↓解決策を提示する  ↓↓↓購買意欲を煽る

という、実に良く出来たマーケティングの手法であったりもするんですよね。

この本の中でも

相手を不安にさせて購買意欲を煽る現在の消費社会では、つねに自分が何に対してびびっているのか意識するとともにそれが仕掛けられたものでないかどうかを検証することが肝要です(P61)

と、あります。

マスコミの情報を鵜呑みにして盲目的に不安になるのではなく、きちんと自分で「本を読む」「ネットで情報を集める」「詳しい人に話しを聞く」などすることで、もしかしたら、スーパーに買いに走らなくても済むようになるかもしれませんよね。

■断らない力

同世代や同僚とは上手くコミュニケーションがとれるが、自分より上の世代や上司とは上手く会話できない。昔のような”飲みニケーション”の時代は終わったにしても、時には自分と全く話しがかみ合わないような異質な人たちと話してみる。これも大事な「断らない力」だと思います(P134)

上司って食事やお酒の席に部下を誘うのも、けっこう気を遣うんですよ。(少なくとも私はそうでした!)なのに!断るヤツがいるんですよ(プンプン)

まぁ、そんな私の話しはどーでも良いとして、

自分の世界に閉じこもって、異質の人とあまりコミュニケーションをとらない人って確かにいますよね。

そりゃ、自分と同じ趣味、同じ価値観の人とお付き合いしている方が楽しいし、気持ちもラク。

だけど

それだと、自分の世界が拡がらないんじゃないんですかねぇ〜?って、よく思う。

時には敢えて「アウェイ」の場に出て行くのも楽しい!って思うんですよ。もしも、いきなりは恥ずかしい〜というのであれば、ツイッターで違う世界の人たちをフォローしてみるのもひとつの手ですよ。

例えば・・・

昨年の夏。お友達から一本の万年筆をプレゼントして貰ったことでそこからドップリと万年筆の世界にハマったのですが、その時に、ツイッターで万年筆とかインクのことを呟いている人を探し出して、フォローしまっくったんですよ。

で、その人たちのツイートを追いかけてみると、なるほど、こーいう楽しみ方があるのか!とかっていう新たな発見があってますますハマるという(笑)

で、面白そうな人や何となく気が合いそうな人がいたらリプを送ってみる。それで、お友達になる。(いつかオフ会できたらいいなぁ)

あるいは、万年筆関係のイベントに行ってみたら、そこから新たなお付き合いが始まったなんてコトもありました。

ちょっと前の私って、読書好きな人、その中でも特にビジネス書とか自己啓発書をよく読む人とのお付き合いが主だったんですが、別の世界の人のツイッターを読むと、まるで違う価値観があってすごく面白いです!

「チャンスは人が連れてくる」っていう言葉もありますが、自分で壁を作らないで、色々な人と話しをしてみる、付き合ってみるというのは大切だと思うのです。

◇最後に・・・

この本、200ページちょっとの新書なんですけど、そこに・怒らない・びびらない・飾らない・侮らない・断らない・お金に振り回されない・あきらめない・先送りしないという8つのテーマが押し込まれているので、読んでみるとちょっと物足りない・・・と感じる部分もある。

だけど、裏を返せば著者、佐藤優氏の考え方や行動規範などの言ってみれば「核」となるものが書かれていると思うので、とても分かりやすいし、読みやすかったと感じました。

それに加えて、随所に外交官時代の要人との交渉や拘置所に留置されている時の体験談も書かれているので、ある意味「読み物」としても楽しめました^^おしまい。

posted by penguin-oyaji at 22:40 | Comment(0) | 自己啓発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月05日

【「なぜ、はたらくのか 94歳・女性理容師の遺言】幸せな人生をおくる秘訣がいっぱい!

なぜ はたらくのか

「なぜ、はたらくのか 94歳・女性理容師の遺言」

加藤 寿賀:著

主婦の友社(Kindle版)

この本の著者は94歳で亡くなられるまで働き続けた女性の理容師。有名人でもなく新橋のガード下の理容店で働いていた市井の人。

だけど、本書の中で語られている言葉はどれも人生に根ざした深く示唆に富む言葉ばかりでした。

タイトルに「なぜ、はたらくのか」とあるけど、内容は仕事論だけでなく、いかに生きるべきかという人生論。長い人生をどのように生きれば幸せでいられるのか、そんな生きる智恵が詰まった一冊でした。

Amazonの内容紹介

東京・新橋駅のガード下、わずか6坪の理髪店がある。「バーバーホマレ」。1953年の開店以来、ずっとハサミを握り続けた一人の女性・理容師がいた。加藤寿賀、享年94歳。15歳で理容師修行を始めてから94歳で亡くなるまでハサミを置くことはなく、関東大震災、第2次世界大戦を生き抜き、はたらき続けた彼女の残した、魂の言葉。「自分のために働くとか、夢のために働くなんて、とんでもない。人さまのために働くのです。端を楽させるために働くから、『はたらく』なのです」

■「はたらく」は「端を楽にさせる」こと

人間はなぜ、はたらかなくてはいけないか?  それは「端を楽させる」ためなんです。  つまり、「はたをらく」に、で「はたらく」。  周りの人たちを楽させる、楽しませるためにはたらくということ。  自分のためではなく、人のため。人間として、はたらかないと、人生何の意味もないのです。

私は最初に就職した会社の社長から「仕事っていうのは、人さまのお役にたつことだ」と言われて育ってきました。

その社長の言葉、当時は何となく頭では理解しても心に落ちてこなかったんですね(まだ若かったからね)

でも、今は何となく言葉の意味が理解できるような気がしてます。

「なぜ働くのか」その質問に対して「生きていくため(生活していくため)にお金が必要だから」と答える人が多いと思う。

確かにその通りだし、否定もしない。

だけど、お金のためだけじゃないとも思うんですよ。

お金のためだけに働いていると、何処かで行き詰まってしまうような気がしてならないんです。

人の役に立っている。ありがとうと言って貰えて嬉しい。そういう自分以外の誰かのためになっている、そう実感できる瞬間が必要なんじゃないかという気がするんです。

「はたらく」は「端を楽にする」。自分以外の誰かを楽にする、つまり自分以外の誰かの役に立つこと。

■イライラしたら心の中で十かぞえる

相手の言葉にイライラしたら、頭に浮かんできた言葉は呑み込んで、十数えること。最初より、きつくない言葉が出てくるはずです。

すぐに思いついた言葉を出さない、「売り言葉に買い言葉」をしないということを学びました。  とにかく十数えてごらんなさい。  何かが変わるはずです。

誰かの言葉や態度にイライラすること、よくありますよね。ついカッとなってしまって、汚い言葉で返してしまいその後「あ〜」となって落ち込む。。私なんてしょっちゅうです。。

あるいは、言葉に出さないまでも心の中に怒りの感情を溜め込んでしまうことも。

そんな時にどーするか?

この本を読んでから私がやっているのは、イライラ、ムカムカでネガティブな言葉を吐きそうになったら、先ずは心の中で「1、2、3・・・・10」と数えて、最後に「まっ、いいか」と言って悪い感情を手放す。

そうすることで冷静さを取り戻し、ネガティブな感情をコントロールできるようになります。

割とよく効くので、オススメです!

本当は何を言われても動じない、そんな強い心があればいいのでしょうが、私はそんなにデキタ人ではないので、悪い感情が出てきてしまうのは仕方がないと諦めました。

その代わり、その悪い感情をいかに早く手放すか、そっちの方が大事かなぁと、最近は思うんです。

■愚痴

愚痴をこぼしている本人は、持っている徳を愚痴と一緒にぽろぽろこぼしてるんだから、もったいない話です。

言ってもしょうがないことは、黙って我慢すること。またはその状態を受け入れられるように、自分の心を変える努力をすること。

よく自己啓発系の本を読んだりすると、「愚痴るな!」って書いてあるじゃないですか。

でも、私は「別に愚痴ったっていいじゃん!」って思うんですよ。ちゃんとルールさえ守れば・・・

そう、愚痴るにもルールがあると思うんです。

辛い時に親しい人を相手に言っても仕方ないことだと分かっていても話しを聞いて貰いたい時ってありますよね。

こういう時、たいていの場合は「ちょっと話しを聞いて貰いたいんだけど・・・」と言った時点で話しをする側もされる側も「さぁ、これから愚痴を言うぞ(言われるぞ)」という了解が相互に成り立っていることが多いと思うんですね。

だから、よほど非常識に度を越さなければ、そして、愚痴った後は気持ちを切り替えて前向きになれれば、たまには愚痴をこぼしても良いと思うんですよ。

心に溜め込んでしまって、爆発させちゃうよりもほんの少し誰かの力を借りて、吐き出ししまった方が良い場合だってある。

いけないのは・・・!

「いつでも」「何処でも」「誰にでも」愚痴を言うこと。時と場所と相手を選ばない愚痴は、無差別テロと同じで迷惑この上ない!

だから、これは絶対にNG!・・・だと私は思います。

◇最後に・・・幸せな人生を過ごすためのヒント

この本に書かれているコトって、その殆どが自己啓発本によく書かれているコトと同じだと思うのです。

当たり前のことが書いてある。

だけど、新橋のガード下でコツコツと働き続けてきたお婆さんが自分の実体験と重ね合わせて、自分の言葉で語っているからこそ心に響く。

関東大震災、あるいは第二次世界大戦。そんな人生の修羅場での実体験も綴られています。だけど、「時代が悪かった」なんて弱音はどこにもない。

今の世の中悪い悪いって言いますけど、戦争に比べたら小さいこと。だって、不景気だからって、弾は飛んできませんから。

これを読むと、今の私たちが「時代がぁ」「政治がぁ」「会社がぁ」とか言ってるのが何だか恥ずかしくなりますよね。

人生って、本当に色々なことが起きるじゃないですか。一筋縄ではいかない。。

そんな人生を前向きに明るく生きるためにはどうすればいいのか?どう生きればいいのか?この本にはそういうヒントがいっぱい詰まっているように感じました。

逆に考えれば、そういう生き方、考え方がちゃんと出来ていたからこそ、著者の加藤 寿賀さんは94歳で亡くなるまで現役で元気に働き続けることができたんじゃないかなぁって思うんですよ。

私、この本を読み終えてこんなふうに思いました。

この本で語られているお婆ちゃんの言葉から一つでも二つでもいいから自分で出来るようになって、少しでもいいから、次の世代に語り継いでいきたいな、って。

そうすることが、この素晴らしい本を私たちに遺してくれたお婆ちゃんへの恩返しになるような気がするのです。

おしまい。

posted by penguin-oyaji at 21:25 | Comment(0) | 自己啓発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする